相続・遺言- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム:相続・遺言)相続と時効(その2)~遺留分減殺請求権~

遺言によって遺産をもらうことから排除されているような場合でも、兄弟姉妹以外の法定相続人については、遺言者の意思に反しても一定の割合の遺産を請求することができる制度=遺留分制度(民法1028条)があります。

自分の遺留分を侵害するような内容の遺言などが存在することを知った時には、それによって直接利益を受ける相手方に対し、遺留分の範囲内で財産を返還するよう求めることができます。
これを遺留分の減殺(げんさい)請求と言います。

遺留分の減殺請求を行う方法は、相手方に対する意思表示で足りますので、口頭でもかまいません。ただ、後に「言った」「言わない」という紛争になりかねませんので、内容証明郵便でされることをお勧めします。

そして大切なことは、この遺留分の減殺請求権は、自分の遺留分が侵害されていることを知ってから1年間行使しないと時効によって消滅してしまいます。
また、相続が開始した時から10年経過した時は、たとえ知らなくても消滅してしまいます(民法1042条)。
1年という期間は短いので注意しましょう。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)相続人の欠格・廃除

「子どもにひどい目にあわされた。親子の縁を切りたい!」

時々、そんな相談を受けることがあります。でも、現行の法律では、親子の縁を全く切ってしまう方法はありません。
ただ、民法は、被相続人に対し道義に反するような行いをした相続人について相続権を失う場合を定めています(891・892条)。

例えば、親を殺そうとして刑罰に処せられたり、親の遺言書を破棄・偽造した相続人は、当然に相続権を失います。これを「相続人の欠格」と言います。

また、欠格の場合ほどひどくはないが、手に負えない「親泣かせ」の子どもの場合には、家庭裁判所に申し立てて相続をさせないようにしてもらうことができます。これを「相続人の廃除」と言います。

どの程度の行いがそれにあたるかは、具体的な事案を総合的に判断して最終的には裁判所が決めることになります。

この「廃除」の申立てができるのは、被相続人です。また、被相続人は、遺言でも廃除の申立てをすることができます。

                                   (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)認知症と遺言

遺言をするには、遺言する能力(遺言能力)が必要です(民法963条)。
これは、遺言の内容を理解していること、つまり自分の遺言が法律的にどのような効果が生じるかを理解する能力です。

裁判では、高齢者、とりわけ認知症など判断能力が低下している人の遺言の有効性が問題となることが少なくありません。
それは、必ずしも手書きの自筆証書遺言だけでなく、公証人が作成した公正証書遺言でも争いが起こり、無効と判断されているケースもあります。

遺言能力があるか否かは、遺言をする時の本人の具体的な状態や遺言の内容などによって総合的に判断されますから、認知症という診断を受けているからと言っても、必ず能力が認められないというわけではありません。

これから遺言を書こうとする場合には、主治医に相談されることをお勧めします。また、本人が遺言を書いている姿ややり取りなどをビデオに撮影しておくことも役に立つかもしれません。
遺言の効力を争う場合にも、主治医の意見が参考となるでしょう。

                                   (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)相続と時効(その1)~相続税~

「親が亡くなりましたが、いつまでに遺産分割をしなければなりませんか?」というご相談を受けることがあります。

遺産分割そのものについては、いつまでに分割すべきというような期限の定めはありません。でも、あまりに長く放置しておくと、相続人の中には死亡する人もいたりして、その死亡した人の相続人を更に探さねばならないということも起こり得ますので、その点は十分留意してください。

遺産分割には期限はありませんが、もし相続税を払わなければならないような遺産総額の場合には、相続税の申告には期限があります。

相続が発生しても、すべての人が必ず相続税を払わなければならないわけではなく、原則として遺産が一定額(基礎控除額)を超える人だけが払うことになります。

    基礎控除額=5000万円+(1000万円×法定相続人数)

相続税を払わなければならない場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に税務署に申告する必要があります。相続人の間で遺産分割で争っている場合でも、法定相続分で仮の申告をしておいた方が良いでしょう。
もし相続税の申告を忘れたような場合には、法定納期限から5年で時効となります。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)相続と遺留分

遺言で、自分の財産を誰にどれだけあげようと自由です。
ただ、兄弟姉妹(その代襲者も含む)以外の相続人には、その遺言をした本人の意思に反しても遺産の一定割合を請求できるという制度があります。これを遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)請求と言います。

その割合は、親など直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1。
その他の場合の相続人であるとき、被相続人の財産の2分の1です(民法1028条)。
遺言によって、遺留分に相当する遺産が与えられている時には、それ以上を求めることはできません。

遺留分が侵害されていても、遺言自体が当然に無効になったりはしませんので、侵害された相続人が請求したい場合には、きちんとその意思を表示しておく必要があります。その方法は、必ずしも裁判による必要はありませんが、できれば証拠が残るように、内容証明郵便でされることをお勧めします。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)遺言書を発見したら~遺言の検認~

