(法律コラム:その他)後見制度支援信託とは

 

民法の成年後見制度に関して、「後見制度支援信託」という新しい手続きが出来たことはご存知でしょうか?

 

親族後見人などによる横領等の不正事例があとを絶たないため、2012(平成24)年2月から、最高裁判所が開始しました。

 

この制度は、認知症などで判断能力が十分でない高齢者や障害者らの生活を支援し財産を守る「成年後見制度」と、信託銀行との信託契約を組み合わせたものです。

 

被後見人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要な金銭等を親族後見人が管理し、通常は使用しない金銭を信託銀行に信託するという手続きです。

この制度が適用になると、信託財産を取り戻したり、信託契約を解約したりするには、あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。

 

また、この制度はすべての成年後見事件について利用されるわけでなく(保佐・補助・任意後見については最初から除外)、家裁が後見制度支援信託の利用を検討すべきと判断した場合、弁護士や司法書士などの専門職後見人を親族後見人と合わせて選任し、専門職後見人がこの制度の利用の適否について検討し、適していると判断した場合には、信託契約を締結した上で、親族後見人に引き継ぐことになります。

 

なお、この制度は、実は、開始される前から、弁護士・司法書士・社会福祉士らの団体などから様々な批判の意見が上がっていました。

問題点については、別の機会やコーナーで触れたいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)