(法律コラム・離婚)年金分割の按分割合が0.3となった事例

 

離婚時の年金分割における按分割合について、家庭裁判所は、一切の事情を考慮して決めるとされています。

ただ、婚姻期間中の保険料等の納付は、夫婦互いの協力により行ったと評価することができ、夫婦の寄与の程度は、特別の事情がない限り、互いに同等であると考えるのが一般的な見解です。

そして、これまでの主な裁判例は、夫婦の間にある程度の別居期間があっても、「特別事情に当たるとは認められない」と、按分割合は0.5と定めてきました。

 

これに対し、東京家裁平成25年10月1日付け審判は、元夫から元妻に対して按分割合を0.5とする年金分割が請求された事案について、その按分割合を0.3と判断しました(確定)。

 

その理由としては、①婚姻期間中、元妻が元夫の多額の負債等により家計に苦労したことや、②元夫が自分の借入金の大部分を退職金で返済したこと、などを考慮して、按分割合を30%と認めるのが相当であるとしました。

 

0.5と判断する裁判例が多い中で、0.3と判断した珍しい審判例です。

 

(弁護士村松いづみ)