離婚- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:離婚)養育費の不払い、市が保証(兵庫県明石市)

 

兵庫県明石市は、離婚した非監護者からの養育費が不払いになっている市民に年間最大60万円の養育費の支払いを保証する制度を2018年11月から始めます。

今年度は、モデル事業として、18人分の保証料にあたる90万円を予算に組み込み、1年間モデル事業として実施し、本格導入の可否を検討するそうです。

 

自治体が養育費の支払いを保証するのは全国初です。

 

対象は、調停調書や公正証書で養育費を受け取る権利があることを証明できる市民です。

申込みがあれば、養育費を保証するサービスを提供する会社に、市が制度を利用する市民に代わって保証料を支払い、サービスに加入。

不払いが生じれば、会社から月5万円を上限に、最大年60万円が支払われるというものです。

会社は、支払義務者に対し、督促して、回収することになります。

 

明石市は、離婚後のこどもの養育支援を積極的に行っており、面会交流の場所の提供や面会交流のサポートも行っています。

 

アメリカでは、養育費の不払いに対して厳しい措置が取られており、裁判所の履行命令に従わなかった人に対しては、懲役刑も科せられます。

 

養育費の不払いに対する支援は、自治体任せにするのではなく、国全体で考えなければならない問題だと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム:離婚)不貞行為の慰謝料(その2)(「家庭の法と裁判」2017年11号)

 

2017年7月31日の(法律コラム:離婚:不貞行為の慰謝料)の続きです。

「家庭の法と裁判」2017年11号に、同年10号に引き続いて、平成27年10月から平成28年9月までの1年間に東京地裁で言い渡された不貞行為の慰謝料に関する裁判例123件の分析が掲載されました。

 

今回は、どのような事実があれば不貞行為が認定できるか等が内容で、この種事件の核心的部分だと思われます。

週刊誌をにぎわせた芸能人や政治家らは、一緒にホテルの部屋で過ごしても、「一線は越えていない」「不倫関係にはない」と言ったりしていましたが、訴訟の場で裁判所はどのような認定をしているのでしょうか。

 

①配偶者の自白

配偶者の自白を証拠として認定したケースは、21件中9件あり、不貞認定の有力な証拠となっていることがうかがわれます。しかし、他方、配偶者の自白があるにもかかわらず認定しなかったケースが13件中7件あることから、自白していても当然に不貞行為が推認されるわけではありません。

なぜなら、不貞を疑われる行為をした方は、負い目や、あるいはその場を収めるために、認めてしまうということもあるからです。

 

②LINE・メール等

これらが不貞行為を疑わせる証拠として提出されるケースは増えているように思われます。

しかし、そのやりとりの内容が重要です。

例えば、メールで「愛してるよ」「大好きだよ」との記載があっても、同じ内容を被告以外の者にも送っているような事案では、不貞行為を推認することはできないとする判例があります。

また、メールにより不貞行為を認定した判例も、そのメールだけではなく、そのほかの不貞を推認させる事実を加えて認定しています。

 

③興信所・探偵者の調査

調査結果が証拠として提出されても、不貞行為が認められないとした事例が13件中2件ありました。

この2つは、いずれも配偶者の単身赴任先や相手方の自宅などを他方が訪問しているケースで、宿泊していないことなどから、他の目的による滞在ということも考えられることが可能な事案でした。

他方、通常、ラブホテルへの数時間の滞在については、不貞をしていると推認できる経験則があると判例は見ているようです。

 

④2人で外泊

遠隔地の旅館に同宿したという場合には、一般に不貞行為が推定されると考えられます。

 

⑤疑わしい行動(深夜帰宅等)

これだけで認定されるのは難しいです。

 

⑥疑わせる行為の現認

相手方の反論、弁解に合理性がない限り、認定されてもやむを得ないと判断されています。

 

(雑感)

相談に来られた方から「こんな証拠で勝てますか?」と聞かれることが割とあります。

実際に扱った事件の経験や過去の判例から回答はしますが、最終的には担当した裁判官の総合判断ということになるでしょう。とりわけ微妙な証拠の場合には。

でも、証拠として不十分でも、今後、これ以上新たに証拠を入手する可能性がなければ、それで損害賠償の請求するかどうかは、最終的にはご本人が決めることですね。

 

