離婚- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:離婚・相続)家裁が変わる~新しい家事事件手続法のポイント(その2:調停での同席?)

 

先日、弁護士会の委員として、家事事件手続法に関する京都家庭裁判所との意見交換会に出席しました。

その席上、家裁側から、今後、調停の際、その手続きの説明については、原則として、双方当事者立会いのもとで行いたいとの提案がありました(実施は、2013年12月2日から)。

 

主な目的は、当事者が手続きの内容、進行予定、他方当事者の言い分や対立点を的確に理解して共通認識にすること、及び家裁への信頼を図ることです。

 

あくまで手続きや言い分などを調停委員が説明する場であって、当事者双方が同席して調停を進めるわけではありません。

 

しかし、例えば、DV事案の離婚調停や遺産分割調停でも鋭く感情的に対立している場合などは、たとえ手続きや対立点でも当事者が同席することが好ましくない、あるいは当事者に大きなストレスを与えることもあると思われます。

 

従って、とりわけ弁護士を代理人につけていない事件の当事者の方については、たとえ説明だけであっても、相手方と同席したくない場合には、調停委員に対し、はっきりその意思を伝えましょう。

同席を拒否したからと言って、何か不利益となることはありませんので、ご安心ください。

 

 

※「新しい家事事件手続法のポイント」(その1:申立書が相手方に送付される)は、2013年4月23日付け法律コラムに掲載しております。

 

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)別居中の夫が健康保険証を渡してくれない時

 

夫婦が不仲となって別居した後、自分や子どもが医者にかかろうとした時に、別居中の夫が健康保険証を渡してくれない、そんなことが時々あります。

 

以前は、健康保険証が1通しか発行されなかったため、夫の方も「自分も医者にかかる必要があるから」などと言って拒否する場合がありました。

そんな時、夫の職場に頼んで遠隔地証明を出してもらったりしたこともありました。

 

最近では、健康保険証もカードとなり、子どもも含めて家族一人一人の分が発行されるようになったので、保険証が1通しかないことに起因するトラブルは減ったと思います。

 

では、別居中の夫が嫌がらせで健康保険証を渡してくれない場合は、どうすればよいでしょうか。

自分や子どもを夫の扶養家族としているような場合、夫自らが職場に子どもを扶養から外す手続きをしてくれないと被扶養者から外れません。

しかし、嫌がらせで保険証を渡してくれないような夫にそのような行為はとうてい期待できません。

かような場合、夫からの手続きがされなくても、妻である被害者から、婦人相談所などが発行する配偶者からの暴力の被害を受けている旨の証明書や裁判所の保護命令、配偶者暴力相談支援センターなどが発行する証書などを添付して被扶養者から外れる旨の申し出がなされた場合には、被扶養者から外れることができます。

同伴者である子どもも同様です。

その上で、妻が国民健康保険に加入して子どもをその扶養家族にするなり、自分の社会保険の扶養家族にする手続きを取ってください。

 

暴力は、肉体的暴力に限られません。

保険証がないため、病院に行けない、あるいは実費で通院している、そんな場合もあると思います。

このような手続きを利用しましょう。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

(法律コラム:離婚)約2年の別居で離婚認めず(東京高裁)

 

離婚についての法律相談を受けていると、時々、離婚原因が「性格の不一致」や「価値観の相違」しかないケースがあります。

「性格の不一致」や「価値観の相違」という原因でも、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合には離婚は認められます。

 

「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断の中には、「別居期間」も考慮されます。

では、何年くらい別居したら、裁判所は離婚を認めてくれるでしょうか。

裁判官によっても、事案によっても、一概には言えませんが、下記のような判例が1つの参考になります。

 

東京高裁平成25年4月25日判決は、別居期間が約2年になろうとしていた離婚事件で、別居は性格や価値観の相違が大きな要因であったと認定し、別居は突然で、改善の努力をしたが問題が解消されないというような事情がないなどと判断。

夫がまだ夫婦関係の継続を望んでいることも考慮し、妻の離婚請求を認めませんでした。

 

この事件で、妻は負け、夫は夫婦関係の継続を望んでいるわけですが、おそらく、妻は夫とやり直すことはないでしょう。

また、何年か別居して、離婚を求めるしかないですね。

 

ところで、「性格の不一致」しか原因がないから「離婚は無理」と思い込んでいる方もおられますが、弁護士がよくよく話を聞いてみると、「性格の不一致」を超えた原因がある場合もあります。

やはり弁護士などの専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム:離婚)有責配偶者の資産と離婚慰謝料の額

 

よく芸能人が離婚する場合、慰謝料の金額が何千万円とか何億円などという記事を目にします。

ただ、これらの数字は、実は、財産分与の額や養育費なども含まれていることもありますし、また合意をもとに慰謝料を決めた場合かもしれません。

ですから、いくら配偶者が資産家であっても、裁判所が芸能人なみに慰謝料を定めるわけではありません。

 

有責配偶者が金持ちであろうと貧乏であろうと、それだけでは他方配偶者の離婚によって受けた精神的苦痛に変わりはないはずです。

よって、現在の裁判所は、保有資産の額や給与の金額によって、(多少影響はあるかもしれませんが)大きく慰謝料の金額を変えることはしていません。

 

