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(最新法令:その他)養育費などの取立てがしやすくなります(民事執行法改正)

 

「離婚の時に養育費を取り決めても、払われなくなることが多いと聞きますが・・・」と相談者や依頼者の方から質問されることがあります。

サラリーマンで勤務先が判明している場合には、不払いも少ないと思われますが、自営業者や勤務先を退職したような人の場合、途中で払われなくなるケースは少なくありません。

 

そんな時、勤務先がわかっている場合には、給料の差押えが可能ですが、そうでない場合、相手方の銀行預金などの財産がどこにあるかは、個人情報の厚い壁によって、知ることができませんでした。

もちろん、裁判所が相手方の財産がどこにあるかを調べてはくれません。

 

2019年5月10日、民事執行法という法律が改正されました。

これまで、判決や調停成立によって相手方に金銭を支払う義務があると決められたのに払われず、財産も見つからないのであきらめていたケースで、今後、強制執行による取り立てができるかもしれません。

なお、改正法は、公正証書で取り決めた場合にも、適用されます。

 

それは、第三者から債務者の財産情報を得る制度が新設されたからです(204条以下)。

 

①金融機関から、預貯金債権や上場株式・国債に関する情報を取得

②登記所から、土地・建物に関する情報を取得

③市町村・日本年金機構から、給与債権(勤務先)に関する情報を取得

 

①の金融機関の場合、裁判所が各銀行の本店(どこの銀行かは債権者の方で特定する)に照会して、債務者がどの支店に口座を保有しているか照会することができます。

銀行への照会は手数料を支払う必要があります。

 

③の給与債権については、養育費等の債権や生命・身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者のみが申立可能です。

 

②と③については、「財産開示手続」を、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てる必要があります。

申立を行うと、裁判所は債務者を呼び出し、勤務先や口座、不動産や株式の情報などについて質問します。

債務者が出頭しなかったり、嘘を言った場合には、罰金が科せられます。

その財産開示手続きが実施されてから3年以内に、別途「第三者からの情報取得手続」を申し立てることになります。

 

①については、勤務先や不動産の照会とは異なり、財産開示期日を開かなくても、実施することができます。

 

なお、施行日は、今後、公布の日(2019年5月17日)から1年を超えない範囲内において政令で定められます。

但し、登記所からの不動産情報の条文は、2年を超えない範囲内です。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:その他)戸籍謄本がどこでも取得可能になります

 

2019年5月24日、戸籍法の改正案が成立し、戸籍謄本や戸籍抄本が、本籍地以外の自治体でも取得できるようになります。

 

これまでは、自分の戸籍謄本や抄本が必要な時には、本籍地が遠方の場合には、そこまで出向いたり、郵送してもらわなければなりませんでした。

私が子どもの頃、本籍地が福岡県にあったため、必要な時には、いつも郵送で取り寄せていました。

すぐに入手できず、なんか面倒くさいなあと思っていました。

 

法務省は、2024年をめどに新システムの運用を始める予定です。

もう少し時間がかかるようですね。

なお、今回の改正では、自分の戸籍謄本や直系尊属の戸籍に限られるようですので、実施されたとしても、相続人調査などについては、従前どおりの方法でしか取得できないようです。

 

(弁護士村松いづみ)

(お知らせ)京都地裁・簡裁入庁に所持品検査(4月1日から)

 

2019年4月1日から、京都地裁・簡裁庁舎へ入庁するには、正面玄関(丸太町側)からしか入れず、そこで所持品検査が行われます。

弁護士や事務員は弁護士バッジや身分証明書があれば、検査は省かれます。

 

当事者の方や傍聴される方は、混み合う時間帯もありますので、ご注意ください。

 

 

 

 

(法律コラム:その他)奨学金、保証人の支払義務は「半額」

 

昨年(2018年)11月1日付け朝日新聞に「奨学金、保証人の義務『半額』なのに・・・説明せず全額請求」という記事が掲載されました。

 

奨学金制度を実施する日本学生支援機構が、保証人に対し、法的には残債務の2分の1しか請求できないのに、全額を請求し、中には知らずに全額を返還してしまった保証人もいるということで、問題となっています。

過去8年間で延べ825人に総額13億円を全額請求し、9割以上が応じたとのことです。

 

機構は、奨学金を貸与する際、借りる学生本人が返せない場合に供え、連帯保証人(父か母)と保証人1人(4親等内の親族)の計2人が返還義務を負う人的保証か、借りた本人が保証機関に一定の保証料を払い、返せない時に一時的に肩代わりしてもらう機関保証を求めます。

 

人的保証の場合、「連帯保証人」と単なる「保証人」とでは、いくつか違いがあります。

 

①催告の抗弁(民法452条)

債権者が本人や連帯保証人に請求せず、いきなり保証人に請求をしてきた場合には、まずは本人や連帯保証人に請求するように求めることができます。

 

②検索の抗弁(民法453条)

