(法律コラム:離婚)別居中の自宅建物の使用について

 

夫婦の一方が自宅を出て別居することになった時、残された配偶者は、その自宅に住み続けることができるか、ということが問題となる場合があります。

 

まず、自宅不動産が夫婦共有名義であった場合にはもとより、一方の配偶者(特に、別居して出ていった方)の単独名義であったとしても、結婚後に二人で購入したような場合には、離婚まででなく、財産分与の合意が成立するまでは、住み続けることができます。

 

では、自宅が元々、一方の配偶者(別居して出ていった方)の固有財産(特有財産)であった場合は、どうでしょうか。

判例は、婚姻関係が続く限り継続して住むことができる、としています(東京高裁昭和31年7月16日決定)。

しかし、暴力等を行うDV配偶者が自宅に住んでいる場合には、婚姻中であっても、明け渡しや賃料相当損害金を認めた判例もあります(東京地裁昭和61年12月11日判決)。

そして、離婚した成立した後には、明け渡さないと、占有者は賃料相当損害金を払わなければならない可能性もあります。

 

(弁護士 村松いづみ)