 

 

 

(最新判例:離婚)離婚後の子どもの引き渡し、民事の仮処分も利用可能(最高裁)

 

離婚後、親権を持つ親が、離婚して子どもを養育している相手に対し、子どもの引き渡しを求める場合の手続き方法などについて、最高裁判所が判断を下しました(2017年12月7日NHKニュース)。

 

これは、離婚後、親権者となった父親が、子どもを養育している非親権者の母親に対し、子どもの引き渡しを求めたという事案です。

 

親同士の間で子どもの引き渡しを求める手続きとしては、

①家庭裁判所における子どもの監護者指定と子どもの引き渡しを求める審判申立て等

②地方裁判所における人身保護請求

が、これまで一般的と言われていましたが、本件では、父親は、地方裁判所における民事の仮処分という手続きで子どもの引き渡しを求めました。

 

一審も二審も、子どもの引き渡しは、家庭裁判所で扱うべき事案で、民事訴訟の保全手続きで求めることはできないとして、父親の申立を認めませんでしたが、最高裁は、民事裁判の仮処分でも引き渡しを求めることはできると判断しました。

 

しかし、手続きとしては利用できるけれど、本件の事案では、「子どもの利益を害する親権の行使は権利の濫用として許されない」と判断し、父親の抗告を認めませんでした。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)不貞行為と「一線を越えていない」という言い訳

 

最近、相次いで週刊誌にフライデーされた、今井絵理子参議院議員と橋本神戸市議、そしてお笑い芸人宮迫博之と複数女性との不倫疑惑報道。

 

どちらの件もホテルで同室して過ごしたにもかかわらず、「一線を越えていない」という記者会見。

いったい「一線」って何?

 

配偶者が不貞行為を行った場合には、配偶者に対しては離婚や慰謝料を、相手方に対しては、慰謝料を請求することができる。

民法の解説書には、「不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性交渉を行うことをいう」と書かれてある。

だから、法的には「一線」とは「性交渉を行ったか否か」ということになる。

しかし、実際、「性交渉を行っている現場」を証拠として提出することはきわめて難しいので、訴訟となった場合、裁判官が不貞行為を認定する時には、配偶者とその相手との間にどのような外形的事実の証拠があるかで判断する。

いくら疑惑のある当事者が「一線を越えていない」と言い張っても、裁判官は、様々な外形的事実を経験則にあてはめて不貞行為が成立するか否かを判断するのである。

 

私が、これまでに、妻側の代理人として、不貞行為の相手女性に対し慰謝料を求めたいくつかの事件。

 

まず、慰謝料を求める内容証明郵便を出す。

(相手方の回答)「一線は越えていけないと考えていた」「不貞行為と言われるような事実はない」←全面否定。

 

やむなく、訴訟提起。

(相手方の答弁)「付き合っていたが、肉体関係はない」「ホテルに宿泊したことは認めるが、肉体関係を含むような男女関係はない」←どこかで聞いたような言い訳。

 

メール・手紙・写真・ホテル利用・相手方の自宅への深夜訪問などの証拠を提出

(相手方の主張)「ホテルでは、一緒に食事をして、映画を観て、ゲームをして、別々のベッドで寝た」「自宅へは食事に来ていただけ」←往生際が悪い!

 

審理の結果、判決は「不貞関係は明らか」と認定。

 

私の実感としては、ホテルの同室で過ごせば、訴訟上は、オフホワイトなんかじゃなく、もうブラックですね。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)婚姻関係の「破綻」とは?

 

マスコミでは、今井絵理子参議院議員と橋本神戸市議との不倫の話題がまだまだ続いています。

そして、最近では、現在離婚調停中の橋本市議の妻の代理人弁護士が橋本市議の主張に反論をしています。

 

その内容は、橋本市議の「夫婦関係は4ー5年前から破綻していた」という記者会見の言い分に対し、妻側の反論は「去年8月一方的に離婚してくれと言われた、9月から家に帰らなくなった」というものです。

 

訴訟などで不貞行為が争われる場合、不貞行為を行った配偶者のほとんどは「婚姻関係は破綻していた」と主張します。

他の女性との関係が始まった時に、夫婦関係が「破綻」していれば、不貞行為の責任もないことになるからです。

では、いったい「破綻」とはどういうことを意味するのでしょうか?

