(最新判例:離婚)離婚後の子どもの引き渡し、民事の仮処分も利用可能(最高裁)

 

離婚後、親権を持つ親が、離婚して子どもを養育している相手に対し、子どもの引き渡しを求める場合の手続き方法などについて、最高裁判所が判断を下しました(2017年12月7日NHKニュース)。

 

これは、離婚後、親権者となった父親が、子どもを養育している非親権者の母親に対し、子どもの引き渡しを求めたという事案です。

 

親同士の間で子どもの引き渡しを求める手続きとしては、

①家庭裁判所における子どもの監護者指定と子どもの引き渡しを求める審判申立て等

②地方裁判所における人身保護請求

が、これまで一般的と言われていましたが、本件では、父親は、地方裁判所における民事の仮処分という手続きで子どもの引き渡しを求めました。

 

一審も二審も、子どもの引き渡しは、家庭裁判所で扱うべき事案で、民事訴訟の保全手続きで求めることはできないとして、父親の申立を認めませんでしたが、最高裁は、民事裁判の仮処分でも引き渡しを求めることはできると判断しました。

 

しかし、手続きとしては利用できるけれど、本件の事案では、「子どもの利益を害する親権の行使は権利の濫用として許されない」と判断し、父親の抗告を認めませんでした。

 

(弁護士村松いづみ)