本人に財産がある場合には、強制執行が容易であることを示して、保証人は返済を断ることができます。

 

③分別(ぶんべつ)の利益(民法456条)

これが、今回問題となっている法律ですが、保証人が2人以上いるとき、連帯保証人は全額返す必要がありますが、保証人は頭割りになります。

ですから、奨学金のように、連帯保証人と保証人が1人ずついる場合には、保証人は2分の1だけ返済すればよいわけです。

 

多くの保証人は、このような「分別の利益」があることを知らず、日本学生機構はその無知につけこんで、過大請求をしていると言わざるを得ません。

 

機構は、「法解釈を誤った」と認め、保証人に謝罪した上で、取りすぎた分を返金すると言います(2019年1月19日付け朝日新聞朝刊)。

ただし、保証人に「分別の利益」があることを積極的に伝える考えはないとも。

 

奨学金事業への信頼がゆらいでいます。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:その他)厚生労働省 勤労統計問題で追加支給対象者約2000万人

 

厚生労働省が「毎月勤労統計調査」について、長年にわたり、調査対象の一部を勝手に除外する不適切な方法で調査を実施していたことが発覚しました。

組織ぐるみの不正としか考えられません。

 

この勤労統計は、政府の「基幹統計」で単に数値の誤りにとどまらず、その影響は多方面に大きく広がっています。

対象人数が延べ1973万人に上り、計537億5000万円にまで膨張するとのことです。

厚生労働省は、過少給付した延べ約1973万人に、不足分は全て追加支給するとしてますが、1000万人以上の住所が把握できず、既に死亡した人もいる可能性もあります。

 

追加支給の可能性がある給付の種類は多岐にわたります(2019年1月12日付け京都新聞朝刊)。

雇用保険で過少給付があったのは、2004年8月以降に給付を受けた延べ約1900万人で、失業時に支給される基本手当のほか、高年齢雇用継続給付や、育児休業・介護休業給付でも追加支給の可能性があるとのことです。

労災保険は、2004年7月以降の給付が対象です。遺族年金や障害年金、休業補償給付が該当します。

 

対象者が死亡している場合、遺族に支払うかかどうかは「検討中」(担当者)のようですが、本来、支払われるべきものです。

 

住所などを変更され郵便物が届かない可能性がある方などは、厚労省に申し出をされた方が良いと思います。

 

厚生労働省の無料相談電話

●雇用保険  0120-952807

●労災保険  0120-952824

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(最新法令:離婚・その他)成人年齢が18歳に引き下げ~養育費はどうなるの?

 

成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が、2018年6月13日に成立しました。

 

野党からの「今なぜ、何のために改正を行うのか」という質問に、法務大臣は「参政権の年齢と出来る限り一致しているのが望ましい」と答えるのがやっとで、若年層の消費者被害が懸念されるなど課題が多いため、野党は対策が不十分で議論が拙速として反対しました(2018年6月14日付け京都新聞朝刊)。

 

施行は、4年後の2022年4月1日から。

 

これによって、18歳や19歳でも親の同意なしに契約を結んだり、ローンを組んだりすることが可能となります。

また、改正民法によって、18歳以上の男女は親の同意なしに結婚できますので、未成年者の結婚に親の同意を必要とする現行の法律は削除となります。

 

普段、離婚事件を多く扱っている弁護士としては、養育費の終期が気になるところです。

養育費の取り決めをする場合、通常「成人に達する月まで」というような定め方をすることも少なくありません。

この点、国会でも審議がなされたようで、付帯決議で、養育費については、成人年齢と養育費負担の終わりの時期は連動せず、未成熟である限り親らに負担義務があることが盛り込まれたようです(2018年6月14日付け京都新聞朝刊)。

 

しかし、2022年4月1日以降に子どもが18歳に達した場合、養育費をめぐって紛争が生じることが少なくないことが予想されます。

 

(弁護士村松いづみ)

(最新判例:その他)嫡出否認「夫のみ」合憲(神戸地裁)

 

この日本に、戸籍のない子がいることをご存知ですか?

 

民法772条は、妻が婚姻中に妊娠した場合には夫の子、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子、と推定すると規定しています。

これを「嫡出推定」と言います。

他方、この「嫡出推定」を覆すための「嫡出否認」の訴えについては、民法774条は、夫のみに認めています。

夫の暴力から逃れた後、離婚する前や、離婚後300日以内に別の男性との子を出産した女性は、本当の父親の名を書いた出生届が受理されず、子が無戸籍になることが少なくありません。

 

無戸籍者は、2017年11月10日時点で全国に719人いるそうです。

戸籍がないと、選挙権を行使することも、健康保険に加入することも、銀行口座を開設することもできません

 

そんな中、上記した、「嫡出否認」を夫だけに認める民法774条の規定は、男女平等に反するとして、損害賠償を求めた訴訟の判決が2017年11月29日、神戸地裁でありました(2017年11月30日付け京都新聞朝刊)。

