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(法律コラム:その他)インターネット上の書き込みを削除したい①

インターネット上で、自分に関する悪意のある書き込みをされた。

なんとか削除したいが、どうしたらいいのか分からない。

 

スマホの普及なども相まって、

インターネットは広く私たちの生活に浸透してきました。

しかしそれに伴って生じるのが、ネット上のトラブルです。

上に書いた例は、ネット上のトラブルの典型のようなものです。

 

では、実際に悪意ある書き込みをされた場合、どうしたらいいのでしょうか。

 

まず第一に、当該サイト(掲示板など)の管理者等に対し、

任意での削除請求をすることができます。

当該書き込みが、明らかに名誉棄損やプライバシー権侵害等に該当する場合には、

サイト管理者等が自主的に削除に応じてくれることもあるのです。

また、サイトによっては、削除する場合を規約などに記載している場合があり、

規約に該当するという理由で削除してくれることもありますので、チェックしてみましょう。

 

この任意の削除請求については、皆さまがご自身で行うことが可能です。

また、名誉棄損やプライバシー権侵害等に該当するということを、

法的にきちんと書いて削除請求したいと考える場合には、弁護士に依頼することもできます。

削除請求の方法は、用意されたフォームから送信する場合もありますし、

所定の書式に記入して、必要書類を添えて請求する場合もあります。

詳しくは、場合によって異なりますので、弁護士にお尋ね下さいね。

 

次回のコラムでは、

任意の削除請求に管理者等が応じてくれなかった場合は、どうすればいいのか?

ということについて書きたいと思います。

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(弁護士 日野田 彰子)

(最新判例:その他)生活保護廃止、口頭指導ではダメ(最高裁)

 

2014年10月24日付け法律コラムでは、最高裁初のマタハラ違反の判決をご紹介しました。

そのマタハラ違反判決が出たのと同じ日の10月23日に、最高裁は、もう1つ、重要な判決を下しました。

それは、生活保護廃止についての判決です。

 

京都市は、生活保護を受給していた手描き友禅請負業の男性に対し、書面上では「収入を月額11万円まで増収してください」と指示する一方、口頭では「増収か車の処分のどちらかの対応をとるように」と指導していました。

そして指導から約3ヶ月後に、指導違反として保護を打ち切りました。

 

生活保護法は、指導や指示に違反したときには、生活保護を廃止することができる旨を定めています(62条)。

ただし、その指導又は指示は「書面による」ものとされています(施行規則19条)。

 

一審の京都地裁は、男性が病気の妻の世話をしながら仕事をしており、「増収は実現不可能で保護打ち切りは違法」と判断していました。

ところが、原審の大阪高裁は、口頭指導も保護廃止の根拠となると認定し、車を処分しさえすれば指示に従ったことになるとし、車を処分しなかった男性の保護廃止を容認する判決を下しました。

 

しかし、最高裁は、法が「書面による指導」を求めている根拠は、行政の「判断が慎重かつ合理的に行われることを担保してその恣意を抑制する」「内容を明確にし、それらを十分に認識し得ないまま不利益処分を受けることを防止する」ためなどと判断し、あくまで書面にある指示内容の違法性を判断すべきと指摘しました。

 

「書面による指示」にもとづかないで生活保護を廃止したり減額したりする自治体が散見されます。

最高裁が、法律の趣旨どおりに厳しく手順を踏まえるよう明確に示した意義は大きいと言えるでしょう。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム:その他)職務発明の特許権が剥奪される!

【職務発明とは】

   職務発明とは、会社の従業員が職務を遂行することによって発明することをいいます。会社がその発明について特許を受け利益をあげた場合、従業員は会社に対し「相当の対価」を請求することができます(特許法35条)。

   職務発明制度は、青色発光ダイオード(LED)の新製法を開発し、今年のノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二教授(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)が提訴した日亜化学工業事件で、東京地裁が2004年1月30日に会社に対し200億円の支払いを命じる判決が出たことで一躍有名となりました。この事件では、会社が中村教授に報奨金として2万円しか支払っていなかったので、中村教授が「相当の対価」の支払いを求めて提訴していたのです。結局、この事件は、東京高裁で会社が中村教授に8億4000万円を支払うことで和解が成立しています。