身内や親しい方が亡くなり、遺言書を見つけた場合、どうすればよいでしょうか。

遺言書は開封してあるものも、封印してあるものも、公正証書遺言以外は、なるべく早く家庭裁判所に提出して、「検認」を受けなければなりません(民法1004条1項)。
また、封印のある遺言書は、すべての相続人またはその代理人の立ち会いの上で、家庭裁判所で開封しなければならないことになっています(1004条3項)。

「検認」というのは、遺言書がどんな用紙に何枚にわたり、何がどう書かれているのか、日付や署名、印はどうなっているかなどを記録し調書を作成することです。
つまり、提出された遺言書の偽造・変造を防ぐための手続きなのです。
しかし、検認を受けたからと言って、遺言が当然に有効と認められたわけではありません。
検認前に偽造されたような場合には、裁判所に遺言の無効確認の訴えを提起して争うことができます。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)遺言書の書き方

最近、遺言を書く人が増えているそうです(2010年6月29日付け京都新聞夕刊)。

遺言は、その効力が生じる時、遺言者本人がこの世にいないわけですから、遺言者の意思を確保するため、法律の定める方式に従ったものでなければ、遺言としての効力を持ちません。

一番、簡単な方法は、自筆証書遺言です。自分自身で作成するので、簡単で、秘密にできますが、遺言書の全文、日付、氏名を全部自分で書き、押印することが必要です。パソコンで作成するのはダメですよ。自分で書いた場合には、誤りがないか、1度、弁護士などにチェックしてもらった方が良いでしょう。

公正証書遺言は、公証人役場で公証人に作成してもらうものです。費用はかかりますが、後日の紛争防止や遺言書の保管(原本を公証人役場で保管します)などの点では確実です。但し、証人2人以上の立ち会いが必要です。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)借金の相続、どうすればいい?(相続放棄と限定承認)

遺産の分け方をめぐって争いなることがよくありますが、逆に借金が多い場合はどうすればよいでしょうか。

相続財産はプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産も含みますので、借金だけを相続しないという都合のよいことはできません。
ただ、借金の方が多い場合、相続人には負担になりますから、民法は、相続放棄と限定承認という2つの制度を定めています。

相続放棄は、相続は一切しないというものです。
限定承認は、借金について、相続したプラス財産の限度内だけで責任を負うというものです。

どちらも相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内(考慮期間)に家庭裁判所に申し立てねばなりません。

限定承認のメリットは、プラスとマイナスとでどちらが多いかわからない場合、精算した結果、プラスの財産が残れば、これを相続することができるところにあります。ただし、限定承認は、相続人全員でしなければなりません。

気を付けなければならないことは、財産の全部または一部を処分したり、隠したりした場合には、相続を承認したものとみなされ、もはや放棄も限定承認もできなくなりますので、注意しましょう。

                                     (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)子どもがいない場合の相続

最近、子どものいない夫婦が増えてきました。そんな場合、夫が死亡した時の、相続はどうなるのでしょうか。

子どもがいない場合、まず、亡夫の直系尊属(通常は両親)が相続人となります。相続分は、妻が3分の2、直系尊属3分の1です。
直系尊属が既に死亡している場合には、亡夫の兄弟姉妹が相続人となります。相続分は、妻4分の3、兄弟姉妹4分の1です。
従って、夫の遺産を分けるには、これらの相続人と話し合う必要があり、話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。

夫の両親や兄弟姉妹とは血のつながりがないので、夫の死後、遺産をめぐって争いが起こるのではないかと不安を抱いておられる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、夫婦が互いに遺言を書くことをお勧めします。遺言があれば、少なくとも兄弟姉妹には遺留分はありませんので、もめる心配がありません。

(注)遺留分とは、一定の近親者に対し、亡くなった人の意思に反しても相続財産の一定割合が留保されることです。

        (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)親の介護と相続(寄与分)

高齢化社会の現在、子ども自身も年老いていく中での親の介護は大きな社会問題だと思われます。子どもの中で、実際介護に携わる人とそれ以外の人とでは、その負担には大きな差があると推測され、親の死後、遺産分割でモメることが少なくありません。

遺言がない場合、子どもの法定相続分は平等です(民法900条4号)。

ただ、亡くなった親の財産の維持や増加に特別の貢献があった相続人に対しては、「寄与分」が認められ、その分、相続財産が増えることとなります(民法904条の2)。

とは言っても、はたして、「寄与」と言えるかどうか、それが「特別な寄与」かどうか、財産の維持・増加があったかなど難しい要件があります。

いずれにしても、遺産分割をめぐってモメるようであれば、家庭裁判所で話し合われることをお勧めします。
                                     (弁護士村松いづみ)

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