(最新法令・労働)「過労死等防止対策推進法」が成立しました
6月20日、「過労死等防止対策推進法」が成立しました。
長年、社会問題になってきた過労死や過労自殺を防ぐことを理念とした初の法律です。
この法律は、規制や罰則はありませんが、働き過ぎが原因で亡くなくなることを防ぐことが国の責務であることを明記しました。
そして、①過労死の実態の調査研究、②教育、広報など国民の啓発、③産業医の研修など相談体制の整備、④民間団体への支援、を国の取るべき対策とし、また自治体や事業主には対策に協力することを努力義務としています。
「過労死」という言葉が、残念ながら世界にも通用する言葉となってもう数十年になります。
厚生労働省の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を見ると、労災補償の支給決定件数は、「過労死」など脳・心臓疾患は2年連続で増加、精神障害は過去最高で、このうち自殺(未遂を含む)に係るものも増加し続けています。
わが国における長時間労働や過労死・過労自殺の問題は一層深刻な状態になっています。
ところが、政府の産業力規制会議や規制改革会議では、成果に応じて報酬を払おうとする、残業代を払わない新たな労働時間法制が議論されています。
これは、過労死等の防止に逆行し、それを促進する結果になるものであることは明らかです。
政府は、このような労働時間規制の緩和の議論をやめ、長時間労働を規制し過労死等をなくすための施策に早急に取り組むべきです。
(弁護士村松いづみ)