(最新判例:その他)生活保護廃止、口頭指導ではダメ(最高裁)

 

2014年10月24日付け法律コラムでは、最高裁初のマタハラ違反の判決をご紹介しました。

そのマタハラ違反判決が出たのと同じ日の10月23日に、最高裁は、もう1つ、重要な判決を下しました。

それは、生活保護廃止についての判決です。

 

京都市は、生活保護を受給していた手描き友禅請負業の男性に対し、書面上では「収入を月額11万円まで増収してください」と指示する一方、口頭では「増収か車の処分のどちらかの対応をとるように」と指導していました。

そして指導から約3ヶ月後に、指導違反として保護を打ち切りました。

 

生活保護法は、指導や指示に違反したときには、生活保護を廃止することができる旨を定めています(62条)。

ただし、その指導又は指示は「書面による」ものとされています(施行規則19条)。

 

一審の京都地裁は、男性が病気の妻の世話をしながら仕事をしており、「増収は実現不可能で保護打ち切りは違法」と判断していました。

ところが、原審の大阪高裁は、口頭指導も保護廃止の根拠となると認定し、車を処分しさえすれば指示に従ったことになるとし、車を処分しなかった男性の保護廃止を容認する判決を下しました。

 

しかし、最高裁は、法が「書面による指導」を求めている根拠は、行政の「判断が慎重かつ合理的に行われることを担保してその恣意を抑制する」「内容を明確にし、それらを十分に認識し得ないまま不利益処分を受けることを防止する」ためなどと判断し、あくまで書面にある指示内容の違法性を判断すべきと指摘しました。

 

「書面による指示」にもとづかないで生活保護を廃止したり減額したりする自治体が散見されます。

最高裁が、法律の趣旨どおりに厳しく手順を踏まえるよう明確に示した意義は大きいと言えるでしょう。

 

(弁護士村松いづみ)