離婚- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:離婚)離婚後の財産分与の申立て

 

今年3月に協議離婚が成立した三船美佳さんが、9月に財産分与の申立てを行ったという報道を目にしました。

 

離婚の際、三船さんが子どもの親権者となり、慰謝料なしと報道されていたので、てっきり、それで全て解決したと思っていました。

 

おそらく双方に弁護士が付いていたでしょうから、離婚の際、何らかの文書が交わされたものと推測します。

通常は、離婚後、再度、紛争が起こらないよう、「債権債務なし」とか「いかなる名目でも一切請求しない」というような文言を入れるので、そのような文言が入っておれば、離婚後、財産分与請求を行うことはできません。

 

ですから、三船さんの場合には、そのような文言がなかったのでしょうね。

その場合には、離婚後であっても、財産分与を請求することができますし、話し合いができない時などには、家庭裁判所に申立をすることができます。

但し、家裁への申立は離婚後2年以内に限定されていますので、注意してください(民法768条)。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム:離婚)浮気調査で探偵に依頼する場合に気を付けること

 

この法律コラムでも、何度か、浮気調査に関連して、探偵さんの利用の仕方などを書いたことがあります。

先日の法律相談で、探偵を頼んで調査してもらったが結局証拠をつかむことはできず、その上、料金として約100万円も支払ったという人がおられました。

 

私は、懇意にしている探偵事務所はありませんが、相談者や依頼者の方から「誰か探偵さん、ご存知ないですか?」と尋ねられた場合には、私の依頼者が浮気調査を依頼し成功したケースの探偵を教えることにしています。

もちろん、私は会ったことも話したこともありません。

そして、探偵がどのような行動(調査)をした場合に料金はいくらか、報告書作成は別途料金か含まれているのか等についても、きちんと尋ねた方が良いとアドバイスします。

また、依頼する側で、ある程度、調査対象者(配偶者)の行動を把握し、浮気をする可能性がある日を特定して依頼した方で良いでしょう。

 

また探偵の調査費用ですが、裁判所に提訴して争って、配偶者や愛人の慰謝料として認められるのは、(事案にもよりますが)おそらく200万から300万円くらいが上限だと思われますから、その金額も念頭において調査費用をいくらかけるかを考えた方が良いですね。

 

確かに、決定的な証拠がない場合、「妻の勘」だけでは、なかなか裁判所は不貞行為を認めてくれませんが、探偵に依頼する前に、1度、弁護士に相談していただいた方が良いかと思います。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(最新法令:離婚)民法改正「女性の再婚禁止期間」

 

女性が離婚して再婚する場合、もし妊娠していた場合の父親が誰かという争いを避けるという趣旨で、これまで民法は「6ヶ月を経過した後でなければ、再婚することができない」と定めていました(733条)。

 

しかし、最高裁は、昨年12月、「合理性を欠いた過剰な制約」として100日を超える部分を違憲と判断しました。

また、複数の裁判官の補足意見で、離婚時に妊娠していないことを医学的に確認した場合は、父親が誰かという問題は生じないので禁止期間を設けるべきでないと指摘しました。

 

今回の改正民法では、女性の再婚禁止期間は、6ヶ月(約180日)から100日に短縮されました。

そして、離婚時に妊娠していないと医師が証明すれば100日以内の再婚も認められます。

また、先例にならい、67歳以上の女性には証明書を求めない方針です。

 

なお、国連の女性差別撤廃委員会は、禁止期間があること自体が差別的だとして完全に廃止するよう勧告する文書を公表しています。

改正民法には、3年後の制度見直しを検討するという付則が盛り込まれました。

DNA鑑定の精度が非常に高くなった今日、女性だけに再婚を制限するような規定は不要です。

1日も早く廃止されることを望みます。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:離婚)離婚理由と「賞味期限」

 

離婚事件の中で、夫から「妻の家事」について、色々と批判した主張が展開されることがあります。

妻の家事のやり方について、夫から細かいこと(夫本人はそう思っていないかもしれないが)をたくさん言われると、私などは、そのくらいのことしか離婚理由がないんやと思ってしまいます。

 

夫から批判される家事のやり方の中で、目立つのが「賞味期限」。

「冷蔵庫の中に、賞味期限切れの食品がたくさんある!」

「妻は、冷蔵庫の中の物すら管理できない」

 

こんな話をすると、きっと多くの人が「うち冷蔵庫の中にも賞味期限切れの物なんて、たくさんあるわ」と仰るのではないでしょうか。

 

冷蔵庫に賞味期限切れの食品があることを、夫自身が知っているならば、自分でなんとかすればいいでしょ!と言いたくなります。

 

そもそも、賞味期限が過ぎた食品はすぐに食べられなくなるものでしょうか?

