(最新判例:労働)有期雇用と正社員 「手当」の格差、一部違法(大阪高裁)

 

最近、「同一労働同一賃金」の議論にも関連する判決が目立ちます。

 

運輸会社に有期契約(雇用期間の定めがある契約)で雇用され、滋賀県内の支店で運転手として勤務する労働者が、正社員との賃金体系の格差は違法として是正を求めた訴訟の控訴審判決で、2016年7月26日、大阪高裁は、正社員との間に格差のある手当の一部に当たる約77万円の支払を命じました(2016年7月27日付け京都新聞朝刊)。

 

労働契約法は、有期労働契約者と正社員との労働条件の違いを「業務の内容、責任の程度、・・・などの事情を考慮し、不合理であってはならない」と定めています(20条)。

 

判決は、労働条件が同一かどうかに関し、異動や出向がある正社員の地位は、「社の中核を担う人材として育成される立場にあり、有期契約の社員とは異なる。」と判断しました。

その上で、正社員だけに支給される7種類の手当のうち、「通勤手当」「無事故手当」「給食手当」など4種類は、雇用期間の定めの有無にかかわらず支払うべきだと指摘しました。

 

(弁護士村松いづみ)