(最新判例:その他)32年間無戸籍の女性が戸籍を取得(神戸家裁)

 

NHKの「クローズアップ現代」でも放映されましたが、生まれた時から戸籍がないという人が現代の日本社会に少なからず存在します。

 

原告の女性(32歳)は、当時の夫の暴力から逃れた母親と別の男性の間に生まれました。

民法には、結婚中に妊娠した場合には夫の子と推定するという規定(772条)があるため母親は出生届を出しませんでした。

女性は、公的な身分証明がないまま、様々な生活上の困難を強いられました。

そこで、戸籍を作るため、裁判で親子関係にないことの確認を求めて提訴しました。

 

神戸家裁は、2014年9月18日、女性の訴えを認め、「(元夫と母親は)事実上離婚状態で、女性は民法772条の嫡出推定を受けない」と指摘しました。

これで、その女性は、父親欄が空白の戸籍を作ることができます。

 

法務省は、今年7月、民法の規定が原因で戸籍のない人の情報を集めるよう全国の法務局に通知しました。

国は、無戸籍の人が速やかに戸籍を取得できるような取り扱いを進めてほしいと思います。

 

(弁護士村松いづみ)