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(法律コラム:その他)商標権とは

 

ハンバーガーチェーンのロッテリアが、9月17日に発売した「ご当地ふるポテ」の「京都黒七味風味」が、京都の香辛料販売老舗の「原了郭」(はらりょうかく)が持つ「黒七味」の商標権を侵害していたとして、販売を中止しました(2015年10月28日付け京都新聞朝刊)。

 

商標というのは、商標法という法律で、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩の結合」と定義されています(2条)。

きちんと手続きを踏んで商標登録をしておけば、商標法で保護され、それを無断で使用した人に対しては、差し止めや損害賠償を請求することができます。

 

今回、問題となった「黒七味」は商標として登録されていたようですね。

 

ところで、商標が登録されていなかったとしても、既存の商標を誰もが自由に使用してよいわけではありません。

同一又は類似のものを使用したり、これを使用して商品を販売して、他人の商品と混同をおこさせる場合には、不正競争防止法違反となる可能性があるからです。

気を付けましょう。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

(法律コラム:その他)弁護士のセカンド・オピニオン

 

既に、他の弁護士に相談あるいは依頼されている事件についての法律相談を受けることがあります。

 

まだ正式に依頼している弁護士がいるわけでない場合、何人かの弁護士の意見を聞きたいと考えることは別に不思議ではありません。
とりわけ、ネット上では、様々な情報が氾濫し、混乱あるいは思いこみをすることもあるでしょう。
また、弁護士の経験や専門・得意分野、弁護士との相性などもありますから。

 

以前、私が受けた離婚事件で、当初、その依頼者の方は「別の弁護士に相談したら、私のケースは、離婚原因にはあたらない、と言われました」と仰って、相談に来られました。
それで話を伺うと、私自身は「離婚原因はある」と判断しましたので、受任し、最終的に調停で離婚が成立しました。

 
 

次に、既に事件を別の弁護士に依頼し、訴訟などが始まっている途中で、法律相談に来られる場合もあります。

 

現に進行中の事件について法律相談をされるという場合には、事件がなかなか自分の思うように進行していない場合が多いものです。
でも、このような場合、事件の見通しなどについては、裁判に提出されている書面や証拠などの記録を精査したり、裁判官が期日で何を言っているかなどを知らないと、なかなかコメントを申し上げることは難しい場合が多いです。

 

また、相談者の方が不満を感じられているのは、依頼している弁護士とのコミュニケーションが十分取れていない場合も少なくありません。
そのような場合には、「私ならこうしている」などと説明し、率直にご自分の弁護士に不明点や疑問点を聞いてみることをお勧めしています。
そして、それでも、ラチがあかない時には、弁護士を変えることもありかなと思います。

 

先日、交通事故の被害者で、既に他の弁護士に依頼されている方からの相談を受けました。
弁護士特約付きの保険に加入していたので、その保険加入先から紹介を受けた弁護士に依頼をしているとのことでした。
ただ、被害者も加害者も京都市在住なのに、その弁護士は、他府県の弁護士で、しかも、依頼してから時間が経って事件も進んでいるのに、1度も直接会ったこともなく、打ち合わせはすべて電話ということでした。
1度も本人と会わずに事件を進めるなど、私にはとうてい信じられません。

 

その相談者の方は、私に、交通事故の基礎的なことも質問され、こんなことも依頼している弁護士に聞けないんだなあと思いました。

 

弁護士と依頼者との信頼関係は、どのような事件でも大切なものとあらためて感じています。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚・その他)住民票を異動できない事情の方とマイナンバー

 

前回の法律コラムでは、DVなどの理由で住民票の住所地に居住していない方の場合の居所情報登録申請書の提出について、ご説明しました。

 

しかし、夫婦別居されている方の中には、DVには該当しないが、住所を現在の居所に異動できない事情の方も少なくありません。
そのような方の場合、たいていは郵便物の転送届を提出されているようですが、今回、通知カードが送付される簡易書留では、転送はされず、通知カードは、そのまま自治体に戻されてしまうようです。

 

配達できなかった通知カードは、住民票のある市区町村で少なくとも3ヶ月は保管され、その後破棄されます。
3ヶ月以内は、市区町村の窓口に行けば、カードを受け取ることができます。
その後も、住民票のある市区町村で通知カードを再発行してもらえます。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚・その他)DVとマイナンバー制度

 

本年10月5日から、いわゆるマイナンバー法が施行されます。

 

