交通事故- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:交通事故)物損事故の場合の「物件事故報告書」

 

交通事故を起こした場合や遭った場合、それを届け出るのは運転者の義務です(道路交通法72条1項)。

人身事故の場合だけでなく、物損事故の場合でも同様です。

 

警察に届出をしないと、「交通事故証明書」が発行されませんので、任意保険や自賠責保険の保険金を請求することもできなくなります。

加害者から「警察に届け出ないでほしい」と言われることがあるかもしれませんが、軽いケガと思っていても、後になって悪化する場合もありますので、きちんと断りましょう。

 

警察は、人身事故の場合には、業務上過失致死傷罪などの刑法上の罪にあたる可能性もありますので、実況見分を行い、事故状況や現場の状況を確認します。

他方、物損事故の場合には、犯罪には該当しないため、人身事故の場合ほどは丁寧な捜査をおこなわない可能性があります。

ただ、警察は、現場で車などの破損状況の写真を撮ったりして「物件事故報告書」という書類を作成します。

 

この「物件事故報告書」は、後日、当事者間で紛争になった時、事故発生時の状況を把握する1つの資料として約立つ場合もあります。

 

情報公開制度を利用すれば、個人で入手することができます。

 

 

(最新判例:交通事故)「もらい事故」でも賠償義務あり(福井地裁)

 

車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、福井地裁は、4月13日、直進してきた対向車側にも責任があるとして、対向車側に約4000万円の損害賠償を命じる判決を下しました(2015年4月17日福井新聞ONLINE)。

 

死亡した男性は、自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていました。

被害男性が加入する車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態でした。

そこで、遺族は、自動車損害賠償責任法(自賠法)3条にもとづき、対向車側に請求をしました。

 

自賠法3条は「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任に任ずる」と定め、「ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し、注意を怠らなかったこと・・・を証明したときは、この限りでない」と規定しています。

 

判決は、「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ、自賠法3条にもとづき賠償義務があると判断し、遺族を救済しました。

 

同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてのようです。

 

新聞報道だけなので、事案がよくわかりませんが、興味深い判決です。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

(法律コラム:交通事故)後遺障害非該当から後遺障害7級へ(中心性脊髄損傷の事案)

交通事故で傷害を負い、後遺障害を負った場合、

被害者は加害者に対して

後遺障害を負ったことによる損害の支払いを求めることができます。

 

このとき、実務上必ず行われるのが、

自賠責損害調査事務所による後遺障害の認定手続です。

被害者の方に残った後遺障害がどのようなものか、

後遺障害等級何級に該当するのかが認定されます。

 

ところが、この自賠責の等級認定において、

等級される認定が低かったり、

場合によっては非該当などと判断されてしまうケースもあります。

その場合は、加害者側との交渉は当然難航しますので、

訴訟を提起して裁判所に後遺障害の有無や等級について、

判断してもらう必要が出てきます。

 

私が最近担当した事案では、

交通事故後、片腕と片足が麻痺に至ったという事案で、

主治医の診断では「中心性脊髄損傷」とされていたにもかかわらず、

自賠責で後遺障害非該当とされてしまった事案がありました。

 

中心性脊髄損傷とは、

その名のとおり衝撃によって脊髄の中心部が損傷されることをいい、

MRI画像上の異常所見が現れにくいこともあって、

交通事故の事案では度々後遺障害該当性が争いになることがあります。

上記事案でも、MRI画像の所見について、

主治医の診断と自賠責の判断が正面から対立し、

訴訟に持ち込まれたのでした。

 

結論として、上記事案では、

カルテやMRI画像等の医証を十分に検討し、

事故後の症状が中心性脊髄損傷との診断と合致し

主治医の診断が信頼できるものであることを詳細に主張立証した結果、

判決では主治医の診断が支持されました。

片足の麻痺については、既往症の関係で非該当とされたものの、

片腕の麻痺について後遺障害7級相当との認定を得ることができました。

依頼者の方にとっては、

後遺障害非該当であれば、損害賠償額0円のところを、

1000万円を超える損害賠償を獲得できることになりました。

 

このように、自賠責の等級認定は、

必ずしも裁判所の判断と一致するものではないのです。

等級認定が低すぎる、不当だという場合は、

あきらめず争ってみることも大切ですね。

 

(弁護士 日野田 彰子)

(最新判例:交通事故)自転車事故に高額賠償判決(神戸地裁)

 

 

2008年9月、当時小学5年生だった少年が自転車で女性(67歳)に衝突し、その女性は意識が戻らず寝たきり状態となったという事故について、7月4日、神戸地裁は、「事故を起こさないよう子どもに十分な指導をしていなかった」と判断。少年の母親に対し、被害者の女性に約3250万円、保険会社に約6000万円の賠償金を払うよう命じました。

 

事故は、少年が、マウンテンバイクで坂を時速20~30キロのスピードで下っていた際、女性に衝突したものです。

 

判決は、「少年の前方不注意が事故の原因」と認定した上、母親が監督義務を十分に果たしていなかったと判断しました。

 

未成年の子どもが事故を起こした場合、その子ども本人に責任能力を認めるのか、親に責任を認めるのかが争われることがあります。

本件は、当時小学校5年生ということですから、11歳くらいですね。

12歳以上になると、未成年であっても、子ども本人に責任能力が認められることが多いようですが、裁判所も一概に年齢だけでは決めていないようです。

 

自転車も加害者になることが多く、本件のように、事故が重大で、高額な賠償金が命じられる場合もあります。

注意しましょう。

 

