(最新判例:破産・債務)調停成立していても過払い金請求可能(最高裁)

 

過払い金をめぐる裁判で、最高裁は、また借り手側に有利な判断を下しました。

 

裁判所で調停が成立した後も、消費者金融に対し、払いすぎた利息を返すよう求めることができるかどうかが争われた裁判で、本年9月15日、最高裁は「調停が成立していても、過払い金の請求は可能」という初めての判断を下しました。

 

本件では、借り主は、業者との間で、継続的な金の貸借についての基本契約を結び、昭和62年9月から平成14年4月までの間、何回も借り入れしていました。
平成14年6月、借り主とその業者との間で、平成10年3月締結の金銭消費貸借契約にもとづいて、借り主が18回にわたって分割して残債務を返済していくという調停が成立しました。
調停条項の中には、「本件に関し、本件調停の調停条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」という清算条項も入っていました。

 

ところが、借り主と業者との間の全体の借り受けと返済を利息制限法の制限利率に引き直して計算すると、調停が成立した時点で、200万円以上の過払い金が発生していたという事案でした。

 

最高裁は、上記調停における調停条項や清算条項を含む調停そのものが、公序良俗に反するものということはできないと判示した上で、業者との取引が終了した平成14年6月までに発生した過払い金返還請求権は、上記調停の清算条項等によって消滅したとはいえないとして、200万円以上の過払い金の返還などを認めました。

 

(弁護士村松いづみ)