破産・債務- 法律コラム -

(最新判例:破産・債務)借金額が140万円を超える債務整理は、司法書士は扱えない(最高裁)

 

司法書士は、いくらまでの債務整理が扱えるのでしょうか?

2016年6月27日、最高裁が初めての判断を下しました。

 

法律事務は、本来、弁護士しか行うことができません。

他の士業は、法律で認められた範囲でしか法律事務の仕事をすることができません。

これに反して業務を行うと、弁護士法違反(非弁行為)として刑事処罰の対象となります。

 

2002年の法改正で、司法書士は、簡易裁判所の民事裁判についても、代理人として関与できるようになりました。

簡易裁判所の管轄となる事件は、その請求額の上限が140万円までなので、裁判外の債務整理でも司法書士が扱えるのは140万円以下とされています。

しかし、この「140万円」という基準をめぐって、日本弁護士連合会は「借金額が基準」、日本司法書士会連合会は「債務の減額や弁済計画の変更で、依頼者に生じる利益が140万円以下なら代理できる」と主張し、対立していました。

 

最高裁は、「債務額(借金額)などが140万円を超える場合は、司法書士は担当できない」とする初めての判断を下しました(2016年」6月28日付け京都新聞朝刊)。

その理由として「司法書士が代理できる範囲は、債権者ら第三者にも明確にされるべきだ。和解が成立して初めて判明するような、弁済計画の変更による経済的利益の額で決められるべきではない」と判示しました。

 

(弁護士村松いづみ)

(最新判例:破産・債務)調停成立していても過払い金請求可能(最高裁)

 

過払い金をめぐる裁判で、最高裁は、また借り手側に有利な判断を下しました。

 

裁判所で調停が成立した後も、消費者金融に対し、払いすぎた利息を返すよう求めることができるかどうかが争われた裁判で、本年9月15日、最高裁は「調停が成立していても、過払い金の請求は可能」という初めての判断を下しました。

 

本件では、借り主は、業者との間で、継続的な金の貸借についての基本契約を結び、昭和62年9月から平成14年4月までの間、何回も借り入れしていました。
平成14年6月、借り主とその業者との間で、平成10年3月締結の金銭消費貸借契約にもとづいて、借り主が18回にわたって分割して残債務を返済していくという調停が成立しました。
調停条項の中には、「本件に関し、本件調停の調停条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」という清算条項も入っていました。

 

ところが、借り主と業者との間の全体の借り受けと返済を利息制限法の制限利率に引き直して計算すると、調停が成立した時点で、200万円以上の過払い金が発生していたという事案でした。

 

最高裁は、上記調停における調停条項や清算条項を含む調停そのものが、公序良俗に反するものということはできないと判示した上で、業者との取引が終了した平成14年6月までに発生した過払い金返還請求権は、上記調停の清算条項等によって消滅したとはいえないとして、200万円以上の過払い金の返還などを認めました。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:破産・債務)破産とは

「破産」とは、金を借りた者が経済的に破たんし、債権者に返済することができなくなった時、借り主の全財産を金に換え、すべての債権者に対し、各債権額に応じて公平に配当することを目的とする裁判上の清算手続きです。

借り主の申立てにより裁判所が審理し、「支払い不能」と認められれば、破産宣告がなされ、官報に記載されます。
そして、破産管財人が選任され、清算の手続きに移るのが普通です。

ただ、借り主に配当するような財産がないような場合には、「同時廃止」と言って、破産宣告と同時に破産廃止の決定がされ、破産手続きは終了します。

なお、破産する場合には、裁判所に「予納金」を出さなければなりません。
その金額は、裁判所によって若干異なります。
同時廃止か否かによっても違いますので、裁判所や弁護士に尋ねてください。

清算が終了すると、破産手続きは終了します。
しかし、手続きが終了しても、借金が当然全部免除されるわけではありません。
残った借金を免除してもらうためには、裁判所で「免責の決定」を受ける必要があります。

(法律コラム:破産・債務)保証人の責任

よく友人や親戚などから「絶対に迷惑をかけないから」「形だけでよいから」保証人になってほしいと頼まれて判を押してしまうことがあります。

でも、保証契約は、あくまで相手方である債権者と結ぶわけですから、いくら「迷惑をかけない」と言われても、その友人が義務を履行できなくなったときは保証人としての責任を逃れることはできません。

ですから、保証人になってほしいと頼まれた時は、万一の時は全責任を負うんだという前提でどうするか決めましょう。

なお、保証契約は、書面でしなければ効力がありません(民法446条2項)。

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:破産・債務)借金を整理したい

サラ金業者やクレジット会社、銀行などから金を借りて長年返済しているけれど、ちっとも元金が減らない、なんとかしたいと思っているあなた。

借金を整理する方法には、いくつかあります。
たとえば、債権者と個別に交渉して借金を整理する方法。
     簡易裁判所の特定調停を利用する方法。
     自己破産の申立てをする方法。
などです。

どの方法があなたにとって一番良いのかは、借金の金額やあなたの収入などの条件によって異なってきますので、弁護士に相談して決めた方が良いでしょう。

(弁護士村松いづみ)