【塩野義製薬事件】

   私が代理人となって提訴した塩野義製薬事件では、元社員Aさんが他の社員3名と共同して1991年にロスバスタチンカルシウムを発明しました。ロスバスタチンカルシウムは高コレステロール血症の患者に投与することによって悪玉コレステロールであるLDL-コレステロール値を低下させる効能がある医薬品です。Aさんは、塩野義製薬との間で特許を受ける権利を塩野義製薬に譲渡する旨の契約を締結していました。塩野義製薬は、ロスバスタチンカルシウムを含む「ピリミジン誘導体」について、1997年に特許権を取得しました。塩野義製薬は、発明をしたAさんら4名に対し、特許出願時に合計で6000円、特許権取得時に合計で9000円の報奨金を支払っただけでした。

   塩野義製薬は、1998年にアストラゼネカ社との間でこの特許について、わが国及び欧米各国における独占的実施権を許諾する旨のライセンス契約を締結しました。塩野義製薬は、アストラゼネカ社からこの特許等の使用料(ロイヤリティ)として2006年までに合計203億円を取得していました。

   そこで、Aさんは、塩野義製薬に対し「相当の対価」として約8億7000万円の支払いを求めて、2007年3月に大阪地裁に提訴しました。この事件は2008年11月に和解が成立し、Aさんは相当額の和解金を得ることができたのです(具体的な和解金額は公表しないことになっています)。

【特許法改正の動き】

   特許法は、1921年(大正10年)から職務中に発明した特許権を「社員のもの」としてきましたが、特許庁は、今年10月17日、特許権を当初から「企業のもの」とすることを可能とする特許法改正案を提示し、政府は開会中の臨時国会に法案を提出しようとしています。これは経団連など産業界の要請に応える法改正です。この改正法案が成立すると、職務発明をした社員は、企業が定めた低額の報奨金で泣き寝入りをさせられることになります。

   ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二教授も、朝日新聞(2014年10月18日朝刊)のインタビュー記事で、この特許法改正案について、「反対というより、猛反対。サラリーマンがかわいそうじゃないですか。(青色LEDをめぐる)私の裁判を通じて、(企業の研究者や技術者への待遇が)良くなってきたのに、それをまた、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのはとんでもないことです。」「報奨を会社が決められるようになっているのは、問題です。会社が決めたら、会社の決めたことに日本の社員は文句を言えない。みな、おとなしいから。社員は会社と対等に話ができないから、会社の好き放題になります。」と述べて、改正法案の問題点を厳しく指摘しています。

(弁護士 村井豊明)

(最新判例:その他)死後認知で無戸籍解消へ(大阪家裁)

 

また、無戸籍の人が戸籍を取得できることとなりました。

大阪家裁の2014年10月10日付け判決です。

(2014年10月11日付け京都新聞朝刊)

 

大阪府在住のAさんは、前夫から激しい暴力から逃れ離婚できないままだった母親と別の男性との間に生まれたため、母親はAさんの出生届を出さず、無戸籍となりました。

 

Aさんは、実父が生きていた2008年に認知を求めて調停を申し立てましたが、家裁の調停では「母親が前夫との婚姻関係を解消しなければ認知は認められない」と言われ、調停を取り下げたそうです。

 

その後、Aさんの母親と前夫との間で離婚が成立しました。

しかし、その後、実父は体調悪化で家裁に出頭することができなくなり、調停で認知を求めることはできなくなり、死亡しました。

そこで、今回、Aさんは、民法787条により、死後認知を求めて提訴し、大阪家裁は、母親の前夫との関係ではAさんは民法772条の嫡出推定を受けないと認定し、実父との関係で死後認知を認めました。

 

無戸籍解消のため、死後認知を求めたケースは初めてのようです。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(最新判例:その他)泉南アスベスト訴訟、国に賠償責任(最高裁)

平成26年10月9日、

泉南アスベスト訴訟の最高裁判決がなされました。

アスベスト被害をめぐる訴訟について、初の最高裁判決であり、

裁判官全員一致で国の賠償責任を認める判断が下されました。

 

