(法律コラム:その他)弁護士のセカンド・オピニオン

 

既に、他の弁護士に相談あるいは依頼されている事件についての法律相談を受けることがあります。

 

まだ正式に依頼している弁護士がいるわけでない場合、何人かの弁護士の意見を聞きたいと考えることは別に不思議ではありません。
とりわけ、ネット上では、様々な情報が氾濫し、混乱あるいは思いこみをすることもあるでしょう。
また、弁護士の経験や専門・得意分野、弁護士との相性などもありますから。

 

以前、私が受けた離婚事件で、当初、その依頼者の方は「別の弁護士に相談したら、私のケースは、離婚原因にはあたらない、と言われました」と仰って、相談に来られました。
それで話を伺うと、私自身は「離婚原因はある」と判断しましたので、受任し、最終的に調停で離婚が成立しました。

 
 

次に、既に事件を別の弁護士に依頼し、訴訟などが始まっている途中で、法律相談に来られる場合もあります。

 

現に進行中の事件について法律相談をされるという場合には、事件がなかなか自分の思うように進行していない場合が多いものです。
でも、このような場合、事件の見通しなどについては、裁判に提出されている書面や証拠などの記録を精査したり、裁判官が期日で何を言っているかなどを知らないと、なかなかコメントを申し上げることは難しい場合が多いです。

 

また、相談者の方が不満を感じられているのは、依頼している弁護士とのコミュニケーションが十分取れていない場合も少なくありません。
そのような場合には、「私ならこうしている」などと説明し、率直にご自分の弁護士に不明点や疑問点を聞いてみることをお勧めしています。
そして、それでも、ラチがあかない時には、弁護士を変えることもありかなと思います。

 

先日、交通事故の被害者で、既に他の弁護士に依頼されている方からの相談を受けました。
弁護士特約付きの保険に加入していたので、その保険加入先から紹介を受けた弁護士に依頼をしているとのことでした。
ただ、被害者も加害者も京都市在住なのに、その弁護士は、他府県の弁護士で、しかも、依頼してから時間が経って事件も進んでいるのに、1度も直接会ったこともなく、打ち合わせはすべて電話ということでした。
1度も本人と会わずに事件を進めるなど、私にはとうてい信じられません。

 

その相談者の方は、私に、交通事故の基礎的なことも質問され、こんなことも依頼している弁護士に聞けないんだなあと思いました。

 

弁護士と依頼者との信頼関係は、どのような事件でも大切なものとあらためて感じています。

 

(弁護士村松いづみ)