(最新判例:離婚)離婚後の親権について、面会交流重視の原審を覆す(東京高裁)

 

テレビのニュースでも報道されるような、離婚後の親権に関する判決が、2017年1月26日、東京高裁で言い渡されました。

 

両親が離婚する際、親権をどちらにするか争われるケースはたくさんありますが、それが、テレビや新聞で取り上げられることは、まずありません。

では、なぜ、上記事件が、テレビで報道されるほど注目されたのでしょうか。

 

それは、この事件の原審である千葉家裁松戸支部が、2016年3月、離れて暮らす親と子どもとの面会交流について、子どもと暮らす母親側が「月1回」と主張したのに対し、父親側が「年間100日以上、子どもと会わせるようにする」と提案したことを理由に、父親の方を親権者としてふさわしいと異例な判断をしたからでした。

 

その控訴審である東京高裁は、親権者を決める際には、まず「これまでの養育状況や、子の現状と意思を総合的に考慮すべき」と指摘し、面会交流について「離婚後も円満な親子関係を形成する有効な手段だ」と認めつつ、「父母の面会交流の意向だけで親権者を決めるべきではなく、他の事情より重要だとも言えない」としました。

 

その上で、「年100日」とする父親の提案では「長女の体の負担のほか、学校や友達との交流にも支障が生じる」とし、「月1回程度」という母親の提案は「不十分ではない」と判示しましました。

 

そして、長女の現在の養育環境に問題はなく、長女の利益を最も優先して考え、母親を親権者と決定しました。

 

(弁護士村松いづみ)