(法律コラム:労働)マタハラ、使用者への指導強化へ(厚生労働省) 

 

妊娠・出産を理由に退職や雇い止めを迫られるなどの不利益な取り扱いを受けるマタニティハラスメント。

 

厚生労働省は、3月30日、育児休業の終了などから原則1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合には、直ちに違法と判断することを決め、指導強化に乗り出しました(2015年3月31日付け京都新聞朝刊)。

 

厚労省が、このような対応を取ったのは、昨年10月に最高裁が「妊娠による降格は男女雇用機会均等法が原則禁止しており、本人の同意がなければ違法」と初めて判断したことが大きく影響しています。
この最高裁判決を受けて、厚労省は、男女雇用機会均等法の解釈をめぐる新たな考え方をまとめ、全国の労働局に通知しました。

 

新たな通知の内容は、
妊娠、出産、育休を1つの流れととらえ、妊娠期間中に加え、育休や短時間勤務が終わってから1年以内に不利益な取り扱いを受ければ違法とみなす。
退職などを迫った企業が「業務上の必要性」といった特段の事情があると主張した場合には、経営に関するデータなど資料の提出を求める。
さらに、労働者本人の「能力不足」を主張した場合には、妊娠などの報告前に問題点を指摘し、適切な指導をしていたかどうかを確認する。
などです。

 

厚労省は、今後、労働現場でマタハラが起こっていないか、厳しくチェックしてほしいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)