(最新判例:労災)飲食店店長の過労自殺。過失相殺なし(東京地裁)
飲食店チェーンの店長だった男性(当時24歳)が自殺したのは、過酷な長時間労働と上司によるパワーハラスメントが原因だとして、会社などに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は、2014年11月4日、約5790万円の支払を命じる判決を下しました(2014年11月5日付け京都新聞朝刊)。
判決は、「数ヶ月に1日程度の休みしかなく、長時間労働とパワハラによる強い心理的負荷で精神障害を発症させた」と判断し、「業績向上を目指すあまり適切な労務管理ができる態勢を取っていなかった」と会社の姿勢を批判しました。
自殺前の7ヶ月間の残業時間は月平均190時間を超えており、社長個人についても「長時間労働などを簡単に認識できたのに何らの有効な対策を取らなかった」と賠償責任を認めました。
更に、判決は、自殺した本人に過失はないとして、賠償額の過失相殺はしませんでした。
これまでの裁判の中には、既往症がうつ病発症に影響している、あるいは精神科医に受診しなかった、などを理由に過失相殺による減額をしたものもありました。
当コラム(最新判例:労災)でも紹介しましたとおり、2014年3月24日付け最高裁判決は「使用者は、必ずしも労働者から(通院や病名など)の申告がなくても、その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っている」「(身体の弱さも)労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れない」などと判断し、会社へ申告しなかったことや身体の弱さを理由とした過失相殺は認めませんでした。
労働者の健康管理を行うのは使用者の義務です。
今回の判決も、安易に労働者の過失を認めないという司法の流れに沿った判断と言えるでしょう。
(弁護士村松いづみ)





