(法律コラム:少年・刑事)少年事件の手続の流れと付添人活動①
今回からは、少年事件の手続の流れと付添人活動についてお話します。
(少年とは)
「少年」とは、20歳に満たないものをいい、「成人」とは満20歳以上の者をいいます(少年法2条1項)。
また、「保護者」とは、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者をいいます(同法2条2項)。
そして、付添人活動と書いているように、少年事件に関与する弁護士のことを「付添人」といいます(同法10条等参照)。
(少年法の目的)
少年法は、一般の刑事事件とは異なり、少年の性質等を考慮した法律となっています。
少年法の目的は1条に「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする」と定められています。
(付添人の活動について)
付添人は、少年法の目的に従って、付添人活動をしていくことになります。
具体的には、
①少年の権利擁護と適正手続の確保、
②適切な事実認定の獲得
を目指して付添人活動を行います。
まず、①についてですが、
少年は一般的に防御能力が低く、法的・社会的知識に乏しいので、法律の専門家である弁護士が手続に関与し、少年に付き添い、少年の権利擁護のため付添人活動を行います。
少年は、法的知識の乏しさから捜査機関の言っていることを十分に理解しないまま供述調書に署名押印してしまい、後に、否認したとしても、捜査機関の圧力によって供述調書の修正等を求めることができないことも多々あります。
また、少年の性格から、事件を起こして投げやりになっている少年もいるので、付添人は、少年の話を聞き、少年の味方であるということを理解してもらうため、できる限り接見に行くことに努めます。
次に②についてですが、
少年事件は、すべての事件を家庭裁判所に送致して(全件送致主義、同法41・42条)、家庭裁判所の審理の対象とすることが手続上の特徴です。
家庭裁判所への全件送致である以上、裁判所で適切な事実認定を獲得するために付添人活動(被害者との示談や、保護者、学校関係者との環境調整)を行います。
(非行事実と要保護性)
少年事件の審判を行う家庭裁判所の審判対象は、「非行事実と要保護性」です。
「非行事実」とは、一般刑事事件における公訴事実で、少年がどのような罪を犯したのか否かを家庭裁判所が審判します。
「要保護性」とは、当該少年の資質や環境等に照らして将来再度非行を犯す可能性があるか(再非行の危険性)という点の判断です。
付添人は、非行事実について争いがある場合は、非行事実に関する証拠収集を行う必要がありますし、争いがない場合は、要保護性の有無を決定するために、少年の学校や家庭での状況、少年自体の性質等を、保護者、学校関係者等と協力していく必要があります。
次回は、さらに具体例を挙げながら少年事件の手続の流れと付添人活動について説明します。
【参照:新少年事件実務ガイド第2版 第二東京弁護士会 こどもの権利に関する委員会】
(弁護士 岡村政和)