個人情報との関係では、色々と問題が多い法律で、現在、これについての訴訟も起こっています。
他方、離婚事件などにおいて、マイナンバーに関する法律相談も少しずつ目立っています。

 

マイナンバーが記載された通知カードが、市町村から住民票上の住所(住所地)に世帯ごとに簡易書留で送付されることになります。

 

そこで、やむを得ない理由により住所地において通知カードを受け取ることができない人の場合については、実際住んでいる居所において通知カードを受け取るためには、住民票のある住所地の市区町村に対し、居所情報を登録する必要があります。
但し、申請期間が、8月24日から9月25日までなので、あまり時間がありません。

 

国が「申請が必要な方」として、例示しているのは、
●東日本大震災による被災者で住所地以外の居所に避難されている方
●DV、ストーカー行為等、児童虐待等の被害者で住所地以外の居所に移動されている方
●一人暮らしで、長期間、医療機関・施設に入院・入所されている方

 

申請書は、近くの市区町村や総務省のホームページなどで入手又はダウンロードできます。
夫からDVを受けて避難されている方は、速やかに申請書を提出しましょう。

 

マイナンバーのお問い合わせは、コールセンター:0570-20-0178へ。
あるいは、住民票の住所地の市区町村にお問い合わせください。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:その他)民法改正法案について(その3)

 

今回は、社会に広く浸透している個人の「保証」について解説します。
なお、本解説は、日本弁護士連合会発行の「自由と正義」2015年5月号を参照しています。

 

他人の債務の保証については、大きな責任を伴います。
そのため、個人保証については、その保護を行うべきであるという意見が以前より存在しました。
そこで、改正法案の審議の結果、
「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約」
に対象を限定の上、これらの契約については、保証人になろうとするものが法人である場合を除き
「その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人となろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない」
という規定となっています(改正法案465条の6第1項)。

 

「事業のため」のための債務は巨額になることが多いので、保証契約締結前に、公正証書での「保証の意思の確認」を求めたことが大きな改正点となっています。

 

なお、改正法案には、適用除外規定があります。
それは、主たる債務者が、法人の場合は、その法人の取締役等や株主総会の議決権の過半数を有する者は従来通り、公正証書は不要で、単なる書面で保証契約が締結できます。

 

その他、改正法案の審議の過程で、実際の金融の必要性から、「主たる債務者(法人は除く)が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」についても公正証書は不要とされました。

 

今回の改正法案は、保証契約を書面で行うこと(現行民法446条2項)を求めた現行民法をさらに進めたものです。
ただし、今回の改正法案は、「保証意思の表示」を公正証書で行うことを義務付けたものであり、「保証契約」そのものを公正証書で行うことを求めたものではないことに注意が必要です。
これは、保証契約そのものの公正証書化を要求すると、その公正証書が、債務名義となって訴訟手続をとることなく強制執行を行うことが可能となり、かえって個人の保証人の保護を図った趣旨に反するからです。

 

そこで、個人保証人保護の観点から、保証契約そのものと「保証意思の表示」については、厳格に区別し、改正法案の趣旨が活かされるような運用を行っていくこと(例えば、「保証意思の表示」と同一の機会に「保証契約」を公正証書によって締結することを禁止する等)が望まれます。

 

(弁護士 岡村政和)

(法律コラム:離婚・その他)元夫が破産したら、養育費はどうなるのか?(非免責債権)

 

離婚に際し、養育費の取り決めをしたのに、離婚後、元夫が自己破産をした場合、その養育費はどうなるのでしょうか?

 

債務超過で自己破産の申立をし、裁判所で破産原因があると認められれば、破産手続き開始の決定がなされます。

そして、裁判所は、最終的に、特に悪質な事案でない限り、「免責」と言って、破産者の残った借金をチャラにしてくれます。

債権者にとっては酷なことでしょうが、破産者の更生のために法が認めた制度です。

 

しかし、法は、破産者に免責決定が出ても、それでもなお免責されない債権をいくつか定めています(非免責債権、破産法253条)。

税金や横領した場合の損害賠償金などがその代表例ですが、離婚に伴う子どもの養育費も免責の効果が及ばないものとして除外されています。

養育費のほか、婚姻費用分担金などは要保護性が強い請求権であることから非免責債権とされているのです。

ですから、堂々と取り立てることができるわけです。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム:その他)父死亡後に「認知」を求める方法

 

