(法律コラム・その他)父と子との親子関係について

 

離婚した芸能人元夫婦の子どもと父親とのDNA鑑定結果が話題となっています。

16年間育てた子どもとのDNA鑑定を父親が行ったところ、親子の確率は「0%」だったそうです。

最近のDNA鑑定の精度はかなり高いと言われていますので、このような結果を得た場合、父親は子どもとの親子関係を否定することはできないのでしょうか?

 

民法772条は、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」「婚姻の成立の日から200日を経過した後に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定しています。

更に、民法777条は、「嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない」と規定しています。

これは、子どもの法的な地位を早期に安定させるという立法趣旨です。

よって、上記のケースでは子どもが生まれてから既に16年以上が経過しているようですから、嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認訴訟などによって父子関係を否定することはできません。

 

ただ、例外として親子関係不存在確認訴訟で争うことができる場合があります。

例えば、妻が夫の子を懐胎すべき時期に既に夫婦関係が事実上の離婚状態で夫婦の実体が失われていた場合、遠隔地に居住して夫婦関係に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合です(最高裁平成12年3月14日判決)。

 

弁護士 村松いづみ