(最新判例:その他)関西建設アスベスト京都訴訟 メーカー責任を初認定(京都地裁)

 

建設資材に含まれるアスベスト(石綿)による元作業員らの健康被害をめぐり、建材メーカーと国の賠償責任が問われた訴訟で、2016年1月29日、京都地裁は、国に対し総額1億0418円のほか、初めて建材メーカーに対しても総額1億1245円の賠償を命じる判決を下しました(2016年1月30日朝刊各紙)。

 

国については、1970年代初めには、アスベストの危険性に気づけたのに、作業現場での防じんマスク着用などの石綿規制が遅れたと指摘。

東京・福岡・大阪の各地裁判決続き4度目の賠償命令です。

 

他方、大工などの建設労働者や個人事業主(一人親方)は、どのメーカーの建材が病気の原因になったのか特定が難しいという問題がありました。

これについて、判決は、メーカーに対しては、建材の特定にはこだわらず、建材の種別により、72年と74年、2002年にアスベストの危険性を表示する義務が生じたのに販売を続けたと認定。

当時のシェアが約10%以上の社については、販売の時期や地域が各原告らの働いた時期や場所と合うといった条件を満たせば、被害との因果関係を推定できると判断しました。

 

今回の判決は、被害救済に大きく足を踏み出す画期的なものです。

本件被害者26名中、既に16名が死亡されています。

国や建材メーカーは、早急に賠償責任を果たし、早期に補償基金制度を創設すべきです。

 

(弁護士村松いづみ)