(最新判例)最高裁初判断、PTSDも傷害罪
東京と青森で4人の女性を監禁し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたとして監禁致傷などの罪で起訴されていた事件について、最高裁は、2012年7月25日までに、「PTSDも傷害に当たる」との初判断を示しました(2012年7月26日付け京都新聞朝刊)。
PTSDとは、事件や事故、災害といった生命、身体への危険を伴う体験がきっかけとなり、時間が経過しても、パニックや不眠、過剰な警戒感などの症状が出る精神的な障害です。ベトナム戦争から帰還した兵士の行動がアメリカで社会問題化した際に原因として議論され、日本でも1995年の阪神大震災や地下鉄サリン事件などを機に注目されるようになりました。
最高裁は、暴行や脅迫などで生じさせた精神的機能の障害も「刑法上の傷害と解釈するのが相当」として、たとえ外形的なキズがなくても刑法上の「傷害」にあたると判断しました。
(弁護士 村松いづみ)