労働・労災- 法律コラム -

(法律コラム:労働・労災)未払い賃金の請求

頑張って働いたのに、雇い主が「賃金を払ってくれない」ということがあります。

賃金は「労働の対価」ですから、正当に働いたにもかかわらず未払いの場合、それを雇い主に請求できるのは当然です。
(ただし、賃金請求権の時効は、2年ですので、注意してください。)

雇い主と話し合って支払いの確約がとれ、それが履行されればよいのですが、不誠実な対応に終始する雇い主については、管轄の労働基準監督署に申告されることをお勧めします。

また、未払いの賃金の支払いを求めて調停や労働審判などの裁判手続きをとるのも1つの方法です。

更に、運悪く、会社が倒産したような場合でも、国が立て替えて払ってくれる制度を使える場合もあります。

                              (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・労働)最低賃金

賃金は、通常、雇う人と雇われる人との話し合いで決まります。
でも、お互いが納得しさえすれば、いくら安くてもかまわないというわけではありません。

「最低賃金法」という法律があります。
この法律は、雇い主は最低これだけの賃金は支払わなくてはならないという枠を定めており、これに違反した賃金しか支払っていない雇い主は差額を支払う義務があることはもとより、罰則も課せられます。

ちなみに京都府の最低賃金は、時給751円です(平成23年10月16日~)。

ところで、京都は、昨年(平成23年)、最低賃金が生活保護水準を下回るワースト9の都道府県の1つでしたが、昨年秋からは、上記のように改正されたようです。
生活保護の水準というのは、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するというのが建前です。それなのに最賃での生活が生活保護より低いって、いったいどういうことなのか理解できません。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・労働)非正規労働者にも労基法は適用されます

パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託社員といった非正規雇用労働者が増加しています。男性では5人に1人、女性では2人に1人という割合です。
特に、男女とも15~24歳の非正規比率が急激に高まっています。若者が学校を卒業しても、正規では就職がないという現状が浮かび上がってきます。

ところで、労働条件の最低基準-これ以下で労働者を働かせてはいけないという基準ーを定めているものに労働基準法があります。

有給休暇・労働時間・休憩・残業代など、労基法には労働者の最低限度の権利がいくつも定められ、もちろんパート・アルバイトなどの非正規雇用労働者にも適用があります。
雇い主の中には、パートやアルバイトなどには労基法の適用がないと思いこんでいる人もいますから、職場の仲間とよく話し合って、労基法違反の労働条件については是正を求めていきましょう。

                                  (弁護士村松いづみ)

(最新法令・労働)改定労働者派遣法

2012年3月28日、国会で民主・自民・公明党の賛成多数で、労働者派遣法の改定案が成立しました。

2008年末のリーマンショックを機に社会問題化した「派遣切り」のような暴挙を許してはならないとして派遣法改正の議論が始まりましたが、当初の政府案からは大幅に後退した内容になってしまいました。
なお、改定法の施行は、公布の日から6ヶ月以内の政令で定める日です。

改定の要点は、次のとおりです。

①当初の案にあった、登録型派遣、製造業派遣を原則禁止とする規定は削除。
②日雇いなど日々または短期派遣を原則禁止とする対象期間を、当初の案の「2か月」から「30日以内」に緩和して修正。
③偽装請負などの違法派遣の場合、派遣先企業が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている時には、派遣先企業が派遣労働者に対し雇用契約を申し込んだものとみなす。
 但し、この規定の施行日は法律施行日から3年間猶予(要は、先送りということですね)。
④企業が支払う派遣料金のうち、派遣会社の得る分についての情報開示の義務化

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム・労働)残業代がアップに

労働基準法が改正され、2010(平成22)年4月から、時間外労働(1週40時間・1日8時間の法定労働時間を超える残業)について、月60時間をこえる部分に限り、割増賃金率がこれまでの25%から50%に引き上げられました(ただし、中小企業については、当分の間、猶予されます)。

もしかしたら、この改正を知らない使用者もいるかもしれませんので、頭に入れておきましょう。

働き過ぎによる過労死、過労うつ・過労自殺が大きな社会問題となっている日本。
命や健康を、50%の割増賃金と引きかえにするわけにはいきません。
月60時間もの残業などはなくすべきだという声をあげていきましょう。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:労働・労災)労働災害(労災)について

健康で安全に働き続けることができればよいのですが、仕事中にケガをしたりすると、働けないし、医者にも行かなくてはならないし、本当に困りますね。

労働者が「仕事をしているとき」に「仕事によって」ケガをしたり病気になったり死亡したりすることを労働災害(労災)と言います。

労災と認定されると、労災保険から医療費や休業補償などの給付を受けることができます。
労災保険は、原則として強制適用ですから、労働者を一人でも雇っている使用者は加入しなければなりません。
ですから、労災にあった場合には、使用者が協力してくれなくても、労働基準監督署に事情を話して申請することが大切です。
パートやアルバイトでももちろん労災補償は受けられます。
また、通勤の途中で事故に遭ったような場合、これは「仕事をしているとき」ではありませんが、「通勤災害」として労災保険の給付を受けることができます。

                                     (弁護士村松いづみ)