(法律コラム:相続)遺産分割でモメている場合の相続税の申告について

 

当コラムの「相続」でも書いていますが、今年1月から、相続税の申告も納税も不要な基礎控除の金額が「3000万円+600万円×法定相続人の数」というように引き下げられました。
そのため、相続税の申告をしなければならない相続人が確実に増えています。

 

現実の遺産分割は、それほど簡単なことではなく、遺産の範囲や分け方をめぐって、親族の間で対立が起き、話し合いがまとまらない場合も少なくありません。

 

他方、相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に被相続人の住所地を管轄する税務署に行うことになっています。

 

相続人の間で争いがあるからと言って、申告期限が延びるわけではありません。
もし申告しなければ、延滞税が加算されてしまいます。

 

そのような場合には、各相続人は、法定相続分で相続したとして、相続税を計算し、それによって仮に算出された相続税の申告と納税をします。
そして、仮の申告をしておいて、実際に遺産分割の協議がまとまった時には、改めて、税務署に修正申告または更正の請求をすることができます。

 

(弁護士 村松いづみ)