(法律コラム:相続・遺言)遺言による未成年者後見人の指定
今までに私が離婚事件に関わり、離婚後、未成年の子どもの親権者となった依頼者女性が、その後重篤な病となり、彼女死亡後の子どもの親権などについて相談を受けたことがあります。
民法839条は「未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定とすることができる」と定めていますので、遺言を書いて、後見人を指定しておいた方が良いとアドバイスをします。
そして、その親権者が死亡すると、遺言は効力が生じることとなります。
ただ、親権者である親が死亡しても、離婚したもう1人の親が生存している場合、もし、その生存親が自分を親権者にしてほしいと求めた場合、それは可能なのでしょうか。
裁判の実務では、親権者である親が未成年者後見人を指定する遺言を残して死亡しても、生存親から親権者変更の申立があった場合には、家庭裁判所は、あらためて、民法819条6項の「子の利益のために必要があると認めるとき」にあたるか否かを判断します。
その場合には、生存親の養育の意思や環境、それまでの子どもとの交流状況、子どもの意思、遺言が存在すること、後見人の養育の意思や環境などを総合的に検討して、判断されます。
(弁護士村松いづみ)