(法律コラム・離婚)別居期間について
民法では裁判上の離婚原因が以下の5項目にわたって定められています(770条1項)。
①不貞行為
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
①から④にあたる事実、あるいはそれに匹敵する事実があれば⑤によって、裁判で離婚が認められるでしょう。
しかし、そのような決定的な事情がない場合(たとえば、性格の不一致や価値観などの考え方の相違など)には、離婚理由のほかに、別居期間の長さも考慮されます。
裁判所の大勢は「破綻主義」の方向にありますから、別居期間が長くなればなるほど、「婚姻関係が既に破綻しており回復の見込みがない」と判断されやすくなります。
では、どの程度別居すれば、「婚姻関係が破綻している」と認められるのでしょうか。
裁判所は、明確な基準を示しておらず、離婚理由、婚姻期間、子どもの有無や年齢なども含めて判断しています。
平成8年に法制審議会が民法改正案を答申した時に「5年以上の別居」という提案をしたことから、相談者の中には「5年別居しないと離婚ができない」と思っている人もおられるようですが、5年以内でも離婚を認めた判決は少なくありません。
ちなみに、2012年11月9日、ワイドショーなどの注目をあびた高島政伸・美元夫妻の判決が東京家裁で言い渡されました。夫婦の別居期間は2年3ヶ月でしたが、夫高島政伸からの離婚請求は認められました。同居期間が1年11ヶ月だったことや子どもがいないことなどが考慮されたようです。
「別居期間が短いから離婚できないんじゃないか」とあきらめないで、離婚調停などから順に始めていけばよいと思います。
(弁護士村松いづみ)