 

夫婦の実態は、それぞれ異なりますから、裁判上も「破綻」についての客観的基準はないと言ってよいでしょう。

但し、たとえ気持ちが離れていたとしても、同じ屋根の下で一緒に暮らしている間は、なかなか裁判所は「破綻」を認定しません。

その意味で、別居は1つの破綻の徴表であるとは言えます。

しかし別居について「破綻」が認定されるには、ある程度の期間が必要ですが、どのくらい別居が続けば「破綻」と言えるのかは難しい問題です。

また、単身赴任のようなケースだと、「破綻」を認定するのは、もっと難しいでしょうね。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:離婚)不貞行為の慰謝料(「家庭の法と裁判」2017年10号より)

 

またまた国会議員の不倫がマスコミをにぎわせています。

あの元アイドルグループ・スピードのメンバーだった今井絵理子参議院議員と橋本神戸市会議員。

芸能人のAさんとBさんとの不倫であれば、国民には何の関係もありませんが、議員の場合、国民の代表者としてきちんと仕事しているの?デートのためのホテル代や新幹線代を政務活動費から出してるんじゃないの?など政治家としての資質に疑問を持ってしまいますよね。

 

それは、さておき。

 

「家庭の法と裁判」という雑誌の2017年10号に、「不貞行為慰謝料に関する裁判例の分析(1)」という論文が掲載されていました。

弁護士が書いたもので、平成27年10月から平成28年9月までの東京地裁での123件の裁判例を分析したもので、なかなか興味深い論文です。

 

まず、誰が裁判の当事者だったか。

原告は、妻が59件、元妻が25件、夫が18件、元夫が19件。

被告は、不貞行為の相手が97件。

 

不貞行為の慰謝料として、いくら請求したか。

請求額は、200万円から1500万円まであったようですが、300万円~399万円が40件と最も多く、次いで500万円~599万円が35件だそうです。

 

それに対して、判決は、いくらを認めたか。

100万円~149万円   23件

150万円~199万円   27件

200万円~249万円   18件

250万円~299万円    6件

 

「不貞行為の慰謝料はいくら位ですか?」と質問されることはよくありますが、判決では、おそらく300万円を超えることはあまりないものと思われます。

 

不貞行為の慰謝料に限らず、日本の慰謝料の金額は低いと言われていますが、この判決の認容額をみても、何十年もほとんど変わっていない、むしろ以前より低くなっているような気がします。

配偶者は貞操義務を負いますが、不貞行為の相手の責任は2次的という考え方が強くなっているのかもしれません。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)自分の子どもでも連れ去ると誘拐となる場合があります

 

最近の報道で、実の娘2人を連れ去るなどしたとして、父親とその両親ら計5人が未成年者略取罪等の疑いで警察に逮捕されたという記事がありました。父親は離婚調停中だったようです。

 

夫婦のどちらかが子どもを連れて別居し、離婚の協議になると、子どもの親権者をどちらにするかで争われることはよくあります。

そして、子どもを監護していない方の親は、「子どもの勝手に連れて行った」として、子どもを実力で連れ戻すということも起こります。

 

報道されたケースでは、このような場合に、たとえ自分の子どもであっても、そして離婚が成立しておらず父親がまだ親権者であっても、「誘拐」の疑いがあるということで逮捕されました。

 

これまでに最高裁(平成17年12月6日付け判決)は、保育園から帰宅する途中に子ども(2歳)を奪い、未成年者略取の罪に問われた親権者である被告人について、子どもの監護養育上現に必要とされるような特段の事情は認められないから、その行為は、親権者によるものであるとしても、正当なものということはできないと判断しました。

また、行為が粗暴であったことや、子どもの年齢、略取後の監護養育に確たる見通しがなかったとして、「家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまると評することもできない」とも判示しました。

 

ただ、実際には、このようなケースについて、どこの警察でも捜査に着手するかは不明です。

 

 

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)死後離婚~姻族関係の終了~

 

最近、テレビのニュース番組でよく取り上げられる「死後離婚」。

夫婦の一方が死亡すれば離婚はできないので、「死後離婚」って何でしょう?

