借地借家- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:借地借家)賃貸している駐車場の解約

 

これまで、自分では使わない土地を駐車場として他人に貸してきたが、そこに家を建てたいので、解約したいという相談を受けました。

 

賃料をもらって土地を駐車場として貸している場合、土地の賃貸借契約が成立します。
ただ、建物の所有を目的としているのではないので、借地借家法の適用はなく、民法の賃貸借の規定が適用となります。

 

契約書で賃貸借の期間が定められている場合には、それに従うことになります。
ただし、期間後も継続して土地を使用している場合で貸主が異議を述べないときは、期限の定めがない賃貸借として自動更新されてしまいますので(民法619条1項)、速やかに更新をしない意思を伝えることが大切です。

 

賃貸借の期間の定めがない場合には、いつでも解約の申し入れはできるのですが、土地の場合には1年前に通知しなければなりません(民法617条1項)。

 

これらの通知は、内容証明郵便でされるのが望ましいでしょう。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:借地借家)自殺、殺人、孤独死等のあった物件

京都市内の住宅の床下に、

ブルーシートにくるまれた2人の遺体があるのを、

シロアリ駆除業者が発見したとの報道がありました。

 

遺体をシロアリ駆除業者が発見?なぜ?

と思って報道を見たところ、どうやらその物件に

現在住んでいるのは全く無関係の人。

以前その物件では集団自殺が起きており、

今回の遺体も関連するものと思われるところ、

現在の入居者は、それ以降に入居した人で、

遺体など全く知らなかったということのようです。

 

さて、この事件の真実についてはさておき、

このように、過去に自殺や殺人、孤独死などがあった物件について、

全く知らずに売買、賃貸してしまった場合、

契約の解除や損害賠償を求めることはできるのでしょうか。

 

民法には、瑕疵担保責任という規定があり、

売買などの目的物に「瑕疵(かし)」がある場合、

契約を解除したり損害賠償を請求することができると定められています。

自殺や殺人、孤独死などがあったことは、

大多数の人が嫌がるような事実であることから、

「心理的瑕疵」といわれ、売主・貸主側に告知義務が課せられます。

告知義務に違反して売却・賃貸した場合は、

瑕疵担保責任に基づいて契約を解除したり、

損害賠償を請求することができます。

 

冒頭に書いた事件の場合はどうだったのでしょう。

遺体があるなんてことは誰も知らなかったのであれば仕方ないのでしょうが、

集団自殺があったとすれば絶対に告知義務が発生しているはず。

そもそも賃貸なのか売買なのかも分かりませんが、

それを告知されずに住んでいたとすれば・・・。

 

この告知義務は、自殺等の発生後長期間経過したり、

入居者が入れ替わったりすると課せられない場合もあるのですが、

個人的には十年経とうが二十年経とうが、

あまり酷い状態で人が亡くなった物件に住むのはやっぱり嫌ですね・・・。

 

(弁護士 日野田 彰子)

(最新判例:借地借家)自殺告げず賃貸、家主に賠償命令(神戸地裁尼崎支部)

 

マンションの1室で自殺があったことを告げずにその部屋を賃貸したことを不法行為と認め、家主に対し慰謝料など104万円の損害賠償を命じた判決が、10月28日、神戸地裁尼崎支部で下されました(2013年10月29日付け毎日新聞)。

 

建物を貸す場合あるいは売却する場合、その建物内で自殺があったにもかかわらず告げなかった事例では、過去にいくつかの判例が、契約の解除が認めたり、損害賠償を認めたりしています。

 

今回の判決も「一般の人でもこの部屋は居住に適さないと考える。部屋には、嫌悪すべき歴史的背景に起因する心理的な欠陥という瑕疵(かし)がある」と判断しました。

 

家主は弁護士だったそうです。

家主としては、きちんと告知すべきでしょうね。

 

他方、賃貸している部屋で自殺があった場合、自殺者の保証人などに家主に対する損害賠償を認めた判決もあります。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム・借地借家)家賃の値上げ

契約期間の途中あるいは契約更新の際に、家主から家賃の値上げを求められる場合が少なくありません。

家主が家賃の値上げができるのは、次のような場合です。
①土地や建物に対する税金の負担が増加した
②土地や建物の価格が上昇した
③周辺の家賃と比べて不当に安い
などです。

家賃の額は家主と借り主の合意で決めるものです。
借り主が値上げ要求に納得できないときは、合意できないと回答し、最低、従前の家賃を払い続けましょう。

一方、家主は、話し合いで解決できない場合には、簡易裁判所に調停の申立をしましょう。
地代や家賃を値上げしたい場合には、いきなり訴訟を提起することはできません。
まず、調停を申し立ててください(民事調停法24条の2)。

                              (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・借地借家)更新料(最高裁)

更新料というのは、賃貸借契約の期間が満了した時、貸し主と借り主の合意によって契約を更新する場合に、借り主から貸し主に払われる金員のことを言います。

契約期間が満了しても、賃料額で話し合いがつかないような場合や貸し主から明け渡しを求められているような場合には、たとえ合意ができなくても、それまでと同じ条件で法律上当然に契約更新されますので、その場合には更新料を支払う必要はありません。

また、そもそも契約で更新料を払うという定めがない場合には、借り主は支払う義務はありません。

ところで、契約書に更新料の定めがある場合、これが消費者契約法10条により無効か否かが裁判上争われてきました。
最高裁は、2011年7月15日、「賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条」には違反しないという判断を下しました。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・借地借家)敷引特約は有効(最高裁)

2011(平成23)年3月24日、最高裁判所は、賃貸住宅の敷引(しきびき)特約について「不当に高額でなければ特約は有効」とする判決を言い渡しました。

敷引特約というのは、関西を中心とした住宅の賃貸借契約の中に盛り込まれているもので、敷金(あるいは保証金)の中から当然に一定の金額を差し引くと定めた条項のことを言います。

2001年に「消費者の利益を不当に害する契約は無効」と定める消費者契約法が施行され、この敷引特約が消費者契約法に違反するのではないかと争われていましたが、この最高裁の判決が初めての判断となりました。

この事案は、敷金40万円のうち特約で差し引かれたのは21万円。
最高裁は、差し引く額が賃借期間に応じて18~34万円で家賃の2倍弱から3.5倍強にあたり、礼金の支払いもなかったとして「高すぎるとはいえない」と判断しました。
「差し引く額が高すぎる場合は無効」とも述べていますが、その基準は、今後の判例の積み重ねによるでしょう。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・借地借家)借家の明渡し(借家人が行方不明の場合)

「借家の借り主が半年以上家賃を滞納したまま行不明になってしまいました」家主さんから、こんな相談を時々受けることがあります。

家主が明け渡しを求めるには、相応の理由が必要です。
しかし、半年以上も家賃を滞納したまま行方不明になっているということですので、支払いを督促した上で、家賃滞納を理由に賃貸借契約を解除することができます。借り主が行方不明なので、滞納家賃の支払い請求や契約の解除は、裁判所での「公示送達」という方法ですることができます。

しかし、解除することができるとしても、すぐに家主側が家財道具を持ち出すことはできません。その借り主を相手に、滞納家賃の請求や借家の明け渡しの裁判を起こす必要があります。借り主が行方不明でも、前記した「公示送達」という方法により裁判することができ、比較的簡単に明け渡しを求める判決を下してもらえます。
そして、この判決をもとに、裁判所の執行官に借家の明け渡しの執行や家財道具を差し押さえをしてもらうことになります。

                                     (弁護士村松いづみ)

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