(法律コラム:その他)インターネット上の書き込みを削除したい③
最近立て続けに、
インターネット上の書き込み削除について似たような相談を受けましたので、
今回はその話題について書きたいと思います。
それは何かというと、
「過去の犯罪報道」
についての削除依頼です。
例えば、過去に若気のいたりで軽微な犯罪を犯してしまった。
ところが、その犯罪で逮捕されたことが、
思ったより大きく報道されてしまい、
今でもインターネットで実名検索をすると
逮捕報道の記事がヒットしてしまう。
このままではまともな仕事に就こうとしても差し支える。
どうしたらいいでしょうか―――
といったケースが考えられます。
この点、犯罪報道については、一定程度の公益性がありますし、
報道機関には報道の自由もありますので、
それらとの利益調整が必要になります。
例えば、犯した犯罪があまりにも重大(殺人等)であれば、
犯罪報道の公益性が高く、
削除請求は難しいということになるでしょう。
他方、非常に軽微な犯罪で、
不起訴になっていたり、
起訴されていても執行猶予になっていたりするケースで、
長年にわたってインターネット上で実名がさらされることは
当事者の利益が過度に害されると考えられます。
それでは、犯罪報道の公益性が低下するのは
何年くらいなのでしょうか。
これについては一定の基準はありませんが、
たとえば刑事事件の公訴時効がひとつの参考になると言われています。
一般的には事件から3~5年程度経過していれば、
削除仮処分等ができないか検討の余地があるといえるでしょう。
他方、あまりにも事件直後である場合には、
削除は難しということになるでしょう。
ちなみに、最近受けた相談の中に、
犯罪事件の加害者の親族について、
実名を伴う誹謗中傷を書き込まれたというケースがありました。
先ほど述べたのは、あくまで加害者本人についてのケースであり、
加害者の親族であれば全く違う結論になります。
つまり、加害者の親族は、加害者本人とは関係がありませんので、
逮捕直後であろうと、
加害者の親族に対する誹謗中傷は許されず、
ただちに削除請求が許されるということになると考えられます。
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(弁護士 日野田 彰子)