(最新判例:労災)公務災害の遺族補償年金 受給資格の男女差 違憲(大阪地裁)

 

また男女差別事案で憲法14条に反し違憲という判決が下りました。

2013年11月25日、大阪地裁は、地方公務員災害補償法における遺族補償年金の受給資格の男女差は「不合理な差別的取扱いで、違憲、無効」と判断しました。

 

1967年施行の地方公務員災害補償法では、夫が公務災害で死亡した場合、妻には年齢に関係なく、平均給与額の最大245日分の遺族補償年金を毎年支給すると規定しています。

これに対し、妻が死亡した場合の夫の年金受給資格は「60歳以上」と限定。現在は特例で、夫も「55歳以上」であれば年金受給が認められていますが、「55歳未満」の場合は一時金として平均給与額の1千日分などしか支給されません。

 

この規定は、「夫が働き、妻が家庭を守る」という家族モデルが支配的だった1967(昭和42)年に制定されました。

そのため、共働き世帯が一般的となり、女性の正規雇用率が45.5%にものぼる今日の時代の要請には全く合致していないものでした。

その意味では、当然の判決と言えるでしょう。

 

国は、控訴せず、速やかに改正に着手すべきです。

同様の制限は、民間労働者が対象の労災保険や遺族厚生年金にもあり、それらの改正も同時に求められます。

 

(弁護士村松いづみ)