嫡出否認の規定の合憲性を争う訴訟は、全国で初めてです。

 

判決は、嫡出否認規定は、婚姻中の夫婦に生まれた子の身分の安定や利益確保が目的で、合理性があり憲法違反には当たらないと判断し、原告の請求を棄却しました。

ただ、判決は、無戸籍が生じるというような問題を避ける対策として、離婚訴訟での支援や個人情報を夫側に伝えないようにする仕組みなどの法整備を図るべきだと指摘しました。

 

原告側は控訴する方針。

裁判所の結論を待つのではなく、無戸籍の子が生じないような立法の制定が早急に求められます。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム:その他)裁判関係文書にも旧姓使用が認められます(最高裁からの通知)

 

最高裁から日本弁護士連合会に対し、2017年9月1日から、裁判関係文書に旧姓の使用を認める旨の通知がありました。

 

最高裁が民法の夫婦同姓を合憲としている根拠の1つに、「婚姻前の姓を通称として使用していることが社会的に広まっていること」を挙げていることからも、その最高裁のお膝元の様々な場面で旧姓使用が認められることは当然です。

裁判関係文書もしかりです。

これまで裁判関係文書には、まだ認められていなかったんだと驚きました。

 

この取り扱いは、調停官、調停委員、司法委員等非常勤職員についても適用されます。

 

民間で通称使用を認めていない企業があれば、使用を認めるよう積極的に働きかけましょう。

 

(弁護士村松いづみ)

(最新判例:その他)相続税の節税対策の養子縁組「有効」(最高裁)

 

相続税を減らすために行った養子縁組が有効かどうか争われた訴訟で、最高裁は、2017年1月31日、「有効」という初めての判断を下しました(2017年2月1日付け京都新聞朝刊)。

 

事案は、2013年に82歳で亡くなった男性の相続を巡り、長男と娘2人が争いました。

男性は、死亡前年に長男の息子を養子にしていたため、法定相続人は実子3人と養子1人の計4人となりました。

相続税の基礎控除額を計算する時に、実子がいれば養子1人分(実子がいなければ2人分)を人数に入れることができるので、それだけ税金が減ることになります。

 

娘側は、節税目的の養子縁組は無効として争い、原審の東京高裁は、「節税対策にすぎない」養子縁組は無効としていましたが、今回、最高裁は、「節税目的と縁組の意思は両立するため、節税が主な目的であっても縁組が無効になるとは言えない」として養子縁組は有効と判断しました。

 

但し、国税庁は、縁組の経緯や生活実態から、税負担を不当に減少させると認められる場合は、養子の数に含めることはできないとの姿勢を維持していますので、今回の最高裁判決で民法上は「有効」となりましたが、相続税上は、養子と認められない可能性もあります。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(法律コラム:その他)調停委員って、どんな人?

 

家庭裁判所や簡易裁判所における調停では、「調停委員」が主になって調停手続きを進めていきます。

 

時々、依頼者や相談者の方から、「調停委員って、どんな人がなるんですか?」などと尋ねられることがありますので、ご説明しましょう。

 

調停委員は、個人や団体から推薦された民間人の中から、裁判所が選任します。

年齢は、40歳以上70歳未満とされています。

職業は、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、裁判所の元職員、学者、僧侶、企業の社長、主婦など多彩です。

 

調停委員は、1事件につき2人が担当し、裁判官と3人で調停委員会を構成します。

家事調停の場合の調停委員は、必ず男女1名ずつとなっています。

民事調停の場合には、事件の内容によって、調停委員2人の内、1人は、専門家が担当することもあります。

例えば、家賃値上げの調停であれば、不動産鑑定士が担当したり、建築紛争の調停であれば、建築士が担当したりしているようです。

 

調停委員は、研修は受けておられますが、必ずしも法律の専門家ではありませんので、私たち弁護士が当事者の代理人として関わっていると、時々、法律の内容をご存知なかったたり、判例の到達点とは異なることを言われたりすることもあります。

だからと言って、弁護士の調停委員が良いかというと、必ずしもそういうわけではなく、弁護士でも人によっては、当事者を説得することなく、すぐに「訴訟したら」と言う弁護士調停委員もいて、何のために調停手続きを選んだのかと思ってしまう人もいます。

要は、当事者の話をじっくり聞いて、事件の筋に従って、当事者を説得できる調停委員が信頼される人と言えるでしょう。

その意味では、「アタリ」「ハズレ」があります。

 

中には(特に、当事者の代理人として弁護士がついていない場合)、当事者に対し、暴言と思われるような言葉を言う調停委員もいるようです。

そんな時、相談者の方からは「裁判所に言えば、調停委員は変えてもらえますか?」と尋ねられることがあります。

裁判所に文句を言っても、原則として、調停委員が変わることはありませんが、発言内容も含め、きちんと書面で裁判所に提出すれば、調停委員の態度も変わることが多いのではないでしょうか。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

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