(法律コラム:離婚)有責配偶者の資産と離婚慰謝料の額
よく芸能人が離婚する場合、慰謝料の金額が何千万円とか何億円などという記事を目にします。
ただ、これらの数字は、実は、財産分与の額や養育費なども含まれていることもありますし、また合意をもとに慰謝料を決めた場合かもしれません。
ですから、いくら配偶者が資産家であっても、裁判所が芸能人なみに慰謝料を定めるわけではありません。
有責配偶者が金持ちであろうと貧乏であろうと、それだけでは他方配偶者の離婚によって受けた精神的苦痛に変わりはないはずです。
よって、現在の裁判所は、保有資産の額や給与の金額によって、(多少影響はあるかもしれませんが)大きく慰謝料の金額を変えることはしていません。
精神的苦痛を受けた側の感情からすれば、例えば1億円稼いでいる有責配偶者が仮に200万円の慰謝料を支払えと命じられても痛くもかゆくもなく、悔しいという思いがあるでしょう。
外国では、「制裁的慰謝料」「懲罰的慰謝料」などの考えをとっている国もあるようですし、日本でも学説では存在しますが、日本の裁判所は、離婚慰謝料に限らず、どの慰謝料についても、加害者の資産は大きな比重は占めていません。
(弁護士村松いづみ)