(法律コラム:交通事故)後遺障害非該当から後遺障害7級へ(中心性脊髄損傷の事案)

交通事故で傷害を負い、後遺障害を負った場合、

被害者は加害者に対して

後遺障害を負ったことによる損害の支払いを求めることができます。

 

このとき、実務上必ず行われるのが、

自賠責損害調査事務所による後遺障害の認定手続です。

被害者の方に残った後遺障害がどのようなものか、

後遺障害等級何級に該当するのかが認定されます。

 

ところが、この自賠責の等級認定において、

等級される認定が低かったり、

場合によっては非該当などと判断されてしまうケースもあります。

その場合は、加害者側との交渉は当然難航しますので、

訴訟を提起して裁判所に後遺障害の有無や等級について、

判断してもらう必要が出てきます。

 

私が最近担当した事案では、

交通事故後、片腕と片足が麻痺に至ったという事案で、

主治医の診断では「中心性脊髄損傷」とされていたにもかかわらず、

自賠責で後遺障害非該当とされてしまった事案がありました。

 

中心性脊髄損傷とは、

その名のとおり衝撃によって脊髄の中心部が損傷されることをいい、

MRI画像上の異常所見が現れにくいこともあって、

交通事故の事案では度々後遺障害該当性が争いになることがあります。

上記事案でも、MRI画像の所見について、

主治医の診断と自賠責の判断が正面から対立し、

訴訟に持ち込まれたのでした。

 

結論として、上記事案では、

カルテやMRI画像等の医証を十分に検討し、

事故後の症状が中心性脊髄損傷との診断と合致し

主治医の診断が信頼できるものであることを詳細に主張立証した結果、

判決では主治医の診断が支持されました。

片足の麻痺については、既往症の関係で非該当とされたものの、

片腕の麻痺について後遺障害7級相当との認定を得ることができました。

依頼者の方にとっては、

後遺障害非該当であれば、損害賠償額0円のところを、

1000万円を超える損害賠償を獲得できることになりました。

 

このように、自賠責の等級認定は、

必ずしも裁判所の判断と一致するものではないのです。

等級認定が低すぎる、不当だという場合は、

あきらめず争ってみることも大切ですね。

 

(弁護士 日野田 彰子)