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(最新判例)太陽光パネルの反射光の被害認定(横浜地裁)

隣家の屋根に取り付けられた太陽光パネルの反射光が家の中に差し込み、日常生活に支障が出たとして、横浜市金沢区の住民2人が隣人男性と設置工事したタマホーム(東京)にパネル撤去と計220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4月18日横浜地裁でありました。

横浜地裁は、住民の訴えを認め、パネル12枚の撤去と計22万円の支払いを命じました(2012年4月18日共同通信)。

判決は「反射光はほぼ毎日午前中に原告の家に差し込み、室内でもまぶしくて洋裁などができない」「家の円満な利用が妨害され、受忍限度を超えている」と認定しました。

角度を変えて設置するというような話し合いは無理だったのでしょうかね。

私は、以前、太陽光パネルではなく、鏡状のガラス壁面の事件を扱ったことがあります。
住宅街の少し広めの道路をはさんだ東側の新築ビルの西壁面全面が鏡状のガラス壁面になったため、西側の依頼者宅は、夕方になると西陽が反射して差し込み、大きな苦痛を受けるようになりました。
その時、示談はできましたが、撤去にまでは至りませんでした。

近隣の住民の環境に配慮することは大切ですね。

                             (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)女性の再婚禁止期間

女性の場合、離婚が成立しても、すぐに再婚できるわけではなく、民法は「6ヶ月」を経過しないと再婚できないと定めています(733条1項)。

この法の趣旨は、離婚後6ヶ月以内の再婚を認めると、この間に生まれた子の父親がどちらの子どもかわからなくなるということのようです。
しかし、今時、親子鑑定をすれば、かなりの確率で父親を特定できますし、そもそも子どもを生むことができない女性や生めない年齢に達した女性についても一律に適用されるという不合理もあります。

過去に、この規定が憲法14条1項の法の下の平等に違反するとして最高裁まで争われたことがありますが、最高裁は、平成7年12月、「父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の予防を目的とする以上、憲法14条1項に違反しない」と判断しました。

今の時代に全くそぐわない男女差別のこの法律。是非とも改正したいものです。

                             (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)相続税の配偶者控除

相続税については、配偶者に対し税額軽減の制度があります。
この制度をフルに活用すれば、配偶者には全く税金がかかりません。

  ①純遺産総額が1億6000万円以下の場合は、その全額。
  ②純遺産総額が1億6000万円を超える場合は、そのうちの配偶者の法定相続分。

これは、配偶者の場合、同一世代間の財産の移転であって、遠からず次の相続が起こること、配偶者は被相続人の遺産の形成に寄与していること、被相続人の死亡後における生存配偶者の老後の生活を保障する必要があることが考慮されたからです。

ただ、この控除を受けるためには、原則として申告期限(相続の日の翌日から起算して10ヶ月以内)までに相続税の申告書を提出しなければなりません。
しかし、申告期限までに遺産分割の話し合いがまとまらない場合でも、
  ①申告期限後3ヶ月以内に遺産分割が成立し、その日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求書を提出した場合
  ②この3年以内に遺産分割ができないやむを得ない事情があるため、税務署長の承認を受けて、その事情がなくなった後4ヶ月以内に更正の請求書を提出した場合
控除を受けられます。

                             (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)財産の半分、妻名義にするには(贈与税の配偶者控除)

今の日本では、夫婦共有の財産であっても、夫だけの名義になっていることがよくあります。
これを全部または一部を妻名義に変えることは、夫の同意さえあれば、いつでも可能です。

でも、その場合「贈与」にあたるとして、その物の価格によっては贈与税が課税されることがあります。

ただ、次の場合には、贈与税がかかりません。
それは、夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合に限って、贈与の時点で結婚生活が20年以上であれば、最高2000万円まで配偶者控除が受けられ、従って、その金額までなら贈与税がかかりません。
もちろん夫の同意が前提ですが。

なお、この配偶者控除を受けるためには、必ず住所地の税務署に、贈与税の申告書を提出しなければなりません。

                                   (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)共有物を分割するには

何らかの原因で、不動産などが誰かと共有になっている場合があります。
共有の場合、例えば、その物を売却したいと考えても、共有者の同意がないと処分することができません。

このような場合、どうしたら良いでしょうか?

まず共有者と話し合いをすることです(民法256条)。

でも、話し合いができない場合には、裁判所に共有物分割訴訟を起こすことが必要となります(民法258条1項)。

この場合、裁判所は、共有物の現物分割を命じることが原則ですが、それが不可能な場合にのみ、共有物の競売を命じることができます(民法258条2項)。

但し、共有者の中の誰かがその物を「ほしい」と希望し、他の共有者に対し、その持ち分に相当する適正な価格を支払うことができるのであれば、そのような解決も認められています(最高裁平成8年10月31日付け判決)。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)養子縁組の手続きと効力

養子縁組をする理由は、様々あると思いますが、結婚と同じで、届けを役所に提出することによって成立します。

但し、いくつかの条件があります。

まず、年上の者を養子とすることはできません(民法793条)。
他方、未成年者を養子とするには、原則として家庭裁判所の許可が必要となります(798条)。但し、自分や配偶者の子どもを養子とするような場合には不要です。

次に、配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、配偶者とともにしなければなりません。(795条)。