 

これは、夫婦の一方が死亡した後に、その姻族との関係を断つ「姻族関係の終了」を表す造語です。

残された者と亡配偶者の父母とは「姻族」という関係にあります。

民法728条2項は、「夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも」終了すると定めています。

 

近年、この姻族関係終了の届け出を出す人が増えているようで、2015年は2785件。

絶対数は少ないですが、5年前から40%以上アップしているそうです。

 

姻族関係が残っていても、義父母などの相続ができるわけではありませんし、特別の事情のない限り扶養義務もありません。

それでも姻族関係を終了したいとする人が増えているのは、残された者と義父母らとの「気持ち」の問題があるからだと推測します。

 

手続きとしては、姻族関係終了届を役所に提出するだけです。

義父母の同意は不要です。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(最新判例:離婚)離婚後の親権について、面会交流重視の原審を覆す(東京高裁)

 

テレビのニュースでも報道されるような、離婚後の親権に関する判決が、2017年1月26日、東京高裁で言い渡されました。

 

両親が離婚する際、親権をどちらにするか争われるケースはたくさんありますが、それが、テレビや新聞で取り上げられることは、まずありません。

では、なぜ、上記事件が、テレビで報道されるほど注目されたのでしょうか。

 

それは、この事件の原審である千葉家裁松戸支部が、2016年3月、離れて暮らす親と子どもとの面会交流について、子どもと暮らす母親側が「月1回」と主張したのに対し、父親側が「年間100日以上、子どもと会わせるようにする」と提案したことを理由に、父親の方を親権者としてふさわしいと異例な判断をしたからでした。

 

その控訴審である東京高裁は、親権者を決める際には、まず「これまでの養育状況や、子の現状と意思を総合的に考慮すべき」と指摘し、面会交流について「離婚後も円満な親子関係を形成する有効な手段だ」と認めつつ、「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきではなく、他の事情より重要だとも言えない」としました。

 

その上で、「年100日」とする父親の提案では「長女の体の負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」とし、「月1回程度」という母親の提案は「不十分ではない」と判示しましました。

 

そして、長女の現在の養育環境に問題はなく、長女の利益を最も優先して考え、母親を親権者と決定しました。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)財産分与と税金について

 

弁護士は、税理士と違い、税金の専門家ではありません。

しかし、様々な事件に関わるにあたり、基本的な税金の知識は必要だと考えています。

そうでないと、事件が解決したと思っても、その後に依頼者の方に思ってみなかった税金がかかってくる場合があるからです。

ですから、依頼者の方には、こういう場合には税金がかかるかもしれないということを伝え、必要であれば、顧問税理士に尋ねたり、紹介したりしています。

 

税金との関係で、案外、知られていないのが、離婚で不動産を財産分与する場合、分与する側(義務者側)にも税金がかかる可能性があるということです。

 

すなわち、不動産で財産分与する場合、その不動産が購入時よりも値上がりしていたときには、義務者側にも譲渡所得税が課税される可能性があります。

 

最高裁は、譲渡所得税は、資産の値上がりによってその所有者に帰属する増加益を、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、所得として清算させる趣旨であるとして、課税を肯定しました(昭和50年5月27日付け判決)。

 

所得税基本通達も「財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であり、贈与ではない」としています。

 

先日、離婚調停の席上、不動産の財産分与が問題となったので、義務者側に課税の可能性があることを調停委員に申し上げたところ、調停委員は、そのことを全く知らず、「本当にそうですか?」と逆に尋ねられました。

 

離婚調停の場合、弁護士が委任されていない事件も多いので、調停委員がこのようなことを知らないと、調停成立後に課税されて「こんなはずじゃなかった」と思われる方もいるのではないかと思いました。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

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