泉南アスベスト訴訟とは、

大阪府南部泉南地域に存在した

石綿(アスベスト)製品の製造、加工等を行う工場又は作業場で、

アスベストの製造作業等に従事した元労働者たちが、

アスベストにより肺がん等を発症する等の被害を受けたとして

被った損害の賠償を求めて起こした訴訟です。

 

泉南地域でのアスベスト被害が、いかに深刻なものだったのか、

元労働者たちが、アスベストの危険性を全く知らされず、

いかに大量にアスベストに曝露(さらされること)していたのかということについては、

ぜひ、「石の綿―マンガで読むアスベスト問題」(かもがわ出版)をお読みください。

 

今回の最高裁判決は、国が行使すべき規制権限について

「粉じん作業等に従事する労働者の労働環境を整備し、

その生命、身体に対する危害を防止し、

その健康を確保することをその主要な目的として、できる限り速やかに、

技術の進歩や最新の医学的知見等に適合したものに改正すべく、

適時にかつ適切に行使されるべきものである」

としたうえで、昭和33年頃には、石綿肺の被害状況と、

局所排気装置(有害物の含まれた空気を集めて清浄な空気にして排気する装置)

の設置に関する技術的知見が確立していたとして、

同年以降の国の賠償責任を認めました。

他方、使用者らに、労働者に防じんマスクを使用させる義務等を

課さなかったことについては、違法性を否定しました。

 

私は、関西建設アスベスト京都訴訟の弁護団として活動しています。

建設アスベストとは、

建設現場に流通していた石綿製品を使用、加工するなどして

アスベストに曝露し、肺がん等の被害に遭った方々が

国と企業に対して損害賠償を求めて起こした訴訟です。

訴訟の内容に異なる点はありますが、

同じくアスベスト被害と闘ってきた訴訟において、

国の責任を一部でも認める判決がなされたことに、

大きな力をもらいました。

 

関西建設アスベスト京都訴訟はまだ地裁段階。

まだまだこれから長い道のりになりますが、

私たちも頑張っていきたいと思います。

 

(弁護士 日野田 彰子)

(最新判例:その他)32年間無戸籍の女性が戸籍を取得(神戸家裁)

 

NHKの「クローズアップ現代」でも放映されましたが、生まれた時から戸籍がないという人が現代の日本社会に少なからず存在します。

 

原告の女性(32歳)は、当時の夫の暴力から逃れた母親と別の男性の間に生まれました。

民法には、結婚中に妊娠した場合には夫の子と推定するという規定(772条)があるため母親は出生届を出しませんでした。

女性は、公的な身分証明がないまま、様々な生活上の困難を強いられました。

そこで、戸籍を作るため、裁判で親子関係にないことの確認を求めて提訴しました。

 

神戸家裁は、2014年9月18日、女性の訴えを認め、「(元夫と母親は)事実上離婚状態で、女性は民法772条の嫡出推定を受けない」と指摘しました。

これで、その女性は、父親欄が空白の戸籍を作ることができます。

 

法務省は、今年7月、民法の規定が原因で戸籍のない人の情報を集めるよう全国の法務局に通知しました。

国は、無戸籍の人が速やかに戸籍を取得できるような取り扱いを進めてほしいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

(最新判例:その他)原発事故避難で自殺、賠償命令(福島地裁)

 

福島の原発事故により避難していた女性が2011年7月に自殺したのは「避難生活で精神的に追い詰められ、うつ状態になったため」として、遺族が東京電力に損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁は、2014年8月26日、東電に約4900万円の損害賠償を命じました(2014年8月26日付け京都新聞夕刊)。

 

原発事故が原因で自殺したとして東電に賠償を求めた訴訟では初めての判決になります。

 

通常、民事事件の判決の言渡しは、裁判長が法廷で主文だけを読み上げるだけで、理由の説明はされないのですが、この訴訟では、裁判長が「事案に鑑みて、理由を話します」と前置きし、判決理由を説明したとのことです。

 

