(法律コラム:最新法令)過労死等防止対策推進法が施行されました。
過労死や過労自殺のない社会を実現するため、国の責務で防止策を講じると定めた過労死等防止対策推進法が11月1日施行されました(2014年11月2日付け京都新聞朝刊)。
6月に国会で成立した法律です。
対策としては、
①過労死や過重労働の実態の調査研究
②啓発
③相談体制の整備
④民間団体の活動支援
が列挙されています。
厚生労働省は、11月には、月100時間以上残業させたり、過労死を理由とした労災申請があったりした企業に対し、労働基準監督署が集中的に指導監督するとしています。
ただ、この法律は、過労死をなくすという理念を示すことが主な目的で、労働基準法などのように規制や罰則はありません。
また、他方、政府は、年収など一定要件を満たした労働者に対して残業代を支払わないといった労働時間規制適用除外の新たな制度の導入を押し進めています。
これでは、過労死はなくなりません。
私たちは、この過労死防止法を力に、過労死のない社会の実現をめざし、国に対し、実効性のある防止対策を行うよう求めていく必要があります。
(弁護士村松いづみ)