(法律コラム:離婚)約2年の別居で離婚認めず(東京高裁)
離婚についての法律相談を受けていると、時々、離婚原因が「性格の不一致」や「価値観の相違」しかないケースがあります。
「性格の不一致」や「価値観の相違」という原因でも、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」がある場合には離婚は認められます。
「婚姻を継続し難い重大な事由」の判断の中には、「別居期間」も考慮されます。
では、何年くらい別居したら、裁判所は離婚を認めてくれるでしょうか。
裁判官によっても、事案によっても、一概には言えませんが、下記のような判例が1つの参考になります。
東京高裁平成25年4月25日判決は、別居期間が約2年になろうとしていた離婚事件で、別居は性格や価値観の相違が大きな要因であったと認定し、別居は突然で、改善の努力をしたが問題が解消されないというような事情がないなどと判断。
夫がまだ夫婦関係の継続を望んでいることも考慮し、妻の離婚請求を認めませんでした。
この事件で、妻は負け、夫は夫婦関係の継続を望んでいるわけですが、おそらく、妻は夫とやり直すことはないでしょう。
また、何年か別居して、離婚を求めるしかないですね。
ところで、「性格の不一致」しか原因がないから「離婚は無理」と思い込んでいる方もおられますが、弁護士がよくよく話を聞いてみると、「性格の不一致」を超えた原因がある場合もあります。
やはり弁護士などの専門家の意見を聞いてみることをお勧めします。
(弁護士村松いづみ)