(法律コラム・離婚)養育費が払われない時~履行勧告・履行命令

 

家庭裁判所の調停や審判、あるいは離婚訴訟の判決の中で養育費の金額が決まっても、義務者がそれに従わず、支払わない場合があります。

 

もちろん強制執行をすることもできますが、それは最後の手段として、まずは、相手(義務者)に対し支払いを促したいと考える場合もあります。

しかし、権利者から督促しても、義務者に感情的なしこりが残っている時など素直に応じない場合もあるようです。

 

そこで、家庭裁判所から支払いを促してもらう制度があります。

 

1つは、履行勧告という方法です。

これは、権利者が申し出れば、当該裁判をした家庭裁判所が履行状況を調査し、義務者に対し、その履行を勧告してくれます。

 

2つ目は、履行命令という方法です。

家裁は、権利者の申し立てにより、義務者に対し、相当な期限を定めて義務の履行をすべきことを命じるものです。義務者が正当な理由なくその命令に従わないときには過料の制裁もあります。

 

養育費の取り決めの方法について、「家裁の調停の方がいいですか?公正証書の方がいいですか?」という相談を受けることがあります。

調停調書でも公正証書でも法的な効力はどちらも同じです。

元夫婦の間で金額の合意さえできていれば、公正証書の方が時間的には早く作成してもらえますが、上記のような履行勧告や履行命令を利用できるということを考えれば、家裁で取り決めた方が良いと思います。

 

(弁護士村松いづみ)