(法律コラム:その他)調停委員って、どんな人?

 

家庭裁判所や簡易裁判所における調停では、「調停委員」が主になって調停手続きを進めていきます。

 

時々、依頼者や相談者の方から、「調停委員って、どんな人がなるんですか?」などと尋ねられることがありますので、ご説明しましょう。

 

調停委員は、個人や団体から推薦された民間人の中から、裁判所が選任します。

年齢は、40歳以上70歳未満とされています。

職業は、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、裁判所の元職員、学者、僧侶、企業の社長、主婦など多彩です。

 

調停委員は、1事件につき2人が担当し、裁判官と3人で調停委員会を構成します。

家事調停の場合の調停委員は、必ず男女1名ずつとなっています。

民事調停の場合には、事件の内容によって、調停委員2人の内、1人は、専門家が担当することもあります。

例えば、家賃値上げの調停であれば、不動産鑑定士が担当したり、建築紛争の調停であれば、建築士が担当したりしているようです。

 

調停委員は、研修は受けておられますが、必ずしも法律の専門家ではありませんので、私たち弁護士が当事者の代理人として関わっていると、時々、法律の内容をご存知なかったたり、判例の到達点とは異なることを言われたりすることもあります。

だからと言って、弁護士の調停委員が良いかというと、必ずしもそういうわけではなく、弁護士でも人によっては、当事者を説得することなく、すぐに「訴訟したら」と言う弁護士調停委員もいて、何のために調停手続きを選んだのかと思ってしまう人もいます。

要は、当事者の話をじっくり聞いて、事件の筋に従って、当事者を説得できる調停委員が信頼される人と言えるでしょう。

その意味では、「アタリ」「ハズレ」があります。

 

中には(特に、当事者の代理人として弁護士がついていない場合)、当事者に対し、暴言と思われるような言葉を言う調停委員もいるようです。

そんな時、相談者の方からは「裁判所に言えば、調停委員は変えてもらえますか?」と尋ねられることがあります。

裁判所に文句を言っても、原則として、調停委員が変わることはありませんが、発言内容も含め、きちんと書面で裁判所に提出すれば、調停委員の態度も変わることが多いのではないでしょうか。

 

(弁護士村松いづみ)