その他- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:その他)高齢者の扶養義務

人口の老齢化が進み、確実に高齢化社会に向かって進んでいます。
しかし、公的な福祉サービスは決定的に不足しており、老人介護をしている人の大半が女性で占められています。
まさに老人問題が女性問題と言われるゆえんでしょう。
また、自分の老後は誰がみてくれるのだろうと将来に対する不安を抱いておられる方もあるでしょう。

民法では、扶養の義務は、配偶者のほか直系血族(親子、祖父母と孫など)と兄弟姉妹となっており(877条)、順序は法律で決められていません。
親を長男が扶養するのが当然という考えがいまだに多いようですが、法律的には子どもの間に差はなく、もちろん女性が結婚しても自分の親の扶養義務はあるわけです。

複数の扶養義務者がある場合、誰がどのような方法で扶養を行うかを決めるには、まず当事者間の話し合いで、話し合いができない場合には、家庭裁判所がその方法や程度を定めます。

老人の側としては、子どもと一緒に暮らしたいと望む場合もあるかもしれませんが、老人を引き取って扶養するよう裁判所が強制することは難しく、同居することになる者全員の意向を尊重して決められることになるでしょう。
従って、扶養の方法は、原則としては、定額の扶養料を毎月払うことになります。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)事実婚と遺族年金

事実婚であっても、住民票などで一緒に暮らしている事実が確認できれば、遺族年金の支給の対象になります。

但し、戸籍上の配偶者が別宅に住んでいる「重婚的内縁関係」の場合には、戸籍上の配偶者か事実婚の配偶者か、どちらが遺族年金を受給できるかは争いがあります。
戸籍上の配偶者と長期間別居状態にあり、仕送りもなく、夫婦としての実体を失っている場合に限り、事実婚の妻が受給することができます。

平成17年4月21日、最高裁判所は、死亡した男性と23年間別居していた戸籍上の妻との婚姻関係は修復の余地がないほど形がい化しており、男性と17年間同居していた事実婚の妻とは事実上婚姻と同様の状態にあったと述べ、事実婚の妻の方に年金の受給を認めました。

遺族年金は、死亡した人の収入で生計を維持していた人の生活保障という趣旨で支給されるものですから、最高裁の判断は妥当と言えるでしょう。

長期期間別居していても絶対に離婚しないという戸籍上の配偶者もいますが、「遺族年金」という分野では、形だけの配偶者の座も安泰ではないようです。

                                  (弁護士村松いづみ)

(最新法令:その他)親権の喪失・停止(民法の一部改正)

20歳未満の子どもについては、父母が親権を持ってます(民法818条1項)。
父母が結婚している場合は双方が親権者で、離婚の際はどちらか一方を親権者と定めます。

親権者には、子どもの養育監護及び教育する権利義務がありますが、近時、児童相談所への虐待事案の通報件数は大幅に増加し、2009年は約4万4000件と、10年前の約3.8倍にも達しています。子どもを虐待したとして刑事事件になるケースもあとを絶ちません。

父母が親権を濫用したような場合には、民法には、家裁がその「親権の喪失」を宣告できるという制度があります(834条)。しかし、期限を定めずに親権を奪うため親子関係への影響が大きく、申立をためらうケースがあると指摘されていました。

このような児童虐待を防止するための民法などの改正案が、2011年5月、国会で成立しました。

今回の制度は、親族や検察官らのほか、子ども本人や未成年後見人も家裁に申し立てることを可能とし、認められれば最長2年間親権が停止されます。
状況が改善されれば、親や親族は親権停止の取消請求ができますが、改善されなければ延長も可能という内容です。

また児童福祉法も改正され、児童相談所長や児童養護施設の施設長らの権限を、緊急の場合は親の意向よりも優先させて、一時保護中や入所中の子どもを監護、教育できるとしました。

本年4月1日から施行です。

「子どもを守る」ための最初の1歩ですね。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)事実婚の妻の権利

結婚式や披露宴を盛大に行っても、婚姻届を提出しなければ法律上の婚姻は成立しません。社会的には夫婦として生活を続けてきたが、届け出がなされていない場合を「内縁」あるいは「事実婚」と呼びます。

1枚の紙切れの違いかもしれませんが、法律上は不利益も少なくありません。

例えば、夫が死亡しても、内縁の妻には相続権はありません。また、生まれた子どもも母親の戸籍にはいり、父親との関係は「認知」という手続きがなければ法律上発生しません。

