(法律コラム:相続・遺言)「財産をまかせる」という遺言の効力

 

遺言書ではマレですが、「遺産については、すべて妻にまかせます」などと書かれたものに出会うことがあります。

このような遺言の場合、法定相続人が妻以外にもいるケースですと「まかせる」という文言の解釈が問題となります。

 

判例の中には、「まかせる」という言葉は、本来「事の処置などを他のものにゆだねて、自由にさせる。相手の思うままにさせる。」ことを意味するにすぎず、与える(自分の所有物を他人に渡して、その人の物とする)という意味は全く含んでいない、と判断したものもあります(東京高裁平成9年8月6日決定)。

 

上記の判例のように、判例の多くは、「まかせる」は、「あげる」という遺贈の趣旨ではないと判断しているようです。

 

しかし、大阪高裁平成25年9月5日判決は、遺言書作成当時の事情、遺言者の置かれていた状況に鑑みると、本件遺言は、遺言者の遺産全部を包括遺贈する趣旨のものであると判断して、遺贈を認めました。

 

この高裁判決は、最高裁に上告されているようです。

最高裁は、どのような判断をするでしょうか。

 

 

(弁護士村松いづみ)