なお、判決が保険会社にも約6000万円の賠償を払えと命じたのは、おそらく被害者側が人身傷害特約に加入されていて、そこから6000万円の支払を受けたため、保険会社が加害者に求償していたからではないかと思われます。

 

(弁護士  村松いづみ)

(法律コラム・交通事故)交通事故と労災

 

通勤途中や仕事で外出している時に事故に遭った場合は、労働災害(労災)にあたります。

 

この場合、被害者は、加害者の自賠責保険や任意保険に損害賠償を請求できるとともに、自分の使用者が加入している労災保険にも請求することができます。
ただし、どちらにも請求することができると言っても、同じ損害について二重に給付を受けることができるわけではありません。
また、労災保険からは、慰謝料や物損事故の損害など支給の対象となっていない損害もあります。

 

では、どちらから請求した方が良いでしょうか。

一般的に言うと、任意保険会社は、私企業ですから、被害者の通院が長期化すると、独自の判断で治療費の支払いを打ち切ってくることが多いと思います。
労災でも打ち切りはあるのですが、任意保険会社の方がより厳しいでしょう。
ですから、通院が長期化するような場合には、労災保険から先に支給を受けた方が良いと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム・交通事故)「顔の傷」の後遺障害等級が男女同一に

 

当事務所の弁護士村井豊明と弁護士村松いづみが弁護団の一員として、2010年に勝ち取った違憲判決(労災保険における外貌醜状の後遺障害等級が男女差別であること=男性が低く評価されていること)によって、2011年2月から労災の基準が男女同一に改定されました。

 

それに続いて、交通事故の自賠責保険の後遺障害等級における外貌醜状の男女差別についても、2011年5月2日に男女差が解消された新しい施行令が公布されました。

 

いつ発生した交通事故から適用されるかですが、上記違憲判決が確定した2010(平成22)年6月10日以後に発生した事故について適用されます。

 

(改正内容)
7級12号  外貌に著しい醜状を残すもの        保険金額 1051万円
9級16号  外貌に相当程度の醜状を残すもの      保険金額  616万円
12級14号 外貌に醜状を残すもの           保険金額  224万円

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:交通事故)自転車事故を甘くみてはいけない!

 

最近、自転車事故が急増しています。
対歩行者事故は10年間で約4.5倍増加、自転車同士は10年間で約6.3倍増加しています。

 

自転車は、道路交通法上は「車両」(2条8号、11号)として扱われています。

 

自転車で相手にケガを負わせた場合、損害賠償責任の内容は、基本的には自動車による交通事故などと同じです。
ところが、自転車の場合、自動車のような強制保険の制度がありませんので、もし事故を起こし、相手に重いケガを負わせる、あるいは死亡させてしまう、ということになれば、自転車の任意保険に加入していない限り、多額の損害賠償金を自己負担しなければならなくなります。

 

過去の判例でも、骨折させた女性歩行者に対し約1800万円の損害を認定したもの(大阪地裁平成10年10月16日判決)、75歳の女性歩行者に頭部外傷の傷害を負わせ約3120万円の損害を認定したもの(名古屋地裁平成14年9月27日判決)などがあります。

 

自転車だからと甘くみず、ルールを守り安全運転で走行しましょう。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:交通事故)賠償責任を負うのは誰?

 

交通事故でケガを負った場合、誰に損害賠償を請求できるでしょうか?

 

事故を起こした運転者は、当然です。
その運転者が仕事中の場合には、使用者に対しても請求することができます(民法715条)。

 

また、人身事故については「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)も賠償責任を負います(自動車損害賠償保障法3条)。
例えば、車の所有者が他人に車を貸し、その他人が事故を起こした場合、その所有者にも責任があります。
ただ、盗難にあった場合など運行供用者にあたらない場合もありますので、運行供用者として請求を受けた場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム・交通事故)主婦と交通事故

 

最近の女性ドライバーの急増ぶりには目を見張るものがあります。現在、女性の免許保有者は約3500万人。でも、それだけ、交通事故に遭う危険性も高まったと言えます。

 

ところで、家庭の主婦が交通事故でケガをし、入院のため家事ができなかった場合、どのような請求ができるでしょうか。

 

家事労働は家庭内ではなくてはならないもので、これを家政婦さんなどに頼めば給料を払わなくてはならないわけですから、それ自体経済的な価値があることは明らかです。
しかし、現実は、主婦に給料が支払われているわけではないので、損害を計算するには、通常、女性労働者の平均賃金を基準とします。
従って、主婦がケガによって入院したため家事が出来なかった場合には、その日数に女性の平均賃金をかけた額が休業損害となります。

 

また、実際に家政婦さんを雇った場合には、それが必要かつ相当で、支払った給料も特に高額でない限り、全額加害者に請求することができます。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム・交通事故)交通事故でも健康保険は使えます

 

交通事故に遭った被害者の方から、「交通事故の場合は自由診療なので、健康保険は使えませんと病院で言われました」という相談を時々聞きます。

 

そんなことはありません。

 

交通事故でも健康保険は使えますので、もし、病院でそう言われた場合には、ちゃんと理由を聞きましょう。

 

被害者にいくらかでも過失があるような場合には、自分も過失割合に応じて負担しなければなりませんので、健康保険を使った方が良いと思います。

被害者に全く過失がない場合には、自由診療で治療費が高くなっても、いいじゃないかと思われるかもしれません。
でも、加害者が任意保険に加入していないような場合、強制保険である自賠責の120万円を超えると、もし加害者に資産がないと、それ以上、支払ってもらえない可能性もあります。

 

健康保険を使うかどうか迷うような場合には、1度、弁護士にご相談ください。

 

(弁護士村松いづみ)

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