精神的苦痛を受けた側の感情からすれば、例えば1億円稼いでいる有責配偶者が仮に200万円の慰謝料を支払えと命じられても痛くもかゆくもなく、悔しいという思いがあるでしょう。

 

外国では、「制裁的慰謝料」「懲罰的慰謝料」などの考えをとっている国もあるようですし、日本でも学説では存在しますが、日本の裁判所は、離婚慰謝料に限らず、どの慰謝料についても、加害者の資産は大きな比重は占めていません。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚)離婚後婚姻時の姓を選んだが、旧姓に戻りたい

 

離婚する時、旧姓に戻るか、そのまま婚姻時の姓を名乗るか、迷う方もいらっしゃると思います。

離婚届を提出すると、一旦は旧姓に戻りますが、離婚から3ヶ月以内であれば、届出をするだけで、婚姻時の姓を続けて使うことができます(民法767条)。

ですから、迷う場合には、3ヶ月かけてゆっくり考えたらいいよとアドバイスします。

 

Aさんは、夫と離婚する際、子どもの姓をAさんの旧姓に戻すのなら離婚に応じないと言われ、子どもと別の姓になりたくなかったため、やむなく婚姻時の姓を選択しました。

離婚後、Aさんは、生活の中で元夫の姓を使いたくなかったため、日常生活や仕事関係において、旧姓を通称として使ってきました。

 

そんなAさんから「戸籍を正式に旧姓に変更できませんか?」という相談を受けました。

既に離婚から7年が経過しようとしていました。

1度婚姻時の姓を選んでしまったAさんが戸籍も旧姓に変えたい場合には、家庭裁判所の許可が必要です。そして、その場合、姓を変更する「やむを得ない事由」が要件となります(戸籍法107条)。

Aさんが使用してきた仕事上の名詞、年賀状などの手紙、子どもの学校からの保護者への文書など、長年にわたり日常的に旧姓を使い続けてきたという証拠を添えて申し立てを行いました。

 

その結果、家裁は、Aさんが戸籍上の姓を旧姓にすることを認めました。

 

姓や名前を変えることは簡単ではないと言われていますが、いろいろ過去の裁判例を調べてみると、婚姻時の姓を選んだ人が、その後、旧姓に変更することは要件も緩やかに解されているような気がします。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

 

(法律コラム・離婚)養育費が払われない時~履行勧告・履行命令

 

家庭裁判所の調停や審判、あるいは離婚訴訟の判決の中で養育費の金額が決まっても、義務者がそれに従わず、支払わない場合があります。

 

もちろん強制執行をすることもできますが、それは最後の手段として、まずは、相手(義務者)に対し支払いを促したいと考える場合もあります。

しかし、権利者から督促しても、義務者に感情的なしこりが残っている時など素直に応じない場合もあるようです。

 

そこで、家庭裁判所から支払いを促してもらう制度があります。

 

1つは、履行勧告という方法です。

これは、権利者が申し出れば、当該裁判をした家庭裁判所が履行状況を調査し、義務者に対し、その履行を勧告してくれます。

 

2つ目は、履行命令という方法です。

家裁は、権利者の申し立てにより、義務者に対し、相当な期限を定めて義務の履行をすべきことを命じるものです。義務者が正当な理由なくその命令に従わないときには過料の制裁もあります。

 

養育費の取り決めの方法について、「家裁の調停の方がいいですか?公正証書の方がいいですか?」という相談を受けることがあります。

調停調書でも公正証書でも法的な効力はどちらも同じです。

元夫婦の間で金額の合意さえできていれば、公正証書の方が時間的には早く作成してもらえますが、上記のような履行勧告や履行命令を利用できるということを考えれば、家裁で取り決めた方が良いと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(法律コラム:離婚)子の引き渡しの直接強制、「原則自宅で」

 

離婚した夫婦の子を裁判所の執行官が一方の親から強制的に引き離す「直接強制」について、全国の裁判官らが協議し、学校や通学路などで行っていた執行をやめ、原則自宅で執行することを決めました。

最高裁が5月中にも全国の裁判所に周知するとのことです(2013年5月11日付け読売新聞)。

 

夫婦が別居した場合や離婚した場合、そのどちらかが子どもを監護しているわけですが、非監護親から監護親に対し「子どもを返せ」という申し立てが家裁になされることがあります。

 

家裁は、双方の言い分や生活状況などを聞いた上で子どもがどちらの親のもとで生活するのがより良いか判断を下します。

家裁が子どもの引き渡しを命じた場合、監護親が素直にそれに従って子どもを非監護親に戻せば問題はないのですが、従わない場合には、強制執行が問題になります。

 

そもそも子どもは「物」ではありませんので、裁判所の執行官が監護親と子どもを直接引き離すという強制執行(直接強制)が可能かという議論があります。

民事執行法には、子の引き渡しの直接強制についての明文規定はありませんが、最近の執行の実務では、一定の事件については直接強制も可能として手続きは行われているようです。

