(最新判例:刑事)ダンスクラブの風営法違反に無罪判決(大阪地裁)
本日、大阪地裁は、客にダンスをさせる「クラブ」を無許可で営業したとして、風営法違反の罪に問われたクラブ「NOON(ヌーン)」の元経営者に対し、無罪(求刑:懲役6月、罰金110万円)を言い渡しました。
風営法の許可がないクラブに対する摘発が相次ぐ中、許可不要とした判決は初めてです。
2012年4月4日、「NOON」で約20人の客が踊る中、それを上回る大阪府警の捜査員がなだれ込み、経営者ら8人を風営法違反(無許可営業)容疑で逮捕しました。
風営法では、客にダンスをさせ、飲食物を提供する店は公安委員会の営業許可が必要です。
許可を取っても、営業時間は午前0~1時までに制限され、深夜に営業はできません。
そのため、無許可のままの店が多く存在しました。
判決は、風営法が規制する「ダンス営業」とは、「性風俗や青少年の健全育成に実質的に悪影響を及ぼすかどうか」との基準を示しました。
そして「酒を提供し、店内が暗くても、わいせつな行為を促すような享楽的雰囲気はなかった」として風俗営業には当たらないと判示しました。
ただ、風営法の規制そのものが憲法違反であるという主張に対しては、「公共の利益にかない、憲法違反ではない」と判断しました。
この事件をきっかけに、2012年5月29日、全国において風営法改正のための署名運動が開始され、坂本龍一さん、大友良英さんをはじめ各界著名人が賛同人に名を連ね、この事件を支えてきました。
現在、国会では、この風営法を改正しようという動きがあります。
今回の無罪判決によって、風営法改正の動きが一気に進むことを願っています。
(弁護士村松いづみ)