(法律コラム:その他)カルテの開示

 

「カルテの開示」については、2012年7月6日付け当コラムに書いたことがありました。

 

ところが、厚生労働省の検討会が、2014年12月から2015年1月にかけて、過去半年以内に入院や通院の経験がある男女5000人に「医療機関のカルテ開示義務」を知っているかどうか聞いた結果、4割を超える人が「知らない」と答えたそうです。また、実際に開示を求めたことがあるとした人は1割にも満たなかったそうです(2015年7月21日付け京都新聞朝刊)。

 

厚生労働省が患者の求めに応じた開示義務を医療現場向けの指針に盛り込んでから10年以上がたちました。

しかし、患者が自らの症状や治療方針、経過を理解するための「カルテの開示」制度が十分に周知されていない現状が浮き彫りになりました。

 

開示義務が適用されるのは、5000人以上のカルテがある医療機関ですが、厚生労働省は、小規模であっても、開示請求があれば、応じるよう求めています。

 

開示請求をするのに、医療機関に理由を告げる必要もありません。

 

患者が開示義務を知らない人が4割もいるとのことですが、中には、医療機関の職員も「知らない」人がおり、「弁護士の請求書面を持って来てください」「弁護士会照会で請求してください」などの対応をする所もあるようです。

そんな時には、「このコラムをプリントアウトして持参し、職員に見せてください」とアドバイスをしています。

 

また、カルテの保存期間の義務は、5年です(医師法24条)が、病院によっては、5年過ぎていても残している所もありますので、5年過ぎていても請求してみましょう。

最近関わった事件で、平成20年に死亡された患者さんのケースで、同じ病院に平成9年から受診されており、カルテも残っており、平成9年の初診時のカルテを取り寄せることができました。

 

(弁護士村松いづみ)