(法律コラム:家事)電話会議システムによる調停手続期日

配偶者と離婚したい。

配偶者に婚姻費用を請求したい。

でも、今は配偶者と別居していて、遠いところに住んでいる。

配偶者の住んでいる土地の管轄裁判所まで、出頭することができない――

 

家事調停を申し立てる場合の管轄は、

相手方と特に合意がない限り、

相手方の居住地を管轄する家庭裁判所と定められています。

そのため以前は、

配偶者と離婚したくても、遠方の家裁まで出頭する負担が重いために、

調停申立て自体をためらってしまうという上記のようなケースも多かったと思います。

 

平成25年1月1日、家事事件手続法という法律が施行され、

「当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるとき」には、

裁判所が許可すれば、電話会議やテレビ会議システムの方法を用いて、

調停手続期日を行うことができるようになりました(家事事件手続法54条1項、258条)。

この方法によって、離婚又は離縁調停を「成立」させることはできませんが(同268条3項)、

成立以外の場合であれば、電話会議やテレビ会議システムの方法で期日を行うことができます。

つまり、遠い家庭裁判所まで毎回出頭しなくても、調停をすることができるということなのです。

 

調停はあくまで話し合いの場なので、

電話会議やテレビ会議システムの方法は必ずしも認められる訳ではなく、

家庭裁判所が判断することになります。

ですので、これらの方法を使いたい場合には、

なぜ遠方の裁判所に出頭することができないのか、

なぜ電話やテレビ会議でなければいけないのか、ということを具体的に説明して、

裁判所に許可を求めたほうがよいでしょう。

具体的事情とは、例えば、交通費の負担が過大であるとか、

出頭に要する時間帯に、お子さんを見る人がいないなどの事案で、

電話会議システムの方法によることが認められています。

但し、各裁判所の判断であるため、申立てをする裁判所によって

かなり対応が違うこともあるようです。

 

管轄がネックになって、調停申立てを諦めることがないよう

上記のような場合はぜひ一度弁護士にご相談いただけたらと思います。

 

(弁護士 日野田 彰子)