(最新判例:刑事)勾留場所について代用監獄を認めず、拘置所に移送(大阪地裁堺支部決定)

 

詐欺事件で昨年12月3日に逮捕された男性の勾留場所について、堺簡易裁判所は、同月5日、警察の留置場(代用監獄)に決定しましたが、その後、弁護人が移送を求めたところ、大阪地方裁判所堺支部は、同月10日、大阪拘置所に変える決定を出していたことが4月2日わかりました(2015年4月2日付け京都新聞夕刊)。

 

警察の留置場は警察が、拘置所は法務省が所管する収容施設です。
留置場は、警察が24時間管理し、捜査と留置が一体となっていることから、自白が強要されやすく、日本弁護士連合会も「冤罪の温床」と批判してきました。
しかし、現実には、捜査中の勾留の大半は、警察の留置場が勾留場所にされています。

 

本件では、弁護人が、警察の取り調べで「死んだら反省したと思ってやる」「うじ虫みたいにうねうねするな」などの暴言があったとして、検察官に可視化の実施を申し入れ、裁判所には「拘置所の方が違法捜査を抑止できる」と移送を求めていました。

 

大阪地裁堺支部は、警察の暴言の事実は認めませんでしたが、「弁護人が問題を主張する警察署で拘束し続ける捜査上の必要性はない。申し入れにもかかわらず、取り調べの録音・録画も全くされていない」と指摘して、簡裁決定を取り消しました。

 

私も、過去に、少年事件でしたが、同じような弁護活動をしたことがありました。

 

少年が、窃盗事件で逮捕され、少年鑑別所に収容されていましたが、余罪が発覚し、再逮捕され、検察官は、勾留場所として警察の留置場を求めてきました。
そこで私は、勾留場所は、引き続き少年鑑別所とすべきとして、上申書を書いて裁判所に提出しました。
その結果、勾留場所が、少年鑑別所のままとなりました。

 

弁護士としては、安易に実務に妥協せず、争う時にはきちんと争うことが大切ですね。

 

(弁護士村松いづみ)