(最新判例:交通事故)「もらい事故」でも賠償義務あり(福井地裁)

 

車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、福井地裁は、4月13日、直進してきた対向車側にも責任があるとして、対向車側に約4000万円の損害賠償を命じる判決を下しました(2015年4月17日福井新聞ONLINE)。

 

死亡した男性は、自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていました。

被害男性が加入する車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態でした。

そこで、遺族は、自動車損害賠償責任法(自賠法)3条にもとづき、対向車側に請求をしました。

 

自賠法3条は「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任に任ずる」と定め、「ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し、注意を怠らなかったこと・・・を証明したときは、この限りでない」と規定しています。

 

判決は、「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ、自賠法3条にもとづき賠償義務があると判断し、遺族を救済しました。

 

同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてのようです。

 

新聞報道だけなので、事案がよくわかりませんが、興味深い判決です。

 

(弁護士村松いづみ)