2016年4月23日付け朝日新聞「be」に記事がありました。

 

消費期限は、期限が過ぎると急速に品質が劣化して腐る恐れがあるため、「期限が過ぎれば食べないほうがいい」。

他方、賞味期限は、「品質を十分に保てる」という目安。

期限が過ぎても品質が急激に落ちるわけでもなく、消費者の判断で食べても問題ないとされています。

 

妻の五感を信頼しない夫の方こそ、「消費期限切れ」で、妻からポイですよ。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:離婚)不貞行為を職場に連絡することについて

 

最近、何かと、芸能人や国会議員の不倫騒動がマスコミの話題となっています。

 

不貞行為の法律相談については、不貞行為をしてしまった女性側からも、夫が不貞行為をした妻側からも、どちらからの相談も割とよく受けます。

 

妻側からの相談内容で、「悔しいので、夫の職場に訴えに行きたいがどうか?」と尋ねられることがあります。

特に、社内不倫の場合には、そのように思われるケースも少なくありません。

 

別居中で夫の住所が不明な場合、職場に手紙を郵送することはやむを得ずあり得ることかもしれません。

しかし、仕事と不倫とは基本的には関係ありませんので、職場に「訴える」ことは控えた方が良いかと考えます。

上司が仲人をしてくれたような場合や上司や同僚と個人的に親しくお付き合いしている場合には、相談することは差し支えありませんが。

 

東京地裁平成18年12月18日判決では、別居中で離婚交渉中の妻が、夫の住所を知っていたにもかかわらず、夫の職場に内容証明郵便を送付したり、職場に押し掛けたり、上司宛てに手紙を書いたりしたことについて、損害賠償が認められています。

 

冷静な対応が重要ですね。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚)被用者年金一元化後の年金分割の手続き

 

2015(平成27)年10月1日から、被用者年金(厚生年金と共済年金)が一元化されました。

すなわち、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合及び私立学校教職員共済の各共済年金制度は、厚生年金制度に統一されました。

 

これまで、離婚時年金分割をする時は、例えば、教員と会社員の経歴を持つ配偶者の場合、日本年金機構と共済組合の双方で別々に手続きをしなければなりませんでした。

それが、1カ所の機関に年金分割請求を行えば、すべての年金について、まとめて分割が行われるようになりました。

「年金分割のための情報通知書」も一体のものが発行されています。

 

なお、同年9月30日までに、公証人役場で公正証書を作成した場合や、家裁に審判などを申し立てている場合には、それぞれの年金ごととに年金分割を行うことになります。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚)「金使いの荒さ」「浪費」と離婚について

 

 

「金使いの荒さ」「浪費」を離婚や慰謝料の原因として主張したり、主張されたりすることは、割とよくあります。

 

でも、よくよく考えると、「金使いの荒さ」とか「浪費」って、一体、どのような行為を指すのか疑問に思う場合もあります。

ギャンブルや買い物などでサラ金から多額の借金をしたような場合、これが「金使いの荒さ」「浪費」だとして離婚原因にあたることはあまり異論ないでしょう。

でも、ギャンブルではなくても、趣味に多額の金を使うのは、どうでしょうか?

例えば、趣味に月5万円の金額を使うにしても、家計の収入が月100万円の場合と、月20万円の場合とでは、その評価は違ってきますよね。

 

ところで、夫婦破綻の原因は妻にあると主張する夫から「妻に家計を任せてきたが、全部使ってしまい貯蓄がない」「浪費だ」「何に使ったか説明せよ」などという主張が出されることがあります。

 

そもそも、家計に貯蓄する余裕などない場合があります。

また、客観的には余裕はあるかもしれないが、毎月、今ある金をすべて費消してしまうというのも、1つの価値観・人生観のような気がします(私の個人的な価値観には合いませんが・・・)。

ですから、夫婦の収入を毎月どれだけ費消するか、どれだけ貯蓄するかは、個人の価値観によって異なるので、夫婦の間で話し合い、話し合いによっても解決できないような場合には、それが「性格の不一致」として離婚原因にはなるでしょう。

でも、あくまで価値観の違いなのですから、慰謝料の原因にはならないと考えます。

但し、毎月全部を費消していたために金がなくなり、必要な時に、不相応な借金をせざるを得なくなったような場合には、慰謝料の原因となることもあるでしょう。

 

次に、妻に家計を任せていた夫から、自分にはこれだけの収入があったのだから、妻は財産をどこかに隠している(=ヘソクリをしている)はずだと主張されることがあります。

実際に「推測」して計算してくる夫もいます。

そして、そのような妻に限って家計簿はつけていませんから、なかなか何に費消したかを明確に説明することは困難です。

だから、夫は、かような主張をするのでしょうね。

 

これについて、家庭裁判所の裁判官が書いた「人事時訴訟ー停滞させない審理のヒント」という論文の中に、次のような文章があります。

「収入は比較的把握しやすいが、婚姻共同生活の支出を補足することは容易ではない。・・・前記主張をする側において、婚姻共同生活の支出が前記主張の額にとどまることを立証することが必要である。この点について、一通り主張立証とその反論反証をさせてみると、収入を預けていた側は、婚姻共同生活に必要な実際の支出額については疎いから、収入を預けられていた側の反論反証をしのぐ立証ができないのが通常である。そうなると、前記主張は採用できないということになろう。」

 

