(法律コラム:相続・遺言)非嫡出子の相続分差別

結婚届を出さないカップルから産まれた子を、民法では「嫡出でない子」=「非嫡出子」と言う。
最近では、一般には「婚外子」とも呼ばれることもある。統計的には、1年に約2万3000人ほどが婚外子として誕生しているとのことである。

親が亡くなり、子どもの中に「嫡出子」と「非嫡出子」がいる場合、民法は「非嫡出子」の相続分を「嫡出子」の2分の1と定めている(900条4号但書)。

いわゆる「お妾さんの子」を想定して設けられた規定であるが、最近では自らの意思で結婚届を提出しないという選択をする親も存在する。
「非嫡出子」となったことに子どもには何の責任もなく、親の事情によって子が不利益を被ることは、個人の尊厳を定めた憲法13条や法の下の平等を定めた憲法14条1項にも反すると言える。

最高裁は、1995年この規定は合憲と判断し、残念ながら、その結論は今日でも変わっていない。
しかし、最高裁の姿勢にも徐々に変化が見られ、1995年判決では「立法解決が望ましい」と補足していたのが、2009年判決では「もはや立法を待つことは許されない時期に至っている」との指摘がなされるようにまでなった。
ただ、残念ながら、現在、最高裁には非嫡出子の相続分について争われている事件は係属していないと聞いている。

早期の法改正の実現を期待したい。

                               (弁護士村松いづみ)