(法律コラム:労働)10月1日から改定労働者派遣法が施行されました
10月1日から、改定労働者派遣法が施行されました。
1、今回の改定は、1999年改悪を超える大改悪です。
派遣法は、1985年に「直接雇用の原則」に対する例外として成立しました。
しかし、当初「例外」であった派遣という働き方が、その後の派遣法の相次ぐ改悪で、どんどん拡大していきました。
とりわけ、1999年改悪では、派遣の対象業務を、それまで専門業務だけに限定していたものから、一部の禁止業務だけを除く「原則自由」とされてしまいました。
今回の改定は、その99年の改悪を超える大改悪と言えるもので、派遣労働者の働き方はまずまう厳しくなっていくものと思われます。
2、企業は期間に制限なく派遣労働者を雇用できる。
これまでは、秘書や通訳など26の専門業務以外の一般業務では、企業が派遣労働者を受け入れることのできる期間は、最長3年と定められていました。
しかし、改定後は、企業が手順さえ踏めば、同じ職場で3年を超えて派遣労働者を雇用できるようになります。
その具体的手順は、企業が労働組合などから意見を聞き、派遣で働く人を3年ごとに入れ替えれば良いのです。
派遣として働く労働者個人の側からすると、同じ職場で働ける期間は、原則、最長3年しかありません。
3、派遣元会社の雇用安定措置義務
同じ職場で3年を迎えた労働者を対象にした、派遣元会社の義務です。
①派遣先企業へ直接雇用を依頼する
②新たに別の派遣先を紹介
③派遣元会社で無期雇用する
など。
しかし、派遣先企業が直接雇用する可能性は低く、また、派遣元で無期雇用されても、派遣先と派遣元との間の派遣契約そのものが切られた場合、賃金や雇用が保障されるかは別問題となります。
従って、これらの措置には、ほとんど実効性がないもと言わざるを得ません。
4、教育訓練
派遣元会社には、計画的な教育訓練を実施する義務もできました。
教育訓練は勤務時間として扱われますから、有給で、しかも無料で提供する必要があります。
しかし、どこまで質の高い教育訓練が受けられるか、まったく不明です。
(弁護士村松いづみ)