また、養親であっても養子であっても、配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意が必要となります(796条)。

養子縁組が成立すると、養親の姓を名乗ることになります(810条)。
また、扶養や相続など法律的には実子と同じ立場となります。

そして、養子縁組を解消したい時は、これも離婚と同じく、届けを出すか、話し合いができない時には離縁の裁判を起こすことになります(814条)。

                                 (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)認知のメリットと手続き

未婚の母が増えています。
愛人のように立場上結婚できない場合もあるでしょうし、最近では結婚という法的な束縛を嫌ったり、あるいは夫婦別姓を希望するため、あえて結婚届を出さないまま出産するというケースもあるようです。

正式な婚姻届を提出していない男女の間に産まれた子どもについて、母との関係では、出産という事実によって親子関係が当然発生します。
しかし、父との関係では、父が「認知」しない限り、法律上の親子関係は生じません。養育費の支払関係も相続関係も発生しません。

認知する場合には、父が役所に認知届を提出します。
男性が認知を拒む場合には、子どもまたは母親は、家庭裁判所に、調停を申し立てたり、認知の訴えを起こすことができます。
相手とすべき男性がすでに死亡している場合でも、死亡の日から3年間を経過していない間は、認知の訴えを提起することができます。

認知されても、姓や親権は原則として今までどおり母親ですが、家裁の許可を得て、父の姓に変えることもできます。
また、養育費請求や相続もできるようになります。

                                 (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:その他)高齢者の扶養義務

人口の老齢化が進み、確実に高齢化社会に向かって進んでいます。
しかし、公的な福祉サービスは決定的に不足しており、老人介護をしている人の大半が女性で占められています。
まさに老人問題が女性問題と言われるゆえんでしょう。
また、自分の老後は誰がみてくれるのだろうと将来に対する不安を抱いておられる方もあるでしょう。

民法では、扶養の義務は、配偶者のほか直系血族(親子、祖父母と孫など)と兄弟姉妹となっており(877条)、順序は法律で決められていません。
親を長男が扶養するのが当然という考えがいまだに多いようですが、法律的には子どもの間に差はなく、もちろん女性が結婚しても自分の親の扶養義務はあるわけです。

複数の扶養義務者がある場合、誰がどのような方法で扶養を行うかを決めるには、まず当事者間の話し合いで、話し合いができない場合には、家庭裁判所がその方法や程度を定めます。

老人の側としては、子どもと一緒に暮らしたいと望む場合もあるかもしれませんが、老人を引き取って扶養するよう裁判所が強制することは難しく、同居することになる者全員の意向を尊重して決められることになるでしょう。
従って、扶養の方法は、原則としては、定額の扶養料を毎月払うことになります。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)事実婚と遺族年金

事実婚であっても、住民票などで一緒に暮らしている事実が確認できれば、遺族年金の支給の対象になります。

但し、戸籍上の配偶者が別宅に住んでいる「重婚的内縁関係」の場合には、戸籍上の配偶者か事実婚の配偶者か、どちらが遺族年金を受給できるかは争いがあります。
戸籍上の配偶者と長期間別居状態にあり、仕送りもなく、夫婦としての実体を失っている場合に限り、事実婚の妻が受給することができます。

平成17年4月21日、最高裁判所は、死亡した男性と23年間別居していた戸籍上の妻との婚姻関係は修復の余地がないほど形がい化しており、男性と17年間同居していた事実婚の妻とは事実上婚姻と同様の状態にあったと述べ、事実婚の妻の方に年金の受給を認めました。

遺族年金は、死亡した人の収入で生計を維持していた人の生活保障という趣旨で支給されるものですから、最高裁の判断は妥当と言えるでしょう。

長期期間別居していても絶対に離婚しないという戸籍上の配偶者もいますが、「遺族年金」という分野では、形だけの配偶者の座も安泰ではないようです。

                                  (弁護士村松いづみ)

(最新法令:その他)親権の喪失・停止(民法の一部改正)

20歳未満の子どもについては、父母が親権を持ってます(民法818条1項)。
父母が結婚している場合は双方が親権者で、離婚の際はどちらか一方を親権者と定めます。

親権者には、子どもの養育監護及び教育する権利義務がありますが、近時、児童相談所への虐待事案の通報件数は大幅に増加し、2009年は約4万4000件と、10年前の約3.8倍にも達しています。子どもを虐待したとして刑事事件になるケースもあとを絶ちません。

父母が親権を濫用したような場合には、民法には、家裁がその「親権の喪失」を宣告できるという制度があります(834条)。しかし、期限を定めずに親権を奪うため親子関係への影響が大きく、申立をためらうケースがあると指摘されていました。

このような児童虐待を防止するための民法などの改正案が、2011年5月、国会で成立しました。

今回の制度は、親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家裁に申し立てることを可能とし、認められれば最長2年間親権が停止されます。
状況が改善されれば、親や親族は親権停止の取消請求ができますが、改善されなければ延長も可能という内容です。

また児童福祉法も改正され、児童相談所長や児童養護施設の施設長らの権限を、緊急の場合は親の意向よりも優先させて、一時保護中や入所中の子どもを監護、教育できるとしました。

本年4月1日から施行です。

「子どもを守る」ための最初の1歩ですね。

                                  (弁護士村松いづみ)

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