相続・遺言- 法律コラム・最新判例 -

(法律コラム・相続)相続税の基礎控除(平成25年度改正)

 

平成25年度税制改正により、相続税の基礎控除が現行の基準から変更されることとなりました。

改正は、平成27年1月1日以後の相続による取得する財産に係る相続税に適用されます。

改正内容は、下記のとおりです。

 

 

(現行)定額控除5000万円+1000万円×法定相続人の数

(改正後)定額控除3000万円+600万円×法定相続人の数

 

 

例えば、夫が死亡し、妻と子ども2人が相続人の場合、これまでは、

 

5000万円+1000万円×3人=8000万円

 

となり、遺産が8000万円までは相続税はかかりませんでした。

平成27年1月1日以後は、

 

3000万円+600万円×3人=4800万円

 

となって、4800万円を超える遺産があった場合には、相続税を支払わなくてはならなくなります。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

(最新判例:相続)相続分における婚外子差別は違憲!(最高裁)

 

ようやく出た違憲判決でした。

 

2013年9月4日、最高裁大法廷は、裁判官14人全員一致で、結婚していない男女の間に産まれた子(婚外子=非嫡出子)の相続分を法律上の夫婦の子(嫡出子)の半分とする民法の規定(900条4号)について、「法の下の平等を定めた憲法に反する」という初めての違憲判断を下しました。

 

出生に何の責任もない子を婚外子というだけで差別するこの規定は、家制度を基本とする明治民法から戦後の民法に引き継がれたものでした。

国連が何度も日本に対し是正を勧告しましたが、立法府である国会は改正しようとしませんでした。

それがやっと司法によって実現しました。

 

なお、最高裁は「遅くとも2001年7月時点で規定は違憲無効」と判断しましたが、「解決済みの相続に影響すれば法的安定性を著しく害する」として、解決済みの事案には効力は及ばないと判示しています

 

(弁護士村松いづみ)

(法律コラム:離婚・相続)家裁が変わる~新しい家事事件手続法のポイント(その1:申立書が相手方へ送付される)

 

2013年1月1日から、新しい家事事件手続法が施行されました。

 

これまで家庭裁判所で行われる家事事件の手続きについては、昭和22年に制定された家事審判法により定められていました。

しかし、その後、時代とともに我が国の家族をめぐる状況や国民の法意識が変化したことから、現状に適合した内容とするということで、全面的な見直しが行われ、昨年5月に家事事件手続法が制定されました。

 

ただし、この法律が施行される前に申し立てられた事件には、原則として適用がありません。

 

改正点は、たくさんあります。1度で説明することは困難ですので、今後このコーナーで少しずつお話していきたいと思います。

 

まず、大きく変わったのは、調停申立書や審判申立書の写しが相手方に送られるようになりました。

これまでは、相手方には期日の呼出状だけが送られてきましたので、申立人が何を求めているのかは実際に第1回期日に行ってみないとわからないということがよくありました。

申立書が送付されることによって、相手方もそれについて準備をして第1回の期日にのぞむことができるようになったわけです。

ただ、DVなどのため相手方に住所などを知られたくない場合には、別に記載方法がありますのでご相談ください。

 

調停中に提出する書面や資料は、すぐには相手方の目にはふれませんが、調停が不成立になって審判に移行するような事件の場合(例えば、婚姻費用分担請求や遺産分割など)には、原則として記録を閲覧したり、謄写したりすることが許されます。

よって、最終的には相手方の目にふれることがあるという前提で提出する必要があります。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

(法律コラム・相続)非嫡出子の相続分差別 最高裁「合憲」判断見直しの可能性

 

2012年4月20日付けの法律コラム「非嫡出子の相続分差別」でも書きましたが、民法900条4号但書では、結婚届を出さないカップルから産まれた子(非嫡出子)の相続分について、法律上の夫婦の間に産まれた子(嫡出子)の2分の1と定めています。

 

最高裁は、1995年にこの規定を合憲と判断しましたが、2009年の判決では「もはや立法を待つことは許されない時期に至っている」「現時点では違憲の疑いが極めて強い」などと指摘していました。

 

本来であれば、立法によって早期に解決すべきですが、夫婦別姓と同様、自民党の中の根強い反対によって実現していません。

 

他方、最高裁も、最高裁に当該の事件が係属しないと違憲の判断もできませんでした。

 

それが、やっと実現しそうです。

 

2月28日付け新聞報道によると、最高裁は、民法の非嫡出子の相続分差別の規定の合憲性が争われている事件の審理を、2月27日、大法廷に回付しました。

大法廷は、憲法判断や判例変更を行う場合に開かれますので、最高裁は違憲の判断を下すことでしょう。

 

また1つ、不当な差別が解消されそうです。

 

(弁護士村松いづみ)

 

 

 

(法律コラム:相続・遺言)遺言の検認手続きについて

 

「(法律コラム:相続・遺言)遺言書を発見したら~遺言の検認~」の続編です。

 

先週、家庭裁判所に「遺言の検認」に行ってきましたので、「遺言の検認」手続きがどのように進むのか、ご説明しましょう。

 

申立人は、検認日当日、遺言書の原本を持参する必要があります。

 

まず、裁判官が、「検認」というのは、遺言書の現在の状態を確認するための手続きであって、遺言の有効無効の判断をするものではないことを説明されました。

 

次に、裁判官から申立人に対し、下記のような質問がありました。

①遺言書は預かったのですか?発見したのですか?

②それはいつですか?

③今日までどこで保管していましたか?

④保管を始めて以降、外に持ち出したことはありましたか?

⑤署名の字や印鑑は、遺言者のものかどうかわかりますか?