法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どもで、父親が認知をすることなく死亡した場合、どのような方法で「認知」を求めることができるでしょうか。

 

民法は、子どもやその孫などの直系卑属、またはこれらの者の法定代理人(例えば、親権者母)は、認知の訴えができると定めています(789条1項)。

但し、父親が死亡してから3年が経過すると、できなくなります(789条2項)。

 

認知請求訴訟の相手方(被告)は、検察官となります。

 

訴訟では、死亡した父親と子どもとが親子関係にあることを証明しなければなりません。

母親の証言や様々な記録などを提出したりして、それを裏付けます。

死亡した父親のDNAがわかるものが残っておれば、それを利用してDNA鑑定をすることもできるでしょう。

 

私が以前関与した事件では、子どもと父方の祖父母とのDNA鑑定を行い、祖父母確率は「99.99%」という結果を得、認知が認められました。

 

もし、祖父母が健在ではない場合には、父親の兄弟姉妹との間のDNA鑑定もあり得るかもしれません。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

(法律コラム:その他)民法改正法案について(その2)

 

今回は、民法改正法案のうち、日常生活に密接に関連している「契約の解除」について解説します。

 

(解除の要件について)

現行民法は、債務者の帰責事由を解除の要件としています。

今回の改正法案では、債務者の帰責事由を要件としないこととしました。

現行民法は、解除の立法趣旨を債務者に帰責事由のある場合の制裁の制度として位置付けていましたので、債務者の帰責事由を要件としていました。

改正法案は、債務者の債務不履行に対して、契約の拘束力から債権者を解放するための制度として位置付けました。

すなわち、債務不履行状態が存在する以上、債権者を契約に拘束する合理的理由がないという理由から債務者の帰責性は不要としています(改正法案543条)。

 

(催告解除と無催告解除)

次に、催告解除と無催告解除についても整理がされました。

催告解除については、催告したのに履行しないとき、重大不履行や契約目的不達成を要件とすることなく原則として解除することができます。

他方、催告期間経過後の債務の不履行が、その契約の内容や取引上の社会通念に照らして軽微であるときには解除できないものとしました(改正法案541条)。

たとえば、数量的にわずかな不履行の場合、附随義務違反にすぎない場合などは催告解除も認められないことになります。

無催告解除について、改正法案は、新たに「全部解除できる場合」、「一部解除しかできない場合」に分けて規定しました。

そして、

①全部が履行不能の場合

②全部の履行拒絶意思を明確に表示した場合

③一部の履行不能又は履行拒絶の場合に残存する部分のみでは契約目的を達成できない場合

④催告しても契約目的を達成できない場合

には無催告で全部解除ができるようにしました。

債務の一部の履行不能又は履行拒絶の場合に、契約の一部を解除できるものとしました(改正法案542条)。

 

(契約不適合の場合の解除)

現行民法では、売買契約や請負契約に不適合(種類、品質、数量に不備がある場合)がある場合、特則で、契約の目的を達成できないときに無催告解除が出来るとされています(570条、566条1項、635条)。

しかし、改正法案では、債務不履行の一般法理が適用されます(改正法案564条)から、催告解除を行うことも出来ます。

従って、例えば、請負契約において建物建築に不適合があり、契約内容や取引上の社会通念に照らして軽微でないと評価されるときは、契約目的を達成できる場合であっても催告解除ができるということになります。

他方で、建物建築に不適合があり、修補請求が不能の場合は、催告解除ができず、修補が不能なために契約目的を達成できない等の無催告解除の要件が充足されたときに限り、解除ができることになります。

 

(弁護士 岡村政和)

(法律コラム:その他)カルテの開示

 

「カルテの開示」については、2012年7月6日付け当コラムに書いたことがありました。

 

ところが、厚生労働省の検討会が、2014年12月から2015年1月にかけて、過去半年以内に入院や通院の経験がある男女5000人に「医療機関のカルテ開示義務」を知っているかどうか聞いた結果、4割を超える人が「知らない」と答えたそうです。また、実際に開示を求めたことがあるとした人は1割にも満たなかったそうです(2015年7月21日付け京都新聞朝刊)。

 

厚生労働省が患者の求めに応じた開示義務を医療現場向けの指針に盛り込んでから10年以上がたちました。

しかし、患者が自らの症状や治療方針、経過を理解するための「カルテの開示」制度が十分に周知されていない現状が浮き彫りになりました。

 