東電は、「事故前から睡眠障害で薬を飲んでおり、原発事故以外の原因を考慮するべき」として争っていましたが、判決は「女性は生活の基盤全てを相当期間失った。・・・家族や地域住民とのつながりも失ったという点で大きな喪失感をもたらすものでストレスは非常に強いものだった」「事故で生じた強いストレスが女性をうつ状態に至らせ、その原因となったストレス要因自体が、自死に至る準備状態の形成に大きく寄与したと評価できる」「東京電力は、事故が起きれば核燃料物資などが広範囲に飛散し、居住者が避難を余儀なくされ、さまざまなストレスを受けて自死に至る人が出ることも予見できた」などと判示しました。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:その他)後見制度支援信託とは

 

民法の成年後見制度に関して、「後見制度支援信託」という新しい手続きが出来たことはご存知でしょうか?

 

親族後見人などによる横領等の不正事例があとを絶たないため、2012(平成24)年2月から、最高裁判所が開始しました。

 

この制度は、認知症などで判断能力が十分でない高齢者や障害者らの生活を支援し財産を守る「成年後見制度」と、信託銀行との信託契約を組み合わせたものです。

 

被後見人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要な金銭等を親族後見人が管理し、通常は使用しない金銭を信託銀行に信託するという手続きです。

この制度が適用になると、信託財産を取り戻したり、信託契約を解約したりするには、あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。

 

また、この制度はすべての成年後見事件について利用されるわけでなく(保佐・補助・任意後見については最初から除外)、家裁が後見制度支援信託の利用を検討すべきと判断した場合、弁護士や司法書士などの専門職後見人を親族後見人と合わせて選任し、専門職後見人がこの制度の利用の適否について検討し、適していると判断した場合には、信託契約を締結した上で、親族後見人に引き継ぐことになります。

 

なお、この制度は、実は、開始される前から、弁護士・司法書士・社会福祉士らの団体などから様々な批判の意見が上がっていました。

問題点については、別の機会やコーナーで触れたいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

(最新判例:その他)セレマ葬祭積立金「解約料条項は無効」(京都地裁)

 

結婚式や葬儀に備えて、一定額を積み立てる互助会契約で、高額な中途解約手数料を徴収されたとして、京都、滋賀などの21人の原告が冠婚葬祭会社「セレマ」に計約90万円の返還を求めた訴訟で、8月19日、京都地裁は「解約条項は無効」として、原告への支払を命じました(2014年8月20日付け京都新聞)。

 

この問題は、ずいぶん以前からありましたね。

 

判決では、契約者が冠婚葬祭の実施を求める前に解約した場合にセレマに生じる損害は、振込手数料の集金費用など月約60円を除いては認められないと判示しました。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(最新判例:その他)DNA鑑定で血縁否定でも「父子」認定(最高裁)

 

結婚後に生まれた子がDNA鑑定で血のつながりがないとわかった場合、法律上の父子関係を取り消せるかどうかが争われた3件の訴訟で、最高裁は、7月17日、「生物学上の父子でないと科学的に証明されても、法的な父子関係を取り消すことはできない」との初判断を示しました。

 

民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と定めています。

夫は、自分の子でないと主張することはできますが(嫡出の否認=民法774条)、それは、夫が子どもの出生を知ってから1年以内に嫡出否認の訴えを提起しなければならないとされています(民法777条)。

その規定は、子どもの法的安定を早くはかるという趣旨で設けられました。

 

しかし、99%親子関係が判明すると言われるほどDNA鑑定技術が進んだ今日、DNA鑑定で血縁が否定されても、父子関係の「推定」が及ぶのかというのが本件の争いでした。

 

そして、最高裁は、「DNA鑑定での血縁否定は、例外にあたらず、嫡出推定は覆らない」と判断しました。

 

ただ、5人の裁判官中2人の裁判官は、「実の父との親子関係が確保できている場合は、取り消しを認めるべき」という反対意見を述べています。

また、4人の裁判官が立法で解決すべきとも述べています。

 

子どもの身分を法的に安定させるために設けられた民法の規定を尊重する判決ですが、最高裁の裁判官も実態に合わないという思いを持っていることが伺われます。

 

わりきれない思いが残る判決になりました。

 

(弁護士村松いづみ)