 

なお、相続人は、この手続きに同席することができ、もし出席していれば、裁判官は、その相続人に対しても、「遺言書の署名の字や印鑑は、遺言者のものかどうかわかりますか?」という質問をします。

 

そして申立人には、遺言書が返還され、同席の相続人はそのコピーがもらえます。

 

以上で手続きは終わりますので、10~30分位の手続きとなります。

 

(弁護士 村松いづみ)

 

 

 

 

 

 

 

(法律コラム:相続・遺言)言葉の不自由な人の遺言

言葉が不自由な人でも自筆証書遺言を作成できることはもちろんですが、公証人による公正証書遺言が作成できるかどうかという点については、以前は、できないとされていました。

それは、公正証書遺言を作成するには、遺言者が公証人に対し、遺言の内容や趣旨を口頭で言わなければならないとされていたからです(民法969条)。
手話通訳などによる方法ではダメとされていました。

しかし、1999年に民法改正があり、言葉の不自由な人でも公正証書を作成することができるようになりました(民法969条の2)。

言葉の不自由な人の場合には、遺言の内容を口頭で述べる代わりに、通訳人の「通訳」または「自書」でよいとしました。
通訳は、手話通訳が多いと思いますが、読話(口話)などでもよいでしょう。

                              (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)非嫡出子の相続分差別

結婚届を出さないカップルから産まれた子を、民法では「嫡出でない子」=「非嫡出子」と言う。
最近では、一般には「婚外子」とも呼ばれることもある。統計的には、1年に約2万3000人ほどが婚外子として誕生しているとのことである。

親が亡くなり、子どもの中に「嫡出子」と「非嫡出子」がいる場合、民法は「非嫡出子」の相続分を「嫡出子」の2分の1と定めている(900条4号但書)。

いわゆる「お妾さんの子」を想定して設けられた規定であるが、最近では自らの意思で結婚届を提出しないという選択をする親も存在する。
「非嫡出子」となったことに子どもには何の責任もなく、親の事情によって子が不利益を被ることは、個人の尊厳を定めた憲法13条や法の下の平等を定めた憲法14条1項にも反すると言える。

最高裁は、1995年この規定は合憲と判断し、残念ながら、その結論は今日でも変わっていない。
しかし、最高裁の姿勢にも徐々に変化が見られ、1995年判決では「立法解決が望ましい」と補足していたのが、2009年判決では「もはや立法を待つことは許されない時期に至っている」との指摘がなされるようにまでなった。
ただ、残念ながら、現在、最高裁には非嫡出子の相続分について争われている事件は係属していないと聞いている。

早期の法改正の実現を期待したい。

                               (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)先に子どもが死亡した場合、遺言は無効(最高裁)

遺言で親の全財産を相続する予定だった長男が、親より先に死亡した場合、その長男の子は代襲相続しないという判断が、2011年2月22日最高裁判所で初めてありました。

事案は、長男と長女を持つ母親である女性が、1993年に長男に全財産を相続させるという遺言を書きましたが、長男は2006年に母親より先に死亡。その後、母親も死亡し、長女が法定相続分の権利を主張。長男の子どもが長男の代わりに全遺産を相続するのか(代襲相続)、長女にも法定相続分の権利があるのか、判断がわかれていました。

最高裁判決は、「遺言する人が特定の相続人に財産を相続させるといった場合、通常はその相続人に遺産を取得させる意思があるということにとどまる」と指摘し、遺言中で代襲相続を指示している特段の事情がない限り、遺言に効力は生じないと判断しました。

もし長男が先に死亡した場合その子(遺言者にとっては孫)に相続させたい時には、最高裁判決も指摘しているとおり、遺言にその旨をはっきり書いておくことが必要ですね。

                                   (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)遺言の日付は重要です

自分で遺言を書く場合には、全文・日付・氏名のすべて手書きし、印を押さなければなりません(民法968条1項)。

遺言に日付を書かなければならないのは、遺言が何通もある場合には、日付が新しいものが有効であることや、遺言を書いた時に意思能力(遺言能力)があったかどうかを判断する日となるからです。

ですから、いくら遺言としての体裁が整っていても、日付の記載のない遺言は無効となります。

ただ、できるだけ遺言者の意思を尊重するという趣旨で、単なる誤記の場合や、真実の作成日が判明するような場合には、遺言は無効にならないとされています。
例えば、「昭和五拾四拾年」は「昭和五拾四年」の誤記
     「正和」は「昭和」の誤記
などです。

でも「平成23年11月吉日」という記載は、日付の記載を欠き無効という判例がありますので、注意してください。

                                  (弁護士村松いづみ)

(法律コラム:相続・遺言)相続放棄は、いつから「3ヶ月以内」なの?

相続を放棄したい場合、民法は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、・・・放棄しなければならない」と定めています(915条)。

「自己のために相続の開始があったことを知った時から」というのは、通常、被相続人が死亡したということを知った日の場合が多いですが、第1順位の相続人が全員放棄したため、第2順位の人が相続人となるような場合には、自分が相続人となったことを知った日となりますので、必ずしも死亡した日とは一致しませんね。

また、この「3ヶ月」という期間は、相続するか放棄するかを考えるための期間ですので、自分が相続人となったということだけでなく、どのような相続財産があるのかを認識した、あるいは認識しうべき時から計算されるというのが判例の立場で(最高裁昭和59年4月27日)、家裁の実務でもこのように運用されています。

従って、仮に親と長年音信不通状態で離れて暮らしており、親が死亡したことは連絡を受けたが、親に借金があることまでは全く知らず、銀行から請求を受けて初めて知ったというような場合には、その銀行から請求書が届いた時が「3ヶ月」の期間の始まりとなります。

その意味で、いつから「3ヶ月」かを計算するかは重要なので、迷うようなことがあれば、弁護士にご相談ください。

                                  (弁護士村松いづみ)

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