家計を全面的に任せていた夫が悪い、妻の家計管理が不審ならばもっと早く自分で家計管理をすべきだった、離婚時になって文句言うならきちんと額を証明しなさい・・・・ということですよね。

 

参考になります。

 

 

 

(法律コラム:離婚)事情変更を理由に婚姻費用を減額するには十分な審理が尽くされていないとして原審に差し戻した事例(東京高裁)

 

家庭裁判所の調停や審判で、婚姻費用が決められても、失業、病気、事故、転職による昇給などにより夫または妻の収入が増減したり、子どもの教育費が増加するなど事情に変更が生じたときは、家庭裁判所は、婚姻費用の変更を命じることができます。

 

今回、ご紹介する判例は、義務者の年収が485万5020円から424万7386円に減収となったという理由で減額請求がされ、原審は請求を認めて、それまでの月10万円から7万円に減額しましたが、東京高裁平成26年11月26日決定は、「未だ十分な審理が尽くされていない」として原審に差し戻ししました。

 

東京高裁は、一般論として「その審判が確定した当時に予測できなかった後発的な事情の発生により、その審判の内容をそのまま維持させることが一方の当事者に著しく酷であって客観的に当事者間の衡平を害する結果となると認められる例外的な場合に限って許される」と判示しました。

 

その上で、本件は、

①減収額が約60万円で、これは12.5%にあたり、大幅な減収ではないこと

②権利者の収入が減収していること

③子どもらに定期的な収入があるか否か、誰と居住しているか

④減収は予測できたか否か

などについて、原審において十分な審理が尽くされていないとして、差し戻しました。

 

このように、収入が減ったからと言って、その一事をもって、直ちに変更が認められるものではないことを念頭におきましょう。

 

(弁護士村松いづみ)

 

(法律コラム:離婚)離婚調停中の保育園の入所などが有利に(係属証明書)

 

夫と別居し、離婚調停中の依頼者の方から、たまに、「現在、離婚調停中であるという証明をいただけませんか」と頼まれることがあります。

 

お住まいの自治体によって扱いは異なるとは思いますが、単に別居しているというだけでなく、家裁で離婚調停や離婚訴訟までしているような場合には、子どもの保育園への入所の優先順位が高くなったり、保育料が安くなったり、また公的な住宅への入居がしやすくなったりするようです。

 

証明書は、調停の期日呼び出し状や、依頼している弁護士の証明書でも良いとする自治体もありますが、家裁で発行してくれる証明書を要求されることもあります。

そのような場合には、家裁へ「係属証明書」を申請すれば、発行してくれます。

 

先日、依頼者の方から頼まれたので、家裁で「係属証明書」を申請しました。

申請書に印紙150円を貼って提出し、しばらく待っていただけで、その場で作成してもらえ、受領することができました。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚)有責配偶者である夫からの離婚請求訴訟で、妻側勝訴の判決を獲得しました(確定)

 

ある離婚事件の報告です。
不貞行為を行った有責配偶者である夫から離婚訴訟が提起され、私は妻の代理人として訴訟に関わってきました。

 

今年になって、第一審、控訴審のいずれにおいても妻側勝訴の判決(=夫からの離婚請求が認められなかった)を獲得しました(確定)。

 

有責配偶者からの離婚請求の判決としては、1987(昭和62)年の最高裁判決がリーディングケースとされています。
最高裁判決は、有責配偶者からの離婚請求を認めるための考慮要因としては、
①相当長期間の別居期間
②未成熟な子が存在しないこと
③特段の事情
をあげています。

しかし、「有責配偶者からの離婚請求」と一言で言っても、別居期間や子どもの年齢、夫婦それぞれの状況は事件毎によって全く異なります。
その意味で、1987年の最高裁判決以降も、下級審で、この種事案のたくさんの判決が下されています。

 

本件は、夫婦が、子どもの学業のため、話し合って、妻と子は夫の住む自宅とは別の地で長く生活し(その間、夫婦の行き来やメールでのやりとりなどはありました)、その不在中に、夫が性風俗店の女性と不貞行為を行ったという事案でした。
判決は、別居期間を、夫が離婚調停を申し立てた時を起算点として約2年8ヶ月(高裁判決)と認定しました。
子どもは既に成人となっていましたが、特段の事情として、妻が病弱なことや経済的な状況などを考慮してくれました。

 

夫は、不貞行為前に夫婦関係は既に破綻していたなどと主張しましたが、夫婦の間で家族の情愛が感じられるメールや写真が多数残されており、それを証拠として提出することができました。
両判決とも「情愛に満ちたメールを頻繁に交換し合っていた」と認定してくれました。
また、夫の不貞行為の相手の女性の名前などはわかりませんでしたが、特定の女性であったという認定もされました。

 

このように書くと、簡単な事件であったかのように思われるかもしれませんが、夫婦が長い間離れて暮らしていたこと、不貞行為をどのように立証するか、夫の妻に対する悪口への反論などなど、依頼者の方と何度も打ち合わせをしながら、訴訟を進めました。

 

離婚したくない、という依頼者の方の気持ちに沿えた判決を得ることがてき、ホッとしています。

 

(弁護士村松いづみ)