開示義務が適用されるのは、5000人以上のカルテがある医療機関ですが、厚生労働省は、小規模であっても、開示請求があれば、応じるよう求めています。

 

開示請求をするのに、医療機関に理由を告げる必要もありません。

 

患者が開示義務を知らない人が4割もいるとのことですが、中には、医療機関の職員も「知らない」人がおり、「弁護士の請求書面を持って来てください」「弁護士会照会で請求してください」などの対応をする所もあるようです。

そんな時には、「このコラムをプリントアウトして持参し、職員に見せてください」とアドバイスをしています。

 

また、カルテの保存期間の義務は、5年です(医師法24条)が、病院によっては、5年過ぎていても残している所もありますので、5年過ぎていても請求してみましょう。

最近関わった事件で、平成20年に死亡された患者さんのケースで、同じ病院に平成9年から受診されており、カルテも残っており、平成9年の初診時のカルテを取り寄せることができました。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:その他)民法改正法案について(その1)

 

私たち市民の日常生活に密接に関連している法律である民法。
その改正法案(民法の一部を改正する法律案)が2015年3月31日に国会に提出され、現在、国会で議論されています。
今回から複数回に分け、民法改正法案の総論、各論それぞれについて説明します。

 

今回は、総論のうち、「消滅時効」及び「法定利率」の改正法案について説明します。

 

1、消滅時効改正のポイント

 

現行民法167条1項は「債権は、10年間行使しないときは、消滅する」と定めています。
これを「消滅時効」と言います。

 

改正法案166条1項は「債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときは、時効によって消滅する」としています。
消滅時効によって権利行使が出来なくなる期間が10年から5年に半減したことになります。

 

また、現行民法170条から174条には、職業別に様々な短期消滅時効(1年から3年)が定められています。
しかしながら、職業による短期消滅時効に合理的理由が見いだせないという理由で、改正法案では廃止されることとなっています。

 

改正法案では、5年間の期間があれば、損害賠償請求訴訟を提起することも十分可能であると考えられたようです。
契約の不履行の損害賠償請求権についても現行民法の10年から5年間に短縮されるので、注意が必要です。

 

さらに、生命身体という保護法益の重要性に鑑み、生命身体の損害賠償請求権について特例が設けられました(改正法案167・724条)。
まず、現行民法724条は、一律に、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効を「被害者が損害及び加害者を知った時(主観的起算点)から『三年間』行使しないとき」としていますが、これを「5年間」と改め、契約不履行の損害賠償請求権の時効を主観的起算点から5年にしたことと均衡を取りました。
同様に、債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効について、現行民法が、客観的起算点から「10年」としている部分を「20年」とし、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効を客観的起算点から「20年」としている現行民法に一致させました。
改正法案によって、債務不履行であっても、不法行為であっても、主観的起算点から5年、客観的起算点から20年として消滅時効の期間が整備されました。

 

但し、医療過誤等による安全配慮義務違反は、医師の過失による医療ミスがあったことを知った時から5年(主観的起算点)となりますので、従来よりも損害賠償請求権行使期間が短くなることに注意が必要です。

 

2、法定利率改正のポイント

 

法定利率とは、法律上定められている利率のことで、現行民法では5%(404条)、現行商法では6%(514条)となっています。
契約等で定めがない場合、遅延損害金の利率となります。

 

しかし、低金利時代が長く続き、5%という利率が時代にそぐわないという議論がありました。
また、交通事故の被害者は、将来に得られたはずの利益を失ったこと(逸失利益)による損害賠償を請求することが出来ます。
その際、将来にわたって得られる利益を現時点ですべて請求できることから中間利息が控除されることになりますが、法定利率の5%もの中間利息が控除されることは、被害者にとって酷であるという議論もありました。
そこで、変動金利の導入が検討されました。
しかし、市場金利の変動に合わせて法定利率を変動させることは債権管理を煩雑にするということで、議論の末、緩やかな変動制が採用されたのです。

 

具体的には、改正法案は、
①現行の5%を3%に下げる
②今後は3年毎に見直し、
③過去5年間60ヶ月の短期貸付利率の平均利率を算出し
④その平均利率がその前の時点の平均利率と1%以上の乖離が生じたときに
⑤乖離幅の1%未満を切捨て、1%単位で変動させる
⑥発生した債権の法定利率はその後変動させない
⑥現行商法514条(商事法定利率6%)の廃止
という「緩やかな自動変動型固定利率制」を採用しました。

 

(弁護士 岡村政和)

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