 

しかし、直接強制ができるとしても、実際に子どもを取り戻すことは簡単ではありません。

子どもが通常いる場所がどこかなど正確な情報が必要で、自宅以外に、保育園や学校、通学路などで執行が行われてきたようです。

 

今回、執行場所は「自宅を原則とする」というルールが初めて出された背景には、保育園で監護親と執行官がもみ合いになるなど多くのトラブルが生じていたと報道されています。

でも、果たして、自宅であれば、そのようなトラブルは減るのでしょうか。

 

どのような議論の中でこのようなことがルール化されるのか、これからも情報を集めていきたいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム:離婚・相続)家裁が変わる~新しい家事事件手続法のポイント(その1:申立書が相手方へ送付される)

 

2013年1月1日から、新しい家事事件手続法が施行されました。

 

これまで家庭裁判所で行われる家事事件の手続きについては、昭和22年に制定された家事審判法により定められていました。

しかし、その後、時代とともに我が国の家族をめぐる状況や国民の法意識が変化したことから、現状に適合した内容とするということで、全面的な見直しが行われ、昨年5月に家事事件手続法が制定されました。

 

ただし、この法律が施行される前に申し立てられた事件には、原則として適用がありません。

 

改正点は、たくさんあります。1度で説明することは困難ですので、今後このコーナーで少しずつお話していきたいと思います。

 

まず、大きく変わったのは、調停申立書や審判申立書の写しが相手方に送られるようになりました。

これまでは、相手方には期日の呼出状だけが送られてきましたので、申立人が何を求めているのかは実際に第1回期日に行ってみないとわからないということがよくありました。

申立書が送付されることによって、相手方もそれについて準備をして第1回の期日にのぞむことができるようになったわけです。

ただ、DVなどのため相手方に住所などを知られたくない場合には、別に記載方法がありますのでご相談ください。

 

調停中に提出する書面や資料は、すぐには相手方の目にはふれませんが、調停が不成立になって審判に移行するような事件の場合(例えば、婚姻費用分担請求や遺産分割など)には、原則として記録を閲覧したり、謄写したりすることが許されます。

よって、最終的には相手方の目にふれることがあるという前提で提出する必要があります。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム・離婚)試行的面会交流

 

「試行的面会交流」というのは、別居中の非監護親から監護親(子どもと一緒に暮らしている親)に対し、子どもと面会したいという調停や審判が申し立てられた場合、家庭裁判所が、その手続きの中で、非監護親と子どもとの面会の様子や状態を知るなどの目的のため、非監護親と子どもとが「試しに」面会することを言います。

 

京都弁護士会では、2013年4月16日、京都家裁から裁判官と調査官に来ていただき、「試行的面会交流」の研修会を行いました。

 

試行的面会交流の方法は、家裁の中のプレイルームという部屋で行う方法と外で行う方法とがあり、いずれも家裁の調査官が立ち会います。

 

京都家裁のプレイルームは、6畳くらいの広さの部屋で、おもちゃやぬいぐるみ、ゲームなどがたくさん置いてあって、子どもと親とが一緒に遊べるようになっています。

そのプレイルームは、隣の部屋からガラス越しに様子を見ることができます(プレイルームの方からは見えません)。

 

また、京都では、紅葉で有名な永観堂の協力をいただき、永観堂の中で試行的面会交流が行われる場合もあります。

 

子どもの面会交流は、親同士の感情的な対立のもとで、なかなか話し合いが進まないこともありますが、子どもにとって何が一番利益になるのかを考えて決めなければならないと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(最新判例・離婚)離婚などの父母の子の面会拒否に「間接強制」を認める(最高裁)

 

父母が別居や離婚をしたため離れて暮らす子どもと非監護親との面会について、調停や審判で決まったことが守られず、子どもとの面会が実現しない場合があります。

そのような場合、間接強制(例「面会を履行しない時は、1回につき金●円を支払え」)が認められるかが問題となっていましたが、3月28日、最高裁判所は、3件の事件について初めての判断を下しました。

 

最高裁が間接強制を認めたのは、3件中1件だけでした。

最高裁は、判決の中で、面会の日時や頻度などを具体的に取り決めても約束が守られない場合は、制裁金の対象となると判示しました。

 

間接強制が認められた札幌事件の場合には、「月1回、毎月第2土曜の午前10時から午後4時まで」「場所は・・・相手方自宅以外の相手方が定めた場所」「子どもの受渡場所」などが具体的に定められていると判断しました。

 

他方、間接強制を認めなかった福島と高知の事件の場合には、面会の大枠だけ決めて具体的な日時などは父母の協議に定めることを予定していること(福島事件)や、引き渡しの方法について何も定められていないこと(高知事件)などを理由としました。

 

更に、最高裁は、子ども自身が面会を拒否しているような場合でも、そのような場合には、新たに調停や審判を申し立てればよいので間接強制を否定する理由にはならないとも判示しました。

 

最近、子どもの親権や面会をめぐるトラブルが増えています。

今回の最高裁の判断は実務にも大きな影響を与えそうです。

 

(弁護士 村松いづみ)