ただ、それではあまりに実質的な関係を無視した結果となるので、例えば、正当な理由なく一方的に内縁関係をやめた者に対しては、離婚と同じように慰謝料や財産分与を請求できる扱いになっています。
また、労災で死亡した場合の遺族補償年金を受け取ることや厚生年金保険の遺族年金を受け取ることも法律で認められています。

ところで、別に法律上の妻のある男性と内縁関係になった場合はどうでしょう。

このような場合に一般に保護されるのは、法律上の妻とは事実上離婚状態となって婚姻関係が修復する余地のないほど形骸化し、他方、内縁関係の方は事実上婚姻と同様の状態にある場合に限られるでしょう。

                                   (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)任意後見制度

 

将来、認知症など自分の判断能力が低下した場合、財産の管理はどうなるんだろうと不安を感じることがあると思います。
そんな場合に備え、あらかじめ信頼できる人との間で、自分の生活や財産管理などを委ねる契約を結んでおく「任意後見」という制度があります。

 

まず、最初に、信頼できる人との間で、「任意後見契約」を結ぶ必要があります。
後見人の資格には、特に制限はありません。
契約は、公証人が作成する公正証書でする必要があります。契約が成立すると、公証人は、任意後見契約の登記を嘱託することになります。

 

任意後見契約の効力が生ずるのは、実際に本人に精神上の障害が生じ、本人や配偶者などからの申立により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時からです。
任意後見監督人は、任意後見人の事務を監督して、不正や不当に本人の財産を喪失させたりすることがないようにするため選任されます。

 

任意後見人が行うべき仕事の内容は、本人との間で決めた任意後見契約の中身で決まりますから、その内容は一人一人異なることとなります。
ただし、後見人ができるのは契約等の「法律行為」であり、身の回りの世話など「事実行為」は含まれません。

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)「いじめ」についての責任

小学生や中学生など幼い子どもたちの「いじめ」による自殺があとをたちません。

いつの時代でも多かれ少なかれ、いろんな形での「いじめ」は存在しました。でも、今日ほど陰湿だったことはかつてなかったのではないでしょうか。学校教育のあり方を地域ぐるみで真剣に問う時期に来ているような気がします。

「いじめ」を受けてケガなどをすることも日常茶飯事に起きているようですが、そのような場合、法的には誰に責任を問えるのでしょうか。

まず、ケガをさせた「いじめっ子」本人は当然です。ただ、この子が小学生のようなまだ十分な判断能力がない場合には、親の責任も考えられます。なぜなら、親は、家庭内外を問わず、子どもの生活全般にわたって保護監督すべきであり、少なくとも他人の生命・身体に危害を加えることのないよう、常日頃から教育をしなければならないからです。

また学校の担任教師も、学校生活の中においては、他の子どもから危害を加えられる恐れのある子どもについては、その行動にきめ細かな注意を払い、危険を未然に防止する義務があると言えるでしょう。

そしてまた学校自体の責任も考えられるでしょう。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)成年後見人の職務

認知症の高齢者や判断能力が不十分な人を不利益から守る制度として「成年後見制度」があります。

家裁は、後見開始を認めると、成年後見人を選びます。子どもや兄弟などの親族が後見人になることもあります。

後見人の主な仕事は、財産管理能力が不十分な被後見人に代わって、その財産を管理するというものです。

財産の管理とは、現状の維持だけでなく、処分する行為も含みます。例えば、印鑑・通帳の保管、介護サービス契約の締結、生活資金を捻出するための不動産の売却など多岐に及びます。
その前提として、後見人は、選任後速やかに財産を調査し目録を作成しなければなりません。
後見事務を処理するための費用は、被後見人の財産から支出することができます。
また、申立をすれば、家裁は報酬も決めてくれ、受領することができます。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・その他)成年後見制度

 

認知症の高齢者を狙って過剰なリフォーム工事契約を結ばせるなどの悪質な商法があとを絶ちません。
認知症の高齢者や判断能力が不十分な方は、詐欺師の手にかかると、大切な財産を簡単に取られてしまう危険性があります。

 

そこで、これらの人を不利益から守る制度が「成年後見制度」です。

 

本人や配偶者、4親等内の親族、市町村長などが家庭裁判所に申し立てることができます。

 

民法で定める後見制度には、「後見」(重度)、「保佐」(中度)、「補助」(軽度)に分かれており、それぞれ援助者として「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選ばれます。通常は、親族が選ばれることが多いですが、弁護士などの専門家を選任することも可能です。
成年後見人は、本人に代わって、預貯金や不動産を管理したり、本人が生活する上で必要な契約を締結したりします。
本人が悪徳商法に騙された場合でも、その契約を取り消すこともできます。

 

(弁護士村松いづみ)

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