(法律コラム:労働)残業代、及び付加金についての最高裁判決

 

労働基準法は、労働時間を原則として1日8時間、1週40時間と定めています(32条)。

これを超えて働かせる場合には、労使間の時間外労働に関する規定(三六協定)が必要です(労基法36条)。

 

8時間を超えて働かせた場合には、使用者は労働者に対し、時給の25%の割増賃金(残業手当)を支払わなければなりません。

 

また、大企業は、2010年4月から、月60時間を超えた残業については、50%の割増賃金を支払わなければならないことになっています。

この月60時間以上で50%の残業代は、当面、中小企業への適用は猶予されていますが、現在、政府では、2016年4月をめどに中小企業への適用も検討されています。

 

なお、未払いの残業代を求めて裁判所に提訴した場合、裁判所は、労働者の請求により、使用者に対し、未払金額と同額の付加金の支払を命じることができます(労基法114条)。

ただし、第一審の地裁が付加金の支払を命じても、第二審の高裁の審理が終わるまでに、使用者が未払い残業代を支払った場合には、裁判所は付加金の支払を命じることはできません(最高裁平成26年3月6日判決)。

 

なお、上記の最高裁判例はつい最近言い渡されたものですが、使用者が裁判中に支払ってしまえば、付加金を払わなくてよいことになり、付加金の制裁的意味を没却するもので、承伏しがたいものがありますね。